報道を信奉する善人を糾弾するマスコミ

報道を信奉する善人を糾弾するマスコミ

 インターネットの世界で,神戸首斬り事件で逮捕された少年の写真が掲載されて, 徹底して犯罪を糾弾する動きは,事実上,容疑者を真犯人として扱う報道を,完璧に 信じている善良な心がその根底にあると判断する.                 週刊文春7/17の記事を信じれば,朝日新聞は,こうした善良な市民の主宰する ホームページを取材する過程で『プロバイダーの名前を夕刊で公表する』と述べて, 問題のホームページを自主的に降ろさせたという.                 これに対して朝日新聞側は,紙面で『取材はしたが脅しは掛けていない』と弁明. 取材自体,そして紙面に名称を公表するとの言動が,総会屋並みの脅しとなるのだ. それが解らない朝日とも思えぬ.言い逃れである.                 日本のインターネットの弱いところは,プロバイダーが言論の自由を,断固として 守らんとする使命感に欠けている点にある.サラリーマンの手内職で運営されれば, ちょっとした抗議だけでページを閉鎖してしまう.                 マスコミから,いかがわしいと判断されてプロバイダーの名前を公表される事態は 何を差し置いても避けたい.サラリーマンとしての地位保全を最優先させてしまう. 決死の覚悟で仕事をする気概は期待すべくもない.                 例えば,俺様の周囲でも,マスコミ報道や警察の発表を疑うような人間は,先ず, 異端者扱いである.「まったく近頃の中学生は恐いねぇ」これが挨拶代わりになる. 俺様が彼らと話をしても,噛み合うところはない.                 警察発表やマスコミ報道を疑って,得られるメリットは何もない.多くの物書きは 何処かでマスコミとの接点を持っている.マスコミ報道を鵜呑みにして,一切批判を しない暗黙の前提があって彼らは飯が食えるのだ.                 出版社は赤字の文学雑誌に,作家の小説などを載せてせっせと彼らを養っている? 週刊新潮7/17では,写真掲載を擁護する著名人の意見を掲載している.俺様は, 安易に容疑者を裁く著名人ドモに吐き気を覚える.                 インターネットの世界では,例えば写真掲載をすることで,謝礼を貰うことなど, 思いも寄らぬ世界である.然し,著名人は,確証もなく子供を裁いて金を貰うのだ. マスコミ報道を鵜呑みにすることが商売でもある.                 彼らのいかがわしい言動が,公判も開かれていない捜査段階の取り調べの過程を, 最終判決であるかのように錯覚させて一般の心を惑わせている.インターネット上で マスコミ対決を叫ぶ者も報道を信じた人々である.                 朝日新聞に代表される大手マスコミの報道を信じればこそ,逮捕された中学生を, 心底から真犯人だと確信して,生ぬるい対応に怒りを覚えるのである.マスコミには 写真掲載するホームページを責める資格などない.                 大手マスコミは,事実上,中学生を何の確証もなく任意同行させた末に,逮捕して 犯人だと発表した兵庫県警の発表に,どれだけの突っ込みを入れたか.『発表自体, 本当に間違いはないのか』これすら問うていない.                 取調室は密室である.どのような過程で何を自供させたのか,分かろう筈もない. 『金槌とかノコギリとか,誰かが何処かに捨てたのを見たことはないか?』などと, 無関係な質問のふりで質問した結果かも知れない.                『そう言えば,あの辺の大工が要らなくなった道具を,よく池に捨ててた…』などと 聞けば『ヨッシャッ』と池に向かって,それを発見して,自供に基づいた動かし難い 証拠だと発表すれば,マスコミは素直に同調する.                 今朝の報道では,警察は,南京錠の発見を諦め,ありふれたノコギリと金槌だけで 十分立件出来ると強気である.それはそうだろう.人権の壁に阻まれて,容疑者は, 完璧に隔離されて警察の好きなように処理出来る.                 極めて証拠能力に乏しい現状で,マスコミは,容疑者に纏わる様々な不利な情報を 執拗に流した.彼は,こんなに恐ろしいヤツだとの印象を強く与えた.乏しい証拠を カバーして警察発表に信憑性を持たせるように….                 代表的なところでは『カッとすると何をするか解らぬ怖さがあった』とする証言が 挙げられるが,前後の見境がなくなることと,予め南京錠を付け替えておく計画性は 素直には結びつかない.むしろ,違和感すらある.                 然も,その切断した南京錠については,結局,警察は,発見を諦めたと発表した. マスコミは,こんな密室の取り調べ結果を,頭から信じて報道した.当初の発表から 真犯人と断定する根拠は,かなり後退してきた….                 南京錠が付けられた状態で,問題のノコギリで,南京錠が切断出来るものか否か, じっくり検証して貰いたいものだ.合わせて扉に傷は残っていなかったのかどうか? 何処かでボロが出そうな気がしている俺様である.                 更に容疑者逮捕前の気になる情報として,週刊文春7/17に依れば.毎日新聞が 『被害者の首に指紋』と報じた.他社は,バカにして相手にもしなかったそうだが, 毎日は,県警記者クラブ出入り禁止になったとか.                 然し,毎日側は,これを慎重な取材の結果として報道を否定してはいないという. 県警の意向に逆らった記事を書けば,このように県警記者クラブ出入り禁止である. なるほど,これでは警察発表に逆らえる訳がない.                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る