裁判所よ,お前もかっ!

裁判所よ,お前もかっ!


 宮ア勤事件は,警察やマスコミ,更には,裁判所までもが,つまりは国家の総力を 挙げて,一人の青年を無実の罪で死刑にしようとする今世紀最大の冤罪事件である. もはや,彼に救いの道はないのか?                        例えば,凶悪殺人犯などは,多くの場合,逮捕されたことで,何処かホッとすると 伝えられる.逮捕される恐怖から開放され,初めて安心して眠ったとされるケースが よく報告される.                                そこで,犯行を理路整然と自供した犯人は,通常は,冷静になって,自らが犯した 罪の重さに反省と悔悟の境地へと向かうものである.拘置・留置されて,心安らかな 境地に至るものではないのだろうか?                       そうした経過の中で,例えば,遺族に詫び状を書くなどの行動が自然に出るように なるものではないのか? 基本的に、留置や拘置は,それ自体,犯罪者自身が反省の 機会を得られる方向性があってしかるべきである.                 ところがどうだ? 宮ア勤は,ネズミ人間だのマネキンのような死体とか,精神に 異常を来した言動を見せてしまった.彼が真犯人であるなら,これは,極めて異例で ある.まともに証言も出来なくなってしまったのだから….             こうなると拘置の仕方に大きな問題があるのではないか? 適切な治療をするなど 何らかの処置が必要であった筈である.あろうことか,裁判所は,この異常さには, 全く見向きもせず,『単なる拘禁反応』とした.                  誰もが宮ア勤が凶悪犯人だと思っている所為か,拘禁されている状態が,どんなに 劣悪であったかに目を向けようともしない.裁判所は,幾度もの公判の経過の中で, 拘置の仕方に,疑惑を向けるべきではなかったか?                 仮に,彼の公判での異常な言動の総てが,罪を逃れるための芝居だと断定しても, 彼が最後に放った言葉は,自らの罪を重くする効果しか発揮し得ない,遺族に対して この上もなく残酷なものだった.                        『早く家に帰りたい』と言い,判事が『帰れると思うか?』との問いには,『はい. それほど悪いことはしていませんから…』と言い放った.俺様に言わせれば,これは 彼が自らの無実を語る最大のポイントと受け取れる.                いかに暗示によって,犯罪を実行したかのように思わせても,所詮,それは,夢の 世界の出来事でしかない.従って,例えば,遺族に謝罪をするような自発的な行動に 向かうものではない.                              本当の自分は,そんな犯罪を犯していないことを知っている.ただ,何故,自分の 心に犯罪の記憶があるのかが分からないのだ.つまり,催眠術で与えられた暗示は, それが何処から来たかが分からない.                       我々が夢を思い出したときに,どうしてそんな夢を見たのか分からないのと同じで ただただ戸惑うばかりである.例えば,夢の中で知人を理由もなく殴っても,夢から 覚めた後で,その知人に謝罪などはしない.                    然し,こんな側面を見ようともせず,結果的に,宮ア勤は,未だに,遺族に対して 詫びの言葉一つ掛けていないと,凶悪さに拍車を掛ける印象を与えた.死刑判決に, 何の疑念も持たせない策略が働いたのか?                     国松警察庁長官を狙撃したと自供したとされている警察官の場合にも,これと似た 反応が見られる.ただ,暗示によって狙撃を実行させられたのか,または,やったと 思い込まされたのか,その識別は分からぬ.                    つまり,自供したからと言って,必ずしもそれが真実だとは限らない.警察側は, 現実に,そうした理由で,これが明らかになるまで,この警察官を逮捕せず,勤務に 就けていた.これは,極めて異常である.                     少なくとも,警察は,自らの組織のトップにいる人間を狙撃したと自供した人間を 拘留もせずに自由に行動させていたのだ.或いは,他に適当な容疑者を見つけた上で 彼を実行犯に仕立て上げるつもりだったのか?                   然し,逮捕された教団の人間は,どれもこれも,宮ア勤のような訳には行かない. 適当な替え玉が浮かび上がらぬまま,発表しなければならぬ羽目になってしまった? このように考えることも出来る.                         宮ア勤は,今回の死刑判決を以って,初めて犯人であると確定された.然し,既に マスコミは,逮捕直後から,実名呼び捨てを以て,犯人扱いにして,彼とその家族を 徹底した裁きの嵐に巻き込んだ.                         判決は『被告人,宮崎勤を死刑に処す』とする主文を冒頭に持ってきたとされる. つまり,敢えて,被告に強いショックを与えることを承知して,極めて残酷な形態で 判決を言い渡したのだ.                             ここに至る前に,彼の父親を自殺に追い込み,家族は離散した.マスコミが寄って たかって標的にした秋川新聞社の看板のあった家も宮崎勤の部屋も,彼らが浴びせた 言葉による十字砲火の弾幕で跡形もなく粉砕された.                とは言え,現実には,宮ア勤の母親や弁護人関係者が,この敷地を被害者遺族への 弁済に当てていると判決理由の中で述べられている.もはや,宮ア勤の謝罪の有無や 真実に関係なく,罪が完璧に確定している.                    事実認定を争わないとされる絶対的な前提がある以上,被害者に対する賠償などに 現実的な対応がなされるのは当然であろう.だが,もし事実認定自体に重大な誤認が 判明した場合,覆水は盆に帰らぬ….                       一審判決当日の朝日新聞夕刊に『事実認定に強い自信』と見出しに書かれている. 現実に,宮ア勤の背後で賠償まで進んでいるのに,まだ『強い自信』程度の感覚で, 死刑判決が出されてしまったのだ.                        宮ア勤の罪が確定する前に,マスコミは,彼の家族を完璧に抹殺した.結果的に, 最高裁まで行かなければ,人の罪は本当の意味では確定しない.それまでは,総てが 慎重でなければならぬ筈である.                         俺様は,この判決理由を読んで,ますます,宮ア勤を替え玉に仕立てて,真犯人を 隠蔽した疑いを強くした.こうした裁判のあり方自体に,強い憤りを覚える.いずれ その感想を述べたい.** 悪魔 **                     冒頭に戻る