リストラのメカニズムがマスコミに反映

リストラのメカニズムがマスコミに反映

 いつでもマスコミは,何故か裁きの対象を保ち続ける….その理由は何でもいい. それがオウム真理教である内は良かった.それがニュースになると見るや,競って, オウム真理教幹部をテレビに写し視聴率を稼いだ.                 視聴率が全ての報道に求められるのは派手な内容である.信じられぬような現実の 猟奇殺人などは,滅多にない視聴率稼ぎの恰好の材料である.こんな少年が,たった 2年で社会に出てきていいのかと騒いで金儲け….                 最近,日本のサラリーマンがリストラの嵐に晒されている.心ならず自主退職へと 追い込まれる陰湿ないじめがある.高い給料を取って居ながら,役に立たなくなった 社員を出来れば退職金も払わず退職させたいのだ.                 定年まで何の心配もなく勤められると思っていた会社から突然裏切られる現実…. それこそ理由は何でもいい.全くこれは学校で問題になるいじめと同じパターンで, それが今やマスコミに定着して生贄が求められる.                 日曜日の朝日新聞に,週刊ポストの広告が掲載されていた.かなり大きな見出しを 付けて『A少年の両親を逮捕しろ』と騒ぎまくっている.その記事の内容については 未だ読んでいないが,ここまで書ける根拠は何か?                 家裁ですら少年に対する審判は下っていないのだ.A少年が真犯人であると断ずる 週刊ポスト独自の明らかな証拠でも提示されているのか.それがあれば,それ自体が ニュースになり得る.今までの報道が根拠だろう.                 社会には,様々な事件が次々に起きている.散々,A少年を叩き続けたマスコミも そろそろ他に裁きの対象を求めたらどうかと思うが,本当にA少年には執拗な執着を 見せている.全てのマスコミに何者かの圧力でも?                 種々雑多,多種多様なマスコミである筈なのに,事件の見方だけ各社全く同じで, 徹底した少年裁きに徹している.例えば,これはリストラで古い時代からの教訓を, 現場に活かす知恵が途絶えているとも言えるのだ.                 報道が戦争に協力した苦い歴史がどうのこうの….ひと頃,マスコミには,そんな 反省がしきりだったが,それを言い出した人間が一線を退けば,官憲発表ベッタリ, 批判はしませんこれからも…と忠実な番犬に変身.                 もはや自分でものを考えることも出来ぬマスコミである.乏しい頭で考える浅薄な 結論でも,天下の公器に乗せると形だけは勇ましく見える.鶏が空高く飛んだとて, そこに留まれる時間は高が知れている故事がある.                 難しく言うと『翰音,天に登る,何ぞ長かるべけんや』と言うのである…などと, 俺様も精一杯背伸びはしておるが….マスコミの行う裁きには,実力が伴わないから 底が浅いのである.彼らは本来裁く権利すらない.                 最近,灰谷健次郎の本が書店の目立つところに平積みにされているのを見て,ふと 何処の出版社かと見てみたら,これが見事に新潮社だった.先頃A少年の写真掲載に 抗議して,版権を新潮社から引き上げるとされた.                 灰谷健次郎の抗議は幼いとする意見などが,新潮社の雑誌にも載ったような記憶も あるが,一方で,この作家をこき下ろしておきながら,話題になったことを逆手に, しっかり増刷して売らんが為の商魂の醜さを晒す.                 愛想をつかされた人間からでも,それをネタに金儲けとは,出版社という存在も, なかなか侮りがたい悪徳商人の本性を見せつける.言論の自由を標榜するには,少し 荷が重すぎよう.医者と同じ算術の自由が似合う.                 穿った見方をすれば,灰谷健次郎の抗議がヤラセで売れ行きの落ち込みを防止する 苦肉の策だったりしても,それも常識の範疇である.新潮社が,骨までしゃぶって, 作家を野晒しにするつもりでも常識の範疇である.                 警察の与太話が聞かれなくなる家裁送りを称して『真実は闇に消え去った』などと 大げさに書き立てる.警察という飼い主に放逐され野良犬となったマスコミである. 今度は,拾い食いで飢えを凌ぐ浅ましさを見せる.                 今週もまた,週刊誌が執拗にA少年裁きをしている.コヤツドモの処分は,追って 沙汰する.彼らの拾い食いの浅ましい実体を明らかにして,世論をリードしていると のぼせ上がるマスコミに冷水を浴びせてやろうぞ.                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る