皆さん本当に素直で純朴な田舎者
兵庫県警の逃げ腰記者会見という，ほんの一瞬の出来事から酒鬼薔薇聖人の正体は 中学３年生だとされた．記者会見に集まった記者全員が信じなかったそうだ．然し， 翌朝の紙面では，少年の死刑が確定してしまった？ 何が明確な決め手になって，少年の犯行が裏付けられたのか，何も解らなかった． Ａ少年は，当初，任意同行に応じた．その瞬間から，彼は，二度と再び，世間に姿を 見せることもない，透明な存在になってしまった． 実際，容疑者が逮捕される前から，Ａ少年は，マスコミにも知られていなかった． だから犯人は，今でも透明なままである．僅かに，写真週刊誌が彼の写真を掲載し， 更に，インターネットの世界でも姿を現して来た． 未熟な報道機関が『憎むべき真犯人の姿』のつもりで紹介し，それを信じた読者が インターネットにその写真を転載した．少年法の建前云々などは，他のマスコミとて 同じ穴のむじなである．犯人と断定したのだから． それこそ週刊朝日の報道に依れば，犯人逮捕の記者会見の際，記者の誰一人として 信じなかった内容を全く記事にもせず，警察発表を鵜呑みにして，犯人だと断定した 罪は重い．けしかけられて慌てて吠える番犬かな． 俺様の視点から見れば，少年の写真は，警察の手で猟奇殺人犯にされた，気の毒な 被害者かも知れぬと言う思い込みでみる．従って，写真掲載自体に，さしたる問題も 感じない．悪いのは頭から犯人扱いの報道である． 本当に犯人なのか，徹底して疑うこともせず，警察発表とかマスコミ報道だけで， それに接する人間が，皆，これに同調して信じてしまう．むしろ，そうした報道に， 疑惑を抱いた人間が，詮索好きで卑しいとされる． この日本に，どれだけの数のプロの物書きがいるのか知らぬが，この事件について 俺様のような視点で書いた人間は，俺様の知る限り，野坂昭如だけだった．それとて 二度目はトーンダウンしてきた．やはりプロか…． 彼が徹底して，Ａ少年は犯人ではないという視点に立って書き綴ることは，結局， 不可能だったのだろうと邪推する．出版社自体がそんな主張を受け入れないだろう． どうしても書きたきゃインターネットでやれ．か？ プロとは，金にならぬ仕事はしないものであろう．今では出版社が主義主張を持ち それに同調する物書きを集める．作家独自の視点など求められてはいない．出版社の 意思を代弁させて，作家Ａの意見だと持ち上げる． 『作家になって自分の感じるところを書いてどんどん発表して行きたい』としても， そんなわがままを聞いてくれる出版社がどれだけあるのか？ そんな疑問を感じる． 全ての作家がＡ少年を犯人だとするとは思えぬが？ 大体，基本的に，作家なる輩はいかがわしい存在で，まともな社会生活が出来ない 人間の職業だと思うぞ．世間の皆様が安易に信じていることを，その通りだとして， ご親切にそれを強調して書く道化師でもあるまい． 現代は，そうした本来いかがわしくなければならない作家が，妙にサラリーマンの ようにおとなしい存在になってしまった．今や個性など売り物になる時代ではない． 個性は孤性であり，世間に浸透したら意味を失う． ＡＥＲＡ８／１１に『宮崎 オウム 酒鬼薔薇 次の不安』と題する記事がある． ノンフィクション作家という肩書で，吉岡忍なる者が書いている．宮崎も酒鬼薔薇も 冤罪だとする俺様にとって彼はＳＦ作家に思える． マスコミが表層的に流して報道している内容を信じて，それに沿った記述を流せば それだけでメシが食える？ それがノンフィクションなのか？ 何を根拠に宮崎勤や Ａ少年を犯人にするのか？ 彼に答えはない筈だ． 作家が本当に自分の思うことを自由に書きたいならば，最終的に，書くことからの 収入を諦めなければなるまい．不穏当なる表現は，作家と言えども，それが使えない 不自由があって断筆宣言した作家もいたが，今は？ 俺様にとって，書くことは『神聖なる儀式』である．自らの内にある真理の顕現に 奉仕する作業でもある．俺様には，宮崎勤やＡ少年を裁く世間が幻の世界に思える． 自分が書いている世界こそが唯一つの現実である． 果して幻を見ているのは，この俺様自身なのか？ それとも世間なのか？ 結果は ずっと後になって分かるのか？ それとも謎のまま終わるのか？ いずれにしても， この事件には，きっと重大な秘密が隠されている． Ａ少年が，本当に事件のことになると，１時間でも２時間でも喋り続けたとしたら 犯行声明の意味位は，十分な時間を掛けて説明している筈だ．何しろ徹夜で仕上げた 労作だと言うではないか？ 出し惜しみするなよ． 例えば『国籍がない』とはどういう意味なのか？ 日本の国籍だけでなく，何処の 国の国籍もないと言うことだろう．単純に考えれば私生児である．然し，現実には， 酒鬼薔薇聖人と言う固有の名前を持って生まれた． 例えば『中３少年，精神鑑定へ』とは，それほど大きなニュースに値するのか？ 既に誰しもが，そうなることは予測していた．敢えて一面トップを飾るほどの意味が あったのか？ 執拗な容疑者叩きなら分かるが…． マスコミ報道のＡ少年叩きの執拗さを見ると，何が何でも，この少年に犯人で居て 欲しいとの悲痛な叫びのようにも聞こえて来る．真犯人が，それほど凄い大物だから どうしてもこういう結末にしたいと画策している？ それならば，国籍のない大物とはどんな存在が考えられるだろうか？ 俺様には， 答えは一つしか出せない．なるほどこれでは警察は，この犯人逮捕を面倒臭がるし， もみ消したい．当然，身代わりを仕立てたくなる． 例え，逮捕したとて吊るす訳にも行かない．真犯人が吊るせないなら，身代わりも 吊るせない．その条件を満たすのが未成年者である．それはまた血に飢えたマスコミ の生贄にもなって，それは大変に喜ばれたようだ． 週刊フォーカスは，他で流された情報の二番煎じで，事件直後からＡ少年が犯人と 噂されていた話を蒸し返しす．カッターナイフの刃を埋め込んで云々と，容疑に直接 関わりのない話を展開して『恐怖の異常』とする． 同じ穴のむじなである週刊新潮は，容疑者という言葉を外して『殺害犯』と断じて 彼が精神鑑定を受けることすら気に入らぬご様子だ．こんなヤツが精神病なら，世の 犯罪者は全て精神異常者だと殊の外お怒りである． 当初犯人逮捕の警察発表を聞いて，報道陣の誰も信じなかった中学生逮捕だった． その疑惑に何一つ検証を加えようともせず，極めて未熟な証拠物件だけで，容疑者に 過ぎない中学生を責める報道の真意は何処にある？ 何があっても，絶対に明らかに出来ぬ真犯人隠し以外にはないものと，俺様は益々 自らの妄想を深くするのである．然し，いかに信じ難いことでも，マスコミが騒げば 皆，それを信じて，絶対に疑わなくなる．恐い…． Ａ少年の写真が掲載された頃だったか，捜査員が漏らした情報として，少年の顔は もう，あんなやさしい顔はしてない．妖気が漂う不気味な顔になっているとされた． 『お前は世紀の殺人鬼や』と囁かれ続けたかも…． そう囁かれただけで，人間の表情は変わってしまう．俺様は，その昔，憎たらしい 上司に向かって複数の人間と結託して『どうしたんですか？ 顔色が悪いですよ…』 違う人間から違う場所で同じ言葉を聞かせたのだ． 言ってみれば，親切な忠告に過ぎない．無論，ソヤツは病気の方で逃げ出すような 丈夫だけが取り柄の上司だったし，顔色なんか全然悪くなかった．然し，彼は突然， 休ませて貰うと，その日は早々に早退していった． 事情を知っている数人は，後で大笑いしたが，知らない人間がそれを聞いて驚いて 『大丈夫ですか？ 病院に行きますか？』とやったものだから，事態は益々悪くなり 彼は本当に顔色が悪くなっていた．暗示の怖さだ． 取り調べのエースと称せられるベテラン刑事が，中学生を相手に尋問をした経緯を 考えるならば，もはや中学生に逆らう術は何処にもない．ベテラン刑事に自由自在に 操られる結果は明らかだ．取調室の容疑は濃厚だ． ＊＊ 悪魔 ＊＊ ・目次に戻る