現実と空想の区別がつかぬ幼児並み報道機関

現実と空想の区別がつかぬ幼児並み報道機関

 例えば,一連のマスコミ報道の中で,よく聞かれる論理に『現代の若者は,現実と 空想の区別がつかない』とする一言が挙げられる.犯罪が起きる度に,繰り返される 論理でもある.俺様には,実感のない論理である.                 例えば,そういう報道を安易に繰り返すマスコミ自体が,同じ間違いを犯しながら それに気がつかずにいる実態が,今,堂々と罷り通っている.マスコミが,若年層を 巻き込んで,空想を,現実だと思い込ませている.                 容疑者となっている中学生が,任意同行から自供に至った過程に,一度でも検証を 試みる厳しいチェックがあったのかどうか? 警察発表に強い疑いを持って,事実の 確認を積極的に行った経緯などは,一切なかった.                 実質的には,警察発表には,一切の検証を行わずに,それを完璧に鵜呑みにして, 一気に『何故中学生が…』と言う論理に飛躍した.今朝の段階ですら,明確な証拠は 何一つない.マスコミはこの現実をどう説明する?                 犯行に使用したと『思われる』ノコギリと,別の事件に使用されたと『思われる』 金槌が発見されたと言うだけで,鑑識の結果,凶器と断定されている訳ですらない. 然し,様々な報道は,容疑者を真犯人と断定した.                 つまり,容疑者として捕らえられている中学生が,真犯人であるか否かは,依然, 未知数のままである.真犯人が逮捕されたとは断定出来ないのが,現在の最も正確な 状況である.マスコミは,現実を無視して走った.                 積極的に中学生を集めて『同じ中学生が,あのような犯行を行ったことについて, どう思うか』などと質問を展開している.バーチャル・リアリティの世界を展開して 積極的に子供を騙しているのは,マスコミである.                 本当は何が起きたのか,何一つ分かっていない.本来なら,マスコミは,今までの 警察発表に厳しい監視の目を向けて,様々に検証の目を向けていなければならない. 逮捕された少年の人権には最大限の配慮が必要だ.                 戦火拡大するマスコミ報道は,更に『こんなヤツが少年院に入っても,僅か2年で 出てくる』ことを危惧する発言まで報道する.それに対して『いや,必要とあれば, 26歳まで隔離することができる』などと語られる.                 容疑が固まってもいない未成年の容疑者に,ここまで現実的なシミュレーションを 展開してしまうのである.こうなってしまうと,警察もマスコミも,今更,これらの 容疑が引っ繰り返されては,困ってしまうだろう.                 最大の問題点は『捜査段階の取り調べ』にある.今回の報道で,この実態が現実に 検証出来た筈である.誰一人として,疑問をぶつける者がいない.宮崎勤事件でも, ここは『神聖にして侵すべからず』の聖域だった.                 この捜査段階の取り調べに掛かれば『警察庁長官を銃撃した』と,現職の警察官が 自首した事件ですら,白と判断すれば,そのまま通ってしまう.天下のマスコミとて 『そうですか…分かりました』と,以後沈黙する.                 誰一人,気がつかないうちに,バーチャル・リアリティの世界に誘導されている. この俺様ですら,一瞬『犯人は,中学生か…』と頷きかけた….このバーチャルなる 世界は,甘い匂いが漂って,実にいい気分である.                 このバーチャル・リアリティの世界で,大人は子供への不満をぶっつける.子供は 満たされぬ鬱憤晴らしに,容疑者の中学生を英雄視する.現実の世界を舞台にした, 出来すぎたホラー映画は,空前の大ヒットである.                 兵庫県警の捜査本部は,今後,どんなドラマの筋書きを観客に提供してくれるか? マスコミも視聴者も読者も,固唾を呑んで続編の始まりを待っている.だが,所詮, 作り物のドラマである.幾らでも疑問は生じる….                 犯行声明には,ワープロ特有の誤変換の跡などが見られたとされる.では,肝心の ワープロは発見出来たのか? この疑問を,マスコミと観客に,どう納得させるか? ひとつお手並み拝見…,優秀なる兵庫県警諸君….                                       ** 悪魔 **        ・目次に戻る