『宮崎勤精神鑑定書 多重人格説を検証する 瀧野隆浩著』を読んで(2)

『宮崎勤精神鑑定書 多重人格説を検証する 瀧野隆浩著』を読んで(2)


 警察幹部の発言に疑惑  宮ア勤に首が締められるか?  この本の著者が警察幹部から聞いた話では,宮ア勤は『手の障害を女の子に笑われ カッとなって首を絞めた』と聞かされたと言う.とても分かりやすい説明だと記者は 納得するのだが….(39頁)何処か不自然なのだ.                 実は,カッとなった宮ア勤が,首を絞めに掛かることにも強い疑問がある.彼は, 自分が,首を絞めた可能性を認めながらも『手に力がないから,何がどうなのか…』 (145 頁)彼は可能性を素直に認める傾向がある.                 実は,車の中で宮ア勤自身が,カッとなった場面が,この本の中に描かれている. 母親から『いつまでも遊んでいると近所の人から…』と言われて,カッとなった彼が 左手で母親の右手で強く2・3回殴打した.(68頁)                 無論,彼が運転中だったと言う環境もあるから,一概には言えない.然し,カッと なった彼が,力の入らぬ手で突然首を絞めに掛かるよりは,思い切り殴りつける方が 自然である.怒りは反射的に出来る動きに向かう.                 更には,幼児が宮崎の障害に気がついたとしても,それをいきなり笑うものか?  子供は,そういう場合に,強い好奇心を持つかも知れぬが,突然,笑ったりするか? 警察幹部が記者に語った言葉は多くの疑問が残る.                 余談ながら…,著者の記者さんよ….人間が,カッとなったときの表現に『琴線に 触れる』と言う言葉は適当ではないぞ? それは感動を呼び起こす言葉に使われる. 宮ア勤の小説を『稚拙』とは言えないぞ?(68頁)                性欲のない人間に性犯罪が行えるか?  更に,記者が逮捕当時の捜査本部の幹部から聞いた,犯行の動機が書かれている. つまり『宮ア勤は大人の女とやることが怖かった.然し,性欲は抑えきれなかった. それで幼い子供を狙った』彼がそう自白したのか?                 然し,彼は元々,性欲を感じたことがない人間だった.それは,185頁から,詳しく 鑑定人とのやりとりが掲載されている.母親も,性器を弄ぶ彼を見たことも,下着に 夢精の跡が付着していたこともなかったと語った.                 では,これら警察幹部が,記者に語った犯行の動機は一体何だったのか? どうも これは,取って付けたような動機でしかない.彼の行動パターンとは著しく食い違う 絶対的な矛盾がある.改めて問う.彼は真犯人か? ** 悪魔 **       目次に戻る