いつの間にか4回目の審判も終えて…

いつの間にか4回目の審判も終えて…

 週刊朝日10/17号に「酒鬼薔薇」鑑定書の”隠された部分”などと,大げさな タイトルが付けられた記事が掲載されていた.然し,記事で明らかにされているのは 鑑定書が本になる位に分厚いものである事実だけ.                 更に,佐木隆三が「宮崎勤とA少年があまりにも似ている」と,二人をあくまでも 犯罪者として捉えている.この作家先生は『宮崎勤の裁判をすべて見続けてきた』が 口癖だが,彼が無実である可能性を考えていない.                 ただ,犯行時には,明らかに何らかの精神障害があったと捉えている.その障害の 状況が極めて類似していると指摘する.俺様に言わせれば,二人は精神障害ではなく 取り調べの過程の中で犯罪行為を植えつけられた.                 二人に共通する点は,たった一人で極めて長い時間,警察に拘留されていたという でっち上げの準備期間が相当長くあったと言う共通点である.三日でどんな人間でも やってもいない犯行を自供させられる逸話もある.                 大体,最後に発表になった『懲役13年』が傑作である.『熟練した人形師』等と 古典的な表現を,現代の3年生が使ったというのだ.佐木隆三は,ここに全く疑問を 抱かず,宮崎勤と共通する部分だと鬼の首にした.                 俺様の感覚では,宮崎勤は,明らかにでっち上げられたと思うのだが,世間では, もはや完璧に最終判決まで出された死刑囚として定着している.だが俺様が7年前に 感じた疑惑に今年改めて複数の裏付けが出て来た.                 俺様は,酒鬼薔薇事件が起きる前から,宮崎勤は無実だとの主張を展開してきた. その途上で,この事件である.正に,酒鬼薔薇事件は,7年前の宮崎勤の冤罪事件を 再現して,これに検証の機会を与えたようである.                 二つの事件が似ているのは,容疑者の内面ではなく,警察やマスコミが執拗に説く 真犯人だと思わせる手法である.凶行に影響を与えたものはおらず,ただ,容疑者の 内面だけに著しい欠陥があって犯行を駆り立てた.                 これと言った確実な犯行に関わる目撃証言もなく,犯行とは無関係な異常性だけが 強調されて,マスコミを通じて繰り返し報道され続けて来た.明確な事実を無視して 判決前から裁きが繰り返された点も共通している.                 神戸の事件は,間もなく審判が下されるそうだが,A少年と当該犯行の結びつきは 池の中から凶器が出たとされる一点だけで,後は,まことしやかな少年の異常性が, 犯行を暗示するものとして報道され続けただけだ.                 俺様には,伝えられる情報だけで,A少年を真犯人と断定する勇気は生まれない. 何かと少年の家庭に問題があったと,マスコミで言われるのだが,俺様から見れば, うらやましいような幸せな家庭にすら思えるのだ.                 マスコミ報道は,何が何でもA少年の心と家庭環境に問題があることを強調する. 彼の家庭以外に何一つ原因となる因子を見いだそうとはしない.完全なでっち上げの 方法は,容疑者以外の人間を巻き込まないことだ.                 出来るだけ容疑者の印象を悪くする工作に徹して,彼を擁護する声を,ことごとく 抹殺する.裁判の報道も,容疑者の異常性だけを強調する.マスコミが結託すれば, どんな真人間も,まごうことなき真犯人に出来る.                 これほど事実関係が曖昧なまま,マスコミが真犯人をでっち上げる構図は,本当に 異常である.少なくとも,この事件については,マスコミは,後ろめたく,後ろ暗い 報道に終始して来た.無実ならば獄門晒首である.                 もし,無実との結論が出ても,これを報道出来ない位に,それまでの報道が偏った 視点に立ったもので,公平さからは程遠い内容である.報道が公正なものであったら どんな結論でもありのままを報道すればいいのだ.                 A少年が,事実上,有罪であれば,鬼の首が取れる.然し,逆だったら,ひたすら 沈黙するしかないだろう.最近の報道は,妙に控えめになっているが,その内心は, 戦々恐々として,決して穏やかではないのだろう.                 マスコミで,ものを言う輩が全て彼を真犯人に決めつけた視点だけで語る現象は, 俺様には,奇異に思えるのだ.冷静に事件を見据えれば,これまで述べてきたような 不自然な部分は,何一つ答えが出されてはいない.                 この俺様とて,インターネットと言う手段がなければこれを公開する方法はない. 例え出版が実現しても,店頭に並ぶ時期は極めて短く,瞬く間に消え失せるだろう. インターネットは,出版よりも息が長いのである.                 まともに読む人間の数は知れているかも知れぬ.それでも,もし事件が冤罪ならば 当事者の首を真綿で絞め続ける効果が生まれよう.逆に言えば,俺様自身,テメェの バカを世間に晒すようなものだが失うものはない.                 結論は,曖昧なまま更に長い時間,闇に葬られる結果になるかも知れぬ.宮崎勤が 逮捕されて,翌年には一審判決が出される見通しが7年後になってしまった.これは 俺様には,ほとぼりを冷ます目的としか思えない.                 7年掛けた割に,一審判決はあっさりした死刑である.実際,この7年間,何かと 宮崎勤の名前は,猟奇殺人の代名詞として使われ,世間では完璧に彼は真犯人として 定着した.その陰で誰かがほくそ笑んでいるのだ.                 宮崎勤は,二十代の7年間を冤罪の為に牢獄の中で過ごす羽目になってしまった? 更に,この先,死刑になるかも知れない.いたずらに時間を長引かせただけで,彼に 有利な鑑定は,一審判決で完璧に無視されたのだ.                 結局,僅か15歳かそこらのA少年は,誰からも擁護されることもなく,徹底した 裁きの声だけに晒され続けている.一切の事実関係を無視して,犯罪者のレッテルを 貼ってしまえば幾らでも裁けるルールが確立した.                 報道に依れば,A少年は,母親を恐れていたので,母親の前では,自分を装って, いい子でいたとされる.そんな子供は何処にでもいる.むしろ,それが必要以上に, 犯行の原因に結び付けられる異常さが際立つのだ.                 そんな母親がいる家に,人間の生首を持ち込んで,家族が使う風呂場に持ち込んで ジャブジャブと洗った….自分の部屋と風呂場を生首を持って移動した.その状況を 具体的に想像するだけで嘘っぽく感じられてくる.                 少年犯罪とされながら,事件の実態は,誰の目にも明らかな集団暴行事件のような 疑いようのない単純な事件で,事実認定を争う必要がほとんどないケースとは違う. A少年の容疑を本当に決定付けられるものがない.                 他に真犯人がいるとしたら,無実の少年が自分の身代わりに裁かれている現状は, もしかすると,快感を伴う満足の行く状況ではないだろうか? 然し,学校に対する 恨みが晴らされていない点に未だ不気味さが漂う.                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る