一体何だ? 懲役13年…

一体何だ? 懲役13年…

 9月26日朝日新聞夕刊に,A少年が4月始め頃に書いて,知人にパソコンで清書を 依頼したとされる『懲役13年』と題する文章が紹介されていた.一体,彼の作文を 清書した知人というのは,どんな友達だったのか?                 俺様は,事前に車の中でニュースを聞いて,作文の内容より,自分の内面を綴った 作文を他人に清書させる感覚とか,一向にマスコミで明らかにされない友人の存在が 気になって仕方がない.全て断片的な情報である.                 また,作文の内容だが,とても中学3年生の書いた文章とは思えぬ.この少年は, 何処かで哲学に関する本でも読んだ体験があるのか.『深淵をのぞき込むとき,その 深淵もこちらを見つめている』は有名な言葉だが.                 この一部だけでなく,全体的にも何処からか拾ってきた表現である印象を受ける. マスコミの報道では,A少年が次第に魔物に支配されて行った過程だとするのだが, 糾弾から一転して同情へと移行しようとしている.                 週刊新潮10月2日号に依れば,事件の資料は,大型の段ボールに入りきれない程も 存在して,捜査関係者が,断片的にそれを漏らしたものだという.その行為自体が, 少年法の建前からすれば,違法なのだそうである.                 要するに,彼らの正義感が,違法を承知の上で,事実を世間に伝えようと努力した 結果だとでも言いたげである.然し,こうした情報が出るのは,その時期が,少年の 置かれる環境が変わる時期にピッタリ合っている.                『その少年は,間違いなく犯人なのだぞ.それ以外の結論を出すんじゃないぞ』と, 圧力でもかけているように受け取れてしまう俺様である.結局,情報は断片的なので 真相に迫る迫力はない.真犯人だと断定も出来ぬ.                 然し,こうした情報が伝えられる度に,彼の犯行を信じて疑わない人間は,確実に 彼が犯人であるとする意識を一層強化して行く.その断片的な情報に矛盾があっても それぞれの推測を以て矛盾の隙間を埋めてしまう.                 俺様は,今回の『懲役13年』という作文を読んで,これは一体,誰の手によって 書かれたのか? 改めてそんな疑問を持つのである.本当に晒し首にされた口の中の 文面と犯行声明の前に書かれた犯人のものなのか?                 これに『犯行メモ』が加わって,これら全ての文章を,A少年がが書いたものだと 信じなければならない現状である.体力的にも非力な中学生が,魔物に支配されて, 犯行へと駆り立てられたオカルト的な結論である.                 ワープロソフト,ワープロの誤変換と思える漢字が散見された犯行声明だが,その 誤りはどのようにして生じたのか? 今回『懲役13年』の清書を依頼された知人は これに関与してはいなかったのか? 謎は消えぬ.                 ところで,宮崎勤事件に関連して朝日新聞から『宮崎勤裁判』の(中)と(下)が 同時に発売された最近である.未だ,事件は結審した訳でもないのに,何故下巻まで 出版されてしまったのか? 事件は終わったのか?                 このように最終的な判決が下される前に,マスコミや物書きの手で,事件の裁きが 終わってしまう.宮崎勤事件については,警察が真犯人を隠蔽したと感じているが, この首斬り殺人事件に同じパターンが感じられる.                 週刊新潮では,少年法の壁があって,事件の詳細が伝えられないから,真相が闇に 葬られようとしていると言うが,それならば,軽はずみにA少年が真犯人だと断定も 出来ない筈である.裁きに熱心な矛盾は何なのか?                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る