犯行の動機は分かる訳がない

犯行の動機は分かる訳がない

 一ヶ月にわたった神戸首斬り殺人事件の容疑者の取り調べで,犯行の動機は,結局 解明出来ないままになってしまったと兵庫県警が発表した.理由を単純に考えれば, 容疑者とされた中学生が犯人ではないからである.                 結果的に見れば,ロクに証拠も揃わぬ中で,中学生を逮捕したと言う記者会見で, マスコミは,この警察発表という粗悪極まりない素材を,完ぺきな真犯人へと見事に 変身させた.然し,よく見れば中身は空洞である.                 大体,猟奇殺人を中学生にやらせようとしたところに無理があった.切断間もない 首が正門に置かれていたところに出発点があった.ニュース映像を通して,完ぺきに 全国的に知れ渡っている.当局は,これを忘れた?                 然も,その生々しい血痕の映像は,昨日も事件の関連映像として,しっかり放映が なされていた.それとも,これをないものにしようと慌てて血の部分を消している? マスコミがでっち上げに協力するならやるだろう.                 今後,繰り返される筈の事件直後の正門前の映像が,どう変化するのか,観察して 楽しむのも一興である.単純なミスだが,事件の後から,辻褄を合わせると心理的に 現場にあった首を持ち込んで細工する結果になる.                 つまり首を自宅に持ち帰って細工したり洗ったりしても,それが事件前の再現だと 気が付かなくなる心理的な錯覚なのである.だから,多くの人間が,二日間も犯人が 首を保管して細工していたと言われても納得する.                 今回の犯人逮捕劇は,中学生が猟奇殺人犯という設定のバーチャル・リアリティの 世界なのである.宮ア勤事件を,でっち上げとする俺様は,その程度のマジックには 引っかからないが,世間は,簡単にこれに乗った.                 今朝の朝日新聞の一面トップ記事が傑作なのである.「祖母の死で殺人の欲望」と ぶち抜いている.宮ア勤事件と同じ手法を使おうとしている.自分の身内が死んで, 殺人の欲望が芽生えるなら人類皆,殺人鬼である.                 既に俺様の世界では,容疑者の中学生が首を自宅に持ち帰った話は,完ぺきな嘘と 断定している.つまり,大量の血痕が,現場である正門前に残されていた歴然とした 事実から自宅で首を洗って保管したものではない.                 こうなると,魂を抜く儀式云々する説明はすべて作り話だと断定せざるを得ない. 少年が切断した首を,自宅に持ち帰ったとされる経緯が全て嘘だとなってしまうと, 一連の警察の発表にも重大な疑惑が生まれて来る.                 全国の中学三年生150万人の中の一人という安易な説明に頼れば,どんな事件も これで型がついてしまう.まるで違う人間を犯人に仕立て上げる場合,こんな説明が 最も使い易い.一人位,そういう人間がいると….                 百万分の一の確率で説明するよりも,でっち上げで説明した方が,遥かに事件は, 分かり易くなる筈なのだが….百万分の一の確率で起きることには説明が要らない. 然し,でっち上げには,十分な説明が可能になる.                 現場に多量の血痕が残されていた現実の前に,何故そんな不自然な弁明を全国的に ばら撒いたのか? 二日間,容疑者が首を自宅に保管したと言う発表があった瞬間, でっち上げの可能性を強く示唆していた筈だが….                 百万分の一の確率で起きたことならば,その犯行に至る手順位は詳細に説明される 必要がある.少年が切断したばかりの首を置いた説明がなされてしかるべきである. 余計なオカルト話は,でっち上げの痕跡と考える.                 宮ア勤が逮捕される頃,主婦が拾った現金を交番に届けた.これを受けた警察官が その金をネコババした.これが発覚しそうになったとき,警察は,善意のこの主婦を ネコババの犯人としてでっち上げに掛かったのだ.                 ごていねいにビニール袋に入れられた封筒を示して『これを捨てたところをお前は 見られている』と証拠物件まで示したと報道された.全国的に報道された事件だが, この事件ももしかしたら兵庫県警ではなかったか?                 無数のでっち上げの前科を持ち,あらゆる悪の手口に精通した犯罪集団,警察とは そうした側面をもつ組織である.宝くじに当たるような確率で起こる犯罪を,簡単に 信じる前に,発表した警察を疑うのが定石だろう.                 逮捕された中学生が犯人であろうとなかろうと,警察発表の真偽を確認する姿勢が あってしかるべきだろう.本当に人権に配慮する姿勢とは,そうした基本的な手順を 忘れないことである.今からでも遅くはないのだ.                 俺様には,子供はいない.だから,その辺の素行の悪いクソガキがどうなろうと, 本来,俺様の知ったことではない.だが,いたずらに警察発表を真に受けて,奴等を 凶悪犯人なのだと簡単に信じるほど単純ではない.                 警察発表に一切の疑いの目を向けないマスコミである.明日は我が身かも知れぬ. 何か事件を目撃して,それを通報したために『お前がやったんだろう?』と責められ マスコミに発表されたら,救われる道はないのだ.                 ワイドショーか何か知らぬが,本日も,現地須磨区に取材して『ねぇねぇ…,あの 中学生が逮捕される前から,犯人は彼だって噂があったんだって?』と,聞きまくる 番組があった.警察に逆らうより,中学生叩きか?                 これまでの報道をニタニタしながら見つめている真犯人が何処かにいる.生け贄が 捧げられて自分の身代わりになったことに満足しているのか? まさか,あの中継の 背後でニタニタ笑いをしていた中に犯人がいたり?                 今やお堅い筈のニュース番組そのものが,バーチャル・リアリティの世界である. 最近の傑作は,現在,未だ放映中の神戸首斬り殺人事件である.いずれこの事件は, 近々,現実の世界に引き戻されて種が明かされる?                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る