一審判決を考える

一審判決を考える


 宮ア勤被告に一審判決が下された.死刑である.彼が犯行を犯したとする絶対的な 事実認定を争わない前提では,結局,こうした結論しか出て来ないのも仕方がない. 俺様は,真犯人が極刑に処せられることは当然だと考える.             ただ,無実の者が死刑判決を受けるような重大な冤罪を恐れるのである.そして, この事件に関しては,宮ア勤氏が容疑者として逮捕された瞬間から,俺様の心には, 数々の疑問が生じた.                              例えば,真犯人を警察が確保して,徹底した取り調べをして,自供に追い込んで, 真犯人しか知り得ない情報等,立件に必要な情報の全てを揃えた上で,別件の犯人を 容疑者に仕立て上げた状況を考える….                      然も,その替え玉に催眠術を施し,自分がそれを行ったと,徹底して思い込ませた 状況があった場合,裁判官には,もはや,表面に見える背後に隠された真実などは, とても見通すことは出来ない.                          裁判では,専門家による,三つのそれぞれ結論の違った精神鑑定書が提出されたと される.然し,判決に際しては,被告に最も不利な鑑定書だけを採用し,他の二つを 信頼できないとして退けた.                           専門家による鑑定書も,裁判官の判断一つで,ただの紙屑にされてしまう現実に, 俺様は驚かされた.7年もの歳月を掛けたのは,ひとえに被告の精神鑑定のためだと された筈だが….                                驚いたのは,判決理由の中で,犯行声明や遺骨の配達に触れて,残虐行為の所業と 認定していることだ.つまり,被告自身が犯行声明を書き,また,遺骨を配達したと 断定していることだ.                              映像に囲まれた彼の環境,閉鎖的な性格などから,とてもあのような犯行声明やら 遺骨の配達した行動力が結びつかない….然も,犯行声明の中で,警察と言う存在を 捜査員と署長と分けて捉えている….                       スラスラと? 詳細に犯行を自供した真犯人と,かの宮ア勤被告とは,少なくとも 俺様のイメージでは,まるでかけ離れた存在なのである.例えば,ここに多重人格, 精神分裂病の判断があっても不思議ではない.                   つまり,三つの精神鑑定書のすべては,正しい結論を出していると判断する必要が あるのだ.大きく分ければ,責任能力ありとする鑑定と,責任能力なしとする鑑定の いずれもが正しい側面を現していると….                     それを満足させる結論は『真犯人と替え玉』と言う,正真正銘の多重人格であり, 精神分裂病である.公判の度に断片的に伝えられる宮ア勤被告の様子は,どう見ても 催眠術の影響を受けた人間の姿としか思えぬのだ.                 この裁判は,恐らく最高裁まで争われることであろう.その過程の中で,果たして 俺様の感じる違和感が払拭されることがあるのかどうか….一体,あと何年掛かれば 真実が見えて来るのか? ** 悪魔 **                   冒頭に戻る