でっちあげ事件に見られる怪奇現象

でっちあげ事件に見られる怪奇現象

 警察官が,職務質問の過程で,予め覚醒剤を用意して,相手の持ち物の中に入れて 覚醒剤所持容疑で逮捕したという事件があった.然し,よく事実が明らかになった. 普通なら,それで冤罪が確定してしまう筈である.                 勝新太郎ではないが『知らぬ間に入っていた』というような言い訳が通用するとは 到底考えられない.例えば,これがシンガポールならば,量によっては死刑である. 海外旅行には,どこかでそんな恐怖が付きまとう.                 事件の報道に接して『やっぱりこういうことがあるのか…』改めて,そう思った. 無実の人間が,その無実を強く叫べば叫ぶほど『白々しい.改悛の情がない』として マスコミの手で執拗に叩かれてしまう恐れもある.                 否定すればするほど,より真犯人だと断定されてしまう.勿論,何もしなければ, そのまま真犯人として確定してしまう.国家権力の手にかかれば,冤罪など幾らでも 作り出せる.基本的に逃れられぬシステムである.                 それだけに,下級警察官のでっちあげが明らかにされ,その結果として,上層部の 人間の処分がなされたことを,どう解釈していいのか戸惑う.単純に,警察の良識が 身内の犯罪を公にして幹部を処分しただけなのか?                 一つの疑念として,俺様は,以上のメモを残しておいた.そんなおり,6月19日の 新聞に週刊文春6月26日号の広告が目についた.『覚醒剤でっちあげ事件警察発表の ウソを暴く』のタイトルであった.これは一体….                 当初のマスコミ報道からの印象では,二人の警察官が,知人から入手した覚醒剤を 使って,無実の二人の市民を犯人に仕立て上げた.然し,容疑が晴れて,二警官と, 覚醒剤を渡した彼らの知人が逮捕されるに至った.                 このように受け止められる訳だが,問題の記事によると,覚醒剤を渡した知人は, 真っ向からその事実を否定して冤罪を主張している.彼は,情報屋のような存在で, 警察に情報提供して謝礼を貰っていた存在だった.                 濡れ衣を着せられた二人の市民は,ホームレスと工員だったという.然し,氏名が 公表されていなかったために,記者が現場周辺のホームレスを当たって,その一人を 探し出して,やっと取材に成功した経緯があった.                 このホームレスの逮捕には,数名の私服が加わっていた.交番の警察官二人という 単純な状況ではなかったとされている.パトカーとワゴン車までやってきて,写真を 撮ったりなど,かなり物々しい騒ぎになっていた?                 そして,もう一人の被害者である工員だが,彼は冤罪ではなく,覚醒剤を所持した 売人だった.情報屋である『知人』が,警察から,この工員から覚醒剤を買うように 頼まれて,工員の車の中でその受け渡しを行った.                 ところが,工員がまだ覚醒剤を出さない内に,車に警察が踏み込んで,『知人』に 「逃げろっ!」と命令したので,慌てて逃げ出して後のことは知らないのだという. それが,どのような経緯で逮捕されたのか不明….                かの『知人』は,覚醒剤を警官に譲渡したことや,工員の車に置いたことの全てを を全面否認,冤罪を主張している.一体,警察で何が起きているのか? 警視総監が 懲戒処分,当該署長が引責辞任までした理由とは?                 冤罪を明らかにしたのではなく,覚醒剤容疑の一人を釈放して,代わりに,一人の 人間の冤罪をでっちあげようと画策している形態である.無論,記事の通りだとして 話を進めている訳だが….警察は何を考えている? ** 悪魔 **     ・目次に戻る