『宮崎勤精神鑑定書 多重人格説を検証する 瀧野隆浩著』を読んで(6)

『宮崎勤精神鑑定書 多重人格説を検証する 瀧野隆浩著』を読んで(6)

俺様の視点でロリコンの被害を考える  この本の記述を読んで感じることは,結局,宮崎勤は,ロリコンですらなかったと 思えてくる.正確なロリコンの定義には疎いものの,以前から成人女性のパンチラを 撮影するロリコンに,違和感があった俺様である.                 宮崎勤が,テニスコートで,女性のパンチラ姿を撮影したとするマスコミの情報が あり,漠然とロリコンも,ただのドスケベもごちゃ混ぜにして,ともかく,彼の中に 潜んでいる異常性を強調するための道具にされた.                 然し,彼はロリコンでもドスケベでもなく? 単に流行を追っていただけだった. 少なくとも,この本から受ける彼の感覚では,そうなってしまう.性欲のない人間が そうした映像に刺激されて欲情を抱くこともない?                 そうなるとマスコミの報道に刺激されて,ロリコンと呼ばれる人々が謂われのない 非難中傷を受ける結果を導き出した.『やっぱりこういう人っているのね』何処かの タレントが判決後,そんなコメントを出していた.                 俺様は,敢えてここでロリコン擁護をするつもりはない.然し,俺様自身の中に, そうしたロリコン的な部分を検索すると,彼らの中に共通するかも知れない思い出が 蘇る.それは小学校3年の頃の鮮烈な体験である.                 転校して間もなく,俺様は,近くに住む女の同級生に心を惹かれていた.俺様が, 下校するとき,彼女は,何故かいつも俺様の後をついて帰ってきた.家が近いから, たまたま方向が同じだけだと思っていたのだが….                 俺様が,他の同級生と別れて一人になると,俺様の名を呼んだ.然し,別段,何を 話す訳でもなく,俺様が立ち止まれば,向こうも立ち止まる.一定の距離を置いて, 俺様の後をついて歩くだけ.俺様は戸惑っていた.                 俺様の中には,彼女を可愛いと思っていたし,出来れば一緒に帰りたい気持ちが, 確かにあった.当時の気風として,男と女が一緒に遊ぶとか,一緒に登下校するなど 出来たものではなかった.それは男の恥であった.                 彼女の行動は,それだけに留まらず,俺様が家に帰った後も,俺様の家の前まで, わざわざ出向いて,垣根の隙間から顔を覗かせてニコニコしながら俺様を見ていた. 『あの子は一体誰なんだい?』親も訝っていた….                 どうして彼女は,俺様の後を付け回していたのか,理由は分からない.俺様自身, 本音を言えば,そんな彼女が好きだった.然し,そんな彼女に応えられる風潮からは 遠い時代だった.それにしては彼女は大胆だった.                 然し,それも長くは続かなかった.間もなく彼女は,パッタリ登校しなくなった. 先生の話では,彼女は,病気であるとのことだった.家が近いと言うことで,俺様は 給食のパンとか,プリントを届ける日々があった.                 俺様が彼女の家を訪問すると,縁側に面した障子を開けて,彼女が姿を見せた…. いつも黙って微笑むだけの彼女がそこにいた.彼女の話をした記憶は残っていない. 声の記憶は,下校時に俺様を呼んだ声だけである.                 彼女の姿を見たのは,七夕の日が最期であった.その日,クラス仲間全員で作った 七夕の短冊を,俺様が彼女の家に届ける事になった.姿を見せて短冊を見つめていた 彼女は,まるで透き通るような美しさがあった….                 突然,今まで以上にきれいに見えたその時の印象は鮮烈であった.何か近づき難い 遠い存在であるような錯覚さえ覚えた.それまで,クッキリしたカラー写真であった 彼女が,淡い水彩画の透明な美しさに変わった….                 近くに住んでいたのに,俺様は彼女の死を知らなかった.夏休みが明けたある日, 先生の口から初めて彼女の死がクラス全員に知らされた.あの短冊を見つめる彼女の 姿が,結局,俺様が見た彼女の最期の姿になった.                 彼女との出逢いと別れは,俺様の心に焼きついた.おりに触れて思い出される度に 彼女との思い出だけで,俺様は生涯結婚しなくても生きられるかも知れない.そんな 思い込みすらあった.然し,俺様は俗物だった….                 小学生の群れを見るとき,無意識に遠い昔に夭折した彼女の姿を追い求めてしまう 奇妙な錯覚が俺様の中にあった.全ては遠い彼方の記憶の一こまに変遷してしまった 現在ではある.ロリコンは,この延長線上にある?                 このような視点で考えるとロリコンとは,そうした子供の時代の鮮烈な記憶から, 抜け出せぬままに成長して,大人の汚れた世界を見るに耐えられず? 少女の美へと 心を固定させてしまった存在だと解釈されて来る.                 それは,いたずらに少女を犯そうとする側面ではなく,穢れのない子供の純粋性を 愛する純な心が根にあるのかも知れぬ.あるいは,現実の少女よりも,アニメの中に 描かれた,架空の少女を愛する奇妙な形態もある?                 宮ア勤という一人の人間がロリコンと断定され,更には殺人鬼にされてしまった. ここで,ロリコン=殺人鬼と言う図式が成立して,基本的に,何ら罪のない性意識が 殺人鬼に繋がる危険な性感覚にされてしまった….                 もし宮ア勤がロリコンでもなく,殺人犯でもないとしたら,マスコミ報道の波及で ロリコンという存在が,いわれのない非難中傷に晒された被害が潜在的に有り得る. 然し,被害が表立って語られる機会は恐らくない.                 俺様は汚れた大人の女にしか欲情を感じない変態? になってしまった….それも 最近は,歳と共に,めっきり元気がなくなって,頭髪同様に枯れススキである.^_^; 女にも用がなくなり,既に聖人君子の心境である?                 俺様のページからリンクしているロリコンの頁がある.もし応えて貰えるものなら かの主宰者からの,意見も聞きたいところである.然し,ヤッコさん,いつの間にか 売れっ子ライターに変身して多忙だから無理かな?                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る