敵は幾万ありとても…

敵は幾万ありとても…

 週刊文春7/31では,野坂昭如の連載がない….何でだ? もしかして…神戸の 事件について,過激に『中学生は犯人ではない』とでも書いて,ボツにされたとか? 『筆者都合により今週号のみ休載』で一件落着….                 だが『何で今週号のみだ? 筆者の都合って何だ?』などと妙に勘繰りたくなる. 何しろ,今週号には,極秘メモなどと称して,執拗に少年Aバッシング記事が続く. 灰谷健次郎叩き,写真掲載は天の法だと開き直る.                 ここまで警察発表を信じて,中学生をまるで信用せずに,徹底して叩ける出版社の 感覚は,中学生が猟奇殺人の犯人と言われること同様に信じ難い.社会全体が子供を 信じない風潮なのか? 巨大な化け物隠しなのか?                『これ位のことが起きても不思議はない.また起きるかも知れない』と,世間でも, 子供を信じていない.然し,この少年の犯罪は例外的だと感じている.例外ならば, それを厳しく検証し,立証する作業が必要である.                 俺様が一億円の金をバッグに詰めて歩いていたところを職務質問に会ったとする. 『見知らぬ親切な大金持ちが,黙ってくれたんです』こんな言訳をしたら,簡単に, 納得してくれるだろうか? 多分,即逮捕だろう.                 近くで銀行強盗はなかったか? 盗難事件はなかったか? そんなことばかりを, 徹底して調べられるだろう.親切な大金持ちを懸命に探すことなど,後回しだろう. 中学生が猟奇犯罪とは,俺様はこの感覚で捉える.                『親切な金持ちに突然一億円の金を貰う』こんなことは,まず,通常ではあり得ない 例外的な事件である.然し,絶対にないとは言えない.『中学生が小学生の首を切り 晒し首にした』これも,あり得ないことではない.                 だが,それを信じる為には,本当に厳密な検証が必要である.然し,事件の詳細な 部分は,各報道機関によって微妙に違う.大体,捜査本部の取り調べの内容が,何故 マスコミを通じてまことしやかに流れて来るのか?                 然も,その情報自体がメディア毎に微妙に違う.何を信じていいのか分からない. 結局,真相は警察サイドから流されたと言うだけで,それが何処まで本当なのかは, 情報を受ける側には,事実上確認のしようがない.                 週刊新潮7/31号では,俺様が問題にした血痕について,捜査員が『頭には血が いっぱい付いとったやろ』と問うと『風呂場の水道でジャブジャブ洗ったから』と, 少年が答えたとされている.いいのか? これで?                『嘘をつくんじゃないっ! 兵庫県警っ! 誰に頼まれて,でっち上げをしたっ!』 これ位の警察への尋問がないと,子供の人権なんぞは守れはしない.次は,お前らの 子供が,真犯人にされないとも限らないのだぞっ!                 マスコミの全ての情報は,メディア同士で対立があっても,少年を犯人とする点で 完ぺきに一致している.こういう中で無実かも知れない可能性を考えることは,全く 無意味に思えてくる.然し,情報に信頼性はない.                 宮崎勤が逮捕された瞬間から,警察発表は,一度として疑われたことはないのだ. 彼に対する第一審判決が出された今年,再び同じような事件が起きた.証拠もなく, 容疑者を逮捕した警察は,何の疑惑も抱かれない.                 実際,今回の事件は,その周辺で実に用意周到な関連事件が起きている.日テレの 郵便爆弾事件では,容疑者が逮捕されたが,関連がないとして釈放された.これで, 警察は,無実の人間を逮捕しない印象作りになる.                 更に,奈良での中学生行方不明事件では,被害者宅付近に住む顔見知りの容疑者が 逮捕された.未だ容疑否認のままだというが,近くに住む顔見知りが犯人とされる, 神戸事件との繋がりが,少年Aの印象を悪くする.                 全てを疑って掛かれば,日テレの郵便爆弾は,それほど強い爆破力はなかった?  容疑者が日テレ付近で逮捕されたとは言っても,容疑者に繋がる映像はない.つまり 架空の犯人逮捕劇だった疑いを持つことも出来る.                 国籍がなく,表には決して現れることのない,多分戸籍にも記されない酒鬼薔薇の 姓を持つ存在とは? 中学生が作り上げた,幻の世界とされる内容を,俺様はマジに 信じている.そんな存在がいても不思議はないと.                 だからこそ,一番ありそうな警察のでっち上げすら疑わずに,素行の悪い中学生を 犯人にして,徹底して全てのマスコミが,全く,その犯行を検証することもせずに, 徹底して少年A叩きを繰り返すに違いないのだと.                 実際,少年Aが家裁送りになった後になって,今度は逮捕前から少年Aが犯人だと 噂がずっとあったと言う話が,急に浮上して来るのである.今週号の週刊文春でも, 極秘メモと勿体ぶる中に,そんな記述が見られる.                 この事件の報道は,少年Aの家裁送りの後,少しは鎮静化するかと思っていたら, 以前にも増して過激になっている.今週の週刊新潮の記事は『犯人の年齢をとやかく 言う前に,これが彼のやった現実なのだ』とする.                 この記事を何処のうすら馬鹿が書いたのか知らぬが,現場に残された多量の血痕が ジャブジャブ洗った首からどのように流れてきたか,納得の行く説明が出来るのか? 自分で書いた記事の中にある矛盾をどう説明する!                 もしも何処かでこの矛盾が指摘されて公になったら『ビニール袋の中には,大量の 血液を残して保管しておいた』とする供述内容が新たに流れるのだろうか? 彼らは ニュースソース非公開特権で,妄想を真実にする.                 俺様の世界は,所詮,独善的な世界なのだが,この執拗な少年A攻撃は,家裁への 圧力のようにも思えて来る.全てのマスコミが,これだけ騒ぐのだから,無実である 訳がない.少年が全面否定しようと嘘だと信じる.                 家裁の決定の中には『不処分』とする無罪の扱いもある.然し,マスコミの報道は 少年院がどんなところだとか,そんな特集で,容疑者の少年に有罪判決が出されると 決めて掛かっている.これも家裁への圧力と見る.                 ところで,いち早く少年Aについた筈の弁護士ドモは,酷いボンクラ揃いである. 結局,逮捕された少年のためには,何もしてやれなかった.全てが警察主導である. マスコミは,興味本位に走って真実の追究を怠る.                 マスコミの情報に接して,そこから真理そのものを受け取る可能性はゼロである. 幾ら偉そうに報道しても,彼らの狙いは,興味本位の域を出ることはない.それでも 情報の矛盾を見ることで,トリックの種が見える.                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る