タイピングの練習方法雑念
振り返れば、俺様がコンピュータを使い始めた頃、いわゆるブラインド・タッチで タイピングする必要は感じなかった。例えば、雑誌に掲載の膨大な量のプログラムを いちいち書き移す作業を飽きずに繰り返した。 本当は、キーボードを見ずにタイピングが出来たら、そうした作業ももっと快適に 行える筈ではあった。然し、一本指での入力も、迷わず迅速に行えたし、その速さを 考えたら、わざわざ習う手間の方が煩わしいとも思えた。 その頃、適当なタイピング入門書がなかった印象がある。基本の指の位置から遠い キーの練習を後回しにして、取り敢えず、ホームポジションに近いところのキーだけ 打つ練習を紹介している教本が主流だった。 この無意味な文字列を打たせる練習方法を見たとき、『覚えるまでに何年掛かるか 解らん』そんな感触を受けた。一本指でも無意味な文字列を打つには時間が掛かる。 基本的に無意味な文字を打つ必要はない。 例え一本指でも入力に慣れて来ると、指の動きは文字列をそのまま記憶している。 INPUTという文字列を、アルファベット一つずつをバラバラに繋げるのではなく 5文字を打つ手順を一つの流れとして記憶している。 従って、同じ文字列でも、これを逆にしたTUPNIを打つ場合には、その流れが 存在しないために、流れるようには打てず、文字と文字のあいだに途切れが生じる。 タイピングは、単語・熟語単位で覚えているものである。 従って、タイピングの練習に、単に、キーボードに慣れるというだけを目的にした 無意味な文字列を打たせることは、全くの無駄なのである。基本の位置からのキーが 遠いとか近いとか、これも意味がない。 無論、基本的には、文字の位置を指に覚えさせることが絶対に欠かせないのだが、 タイピングに慣れるという意味は、無意識に多くの熟語・単語を打つ手順を記憶する 隠れた習得作業がある。 例えば、英文を書き慣れて来ると、単語の綴りが思い出せなくとも、キーボードで 散々打った体験があれば、自然に打ててしまうことがある。答案用紙に、直接書込む 英語の試験には、手書きで覚える必要がある…。 俺様が、快適な一本指打法から、ブラインド・タッチを学ぼうと決意した動機は、 コンピュータで文書作成が出来るようになったことだった。当時、mz−2000を 購入した頃、未だここまで時代が進むとは思わなかった。 当時、5万円も出して、JETというワープロソフトを購入して、コンピュータで 文書が作成出来る時代になったとき、俺様は、初めてタイピングを習う価値があると 判断した。 俺様が若い頃に、漠然と夢見ていた、一度書いた文章を無駄なく活かせて、自在に 編集が出来る方法が、全く完璧な思っても見なかった方法で実現した瞬間であった。 タイピングを習う苦労は厭わぬ覚悟が出来た。 その頃、タイミングよく、雑誌の付録に、『タイピング1週間マスター』と称する ごく薄い教本が付録に付いてきた。その教本には、それまで俺様が感じていた不満が そのまま指摘してあり、効果的な練習方法が掲載されていた。 明確な記憶はないが、基本の位置に両手を置いて、キーボードの配列を描いた紙を 画面の脇に貼って、それを見ながら、自由に好きな文字列を打って行く点は、鮮明に 記憶している。一日2時間徹底してそれを練習した。 指を置く位置は、左指は、小指からASDFに、右指は、人差し指からJKL;に それぞれの指を乗せる。左指と右指の人差し指の位置が、GHのキーを挟んで並ぶ。 これがホームポジションと呼ばれる。 左小指の分担するキーはAQ12Z、左薬指の分担するキーは、SW3X、更に、 左中指の分担するキーはDE4C、左人差し指の分担するキーはFGTR56VBと 広くなる。 右人差し指の分担するキーはJHYU78NM、右中指の分担するキーはKI9, 右薬指の分担するキーはLO0.、右小指の分担するキーは;*]P@[−^¥/と かなり広範囲である。 一応、アルファベットの配列で指の位置を示したが、カナでも、親指シフトでも、 基本は同じである。本来ならば、写真や図示で示せば、より分かりやすいが、敢えて それはやらない…。^_^; かなり面倒な記述ではあるが、頭は、これを記憶していない。指の反射運動だけで 支えられている配列である。これは、頭で覚える必要はない。頭で覚えるのが大変な ことは、体に任せるのがいいのだ…。 ホームポジションから離れてキーを打った指は、一度打つ度に必ず元に戻してから 次のキーを打つようにする。基本の位置からの、指の移動を正確に覚えさせるために 必要な動きである。 取り敢えず、キーの位置を覚えようと、カナは、五十音を順番に打って練習した。 アルファベットは、ABC順で練習をした。とは言いながら、一文字を打つにしても いちいち紙の配列を見て恐る恐る指を出す始末だった。 最初は、アルファベットを練習して、表示される画面の文字で確認した。確かに、 こうしたやり方で一週間で、紙に書かれた配列を見て打つ必要がなくなった。更に、 カナを同じ方法で覚えた。 つまり、俺様は、この段階で、表示される文字の識別で、アルファベットとカナの 両方を打ち分けられていた。親指シフトが快適だとの話を聞くまでは、JIS配列が 快適なタイピングとして定着した。 画面の脇に配列を記した紙を見る必要がなくなって、自由に打てるようになっても 最初は、ぎこちない動きでしかない。多くの文書を書くうちに次第に、言葉の流れを 手が覚えて連続的な流れで打てるようになる。 タイピングは、理屈ではなく単純に打つ練習をするだけで、短期間に頭から消えて 体に染み込む。タイピングは知的技術だとされているが、反射に、知的と言う言葉は 適切ではない。極めて動物的と言った方が適切である。 ** 悪魔 ** 冒頭に戻る