マスコミに追随した処分決定

マスコミに追随した処分決定

 結局,謎は解明されないまま,A少年の犯行だと断定した上での処分が決定した. 医療少年院とやらに送られるようだ.問題の土師淳君の殺害容疑に関する判決内容は コマ落しで殺害した遺体を運び込んだ経過がない.                 アンテナ施設の外で殺し,翌日,施設の中で首を切断と,遺体が施設の外から突然 中に飛んでいるのである.事件発生当初の経過では,遺体があった筈の施設の中を, 警察犬を使った捜索で発見されなかった謎もある.                 それが為に,捜索が済んだ後,犯人が改めて施設の中に運び込んだのではないかと 報道された経緯もあり,それだけ警察犬の鼻がバカだったのか.犯人が逮捕されても この疑問は全く説明されず有罪の処分が決まった.                 最終処分を発表する新聞記事の中で,警察側が犯行声明と容疑者の筆跡が,完全に 一致したと虚偽の事実で自白に追い込んだとして,この部分の供述調書が,記録から 削除されたとしている.筆跡は同じではないのか?                 事件発生当初の客観的な事実と謎を,少年の供述から解明する作業がなされずに, いたずらに『少年の心の闇の解明』にすり替えられて執拗に報道され続けた.犯人の 逮捕と自供から,事件の客観的な謎が解ける筈だ.                 然し,マスコミは,自分たちが散々,事件の謎として報道して置きながら,現実に 犯人が逮捕されても,その謎を埋める取材を行っていない.少なくとも,謎に迫った 報道はなかったのだ.垂れ流しで尻拭いをしない.                 終始一貫,A少年を犯人だと決め付けた前提で報道がなされた.マスコミの影響は 絶大である.少々の疑惑や謎は,マスコミの決め付け報道の前には,雲散霧消する. 俺様の周囲ですら,謎に疑問を持つ者はいない….                 マスコミがどんなに矛盾に満ちた報道をしようとも,俺様の言葉よりは,より強い 信頼性をもって受け取る.また,マスコミは,他社と違った報道を避ける.他社との 整合性という点に重点を置く不文律があるようだ.                 違った報道をすると,ミスリードと判断されて,立場を悪くするようだ.これでは 陰に隠れた真実を発見しようと,血眼になって様々な報道を見ても全く無駄である. A少年が犯人だと,それに沿った報道しかしない.                 然し,報道の隙間に取り残された謎は,敢えて冤罪の痕跡としてさり気なく残して 通過している印象を受ける.施設の中に導いてから殺したことにすればいいものを, 何故か施設の外で殺して,中で首を斬ったとする.                 現地で,ほぼ全戸に配布された冤罪説の小冊子については,テレビ・ラジオでは, 全く報道されなかったようだ.週刊新潮に依れば,核マル派の偽装団体が配ったと, これを信頼性のないものだと決め付けて伝えた….                 神戸の首斬り殺人事件の関連事件とすれば,十分,ニュースにする価値があろう. 少なくとも,少年の心の闇云々する心理学者の戯言を延々と伝えるよりは,冤罪説を 紹介してこれを徹底して覆す報道が必要だと思う.                 これを徹底して無視した事実が何を意味するのか? それこそ他社との整合性から 積極的に報道する勇気は持てないのか? 少年逮捕前の不審な車や人の目撃情報は, 結局,一人歩きした妄想の産物とされてしまった.                 逮捕前の様々な情報が,少年の逮捕をもって,全て意味のないものとして消えた. 改めて,捜査段階の取調室の壁の厚さを感じさせられ,結局,裁判はこれを肯定した 出発点でしか行われないようだが謎は消せない….                 最近,事件を取材した記者の話が,毎日新聞社『少年』と,産経新聞社『命の重さ 取材して』が出版されている.これを購入したばかりだが,結局,話は少年の逮捕で 始まっている印象がある.謎の解明にはならない?                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る