少年ほど冤罪に都合のいい素材はない

少年ほど冤罪に都合のいい素材はない

 俺様が幾らここで警察発表に誰も疑いを持たない怖さを説き,更に,それが冤罪に 繋がる懸念を説いても,健全な常識を持った,社会的に有能で正々堂々と表の世界を 歩く人間とって,こうした理屈は理解不能である.                 もしも不幸にして,そういう方がこのホームページを訪れていたら,読むことは, 全く無駄な時間の浪費となる.つまらぬこんな世界は,さっさと忘れて時間の有効な 活用を考えるべきである.ここには独善が似合う.                 例えば,少年Aが家裁送りになった後になって,地元では以前から彼がやったとの 噂が出ていたと,テレビで放映され,週刊誌に書かれる.その割に,鵜の目鷹の目で 取材をしていた報道陣には全く察知できなかった.                 少年が逮捕されて一ヵ月以上経てから何故,突然そんな話が飛び出して来るのか? それとも,事前にこうした情報を蓄えて,警察から情報が取れなくなる家裁送り後を 考えていた.繰り返し庶民を暗示にかけるために.                 それでも不思議に思うのだが,そういう噂があって,マスコミがそれを察知したら さり気なくこの少年にインタビューした映像があっても不思議はない.少なくとも, この家に張りついている取材陣が居てもいい筈だ.                 何しろ第一発見者を疑って,二十四時間,この家に張りついて逮捕の瞬間を待った 無遠慮で恥知らずな,人権の何たるかもわきまえないストーカー取材が常識である. 少しでも噂を聞けば,すぐに映像を取りに走ろう.                 実際,奈良での中学生行方不明事件では,そうした状況があった.警察に呼ばれて 事情を聞かれただけで,あれだけの報道陣が自宅周辺を取り囲み,インタビューする 騒然とした状況は,鬼気迫る不気味なものがある.                 それでもそうした取材は,マスコミに無実を訴える唯一の機会でもある.逮捕後は 一切,マスコミに訴えられるチャンスはない.それを考えると,警察は,マスコミが 完璧にノーマークだった容疑者を逮捕して隠した.                 逮捕から一ヵ月も経た今になって,幾ら噂があったとか,皆がそう思っていたとか 報道されても『ならばお前らそれまで一体何を取材していたんだ』と言いたくなる. 俺様にとって少年Aは,完璧に透明な存在である.                 短くて質問も許さぬ逮捕の記者会見,伝えられる断片情報,悪しき噂の数々だけで 少年Aを真犯人だと断定することはとても出来ない.加害者の人権ばかり守って…と 徹底した少年A裁きまでが,唐突に沸き上がった.                 彼を犯人だと断定して,徹底した裁きを口にするなら,その断定の根拠が,何処に 存在するのかを考えてみるがいい.当然,それは警察の発表やマスコミの報道からの 影響である.然し,検証され確認されてはいない.                 唯一の証拠とは,池から出た凶器とされるものだけである.本当に少年の供述から 池を捜索したのかどうかも疑わしい.切断したとされる鍵くらいは発見して欲しい. 何故,簡単に諦めたのか? ある筈がないからか?                 少年は,小柄で痩せ型であるとの情報もある.かなり太めな印象を受ける被害者の 首を片手一本で抑えて,片手で靴の紐を解いて首を絞めたとする情報などは,もはや 荒唐無稽である.死体の脇で紐を靴に戻したのか?                『講釈師見てきたような嘘をいい』正に,警察もマスコミも,この講釈師そのもので いい加減なことばかりを並べ立てている.中学生が間違いない犯人だとする根拠には 何一つ本物だと断定出来るだけの検証が出来ない.                 そんな薄弱な根拠で,前代未聞の中学生による猟奇殺人だと簡単に信じられるとは 世の中狂っているとしか思えぬ.少年Aは,猿ぐつわを噛まされて,お前は犯人だと 袋叩きにされている.彼らに同調する勇気はない.                 それよりも警察発表が嘘なのだと決めつけて最後の最後まで,素行が悪いとされる 少年Aを信じてやろうと思う俺様である.つまり,警察は,何らかの理由で真犯人を 発表出来ない状況で,身代わりを作り上げたと….                 前代未聞の中学生の手による猟奇殺人を信じるより,でっち上げ事件の方が起こる 確率は,比較にならないほど高いのだ.然も,この高い確率で起こる事件の可能性は 全く考慮されていない.もはやこれは謀略である.                 もしも本当にこの中学生が無実であったら,警察やマスコミばかりか,大人全体が いい加減な情報に基づいて,一人の子供を容赦なく裁きにかけた現実は,社会全体の 信用が失墜する.子供は大人を信用しなくなろう.                 冤罪は,ずっと後になってから明らかにされる.場合に依っては,刑期を終えて, 改めて再審が認められて,すったもんだの末というケースもあった.全ては,警察の 発表に対し何の疑いも持たれなかった結果である.                 絶対に許されない犯罪であればある程,容疑者が間違いなく真犯人であるか否かを 徹底して検証する必要がある.いたずらに犯罪に対する憎しみを先行させ,盲目的に 容疑者叩きに走ることが,冤罪を生む元凶である.                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る