先入観だけで裁かれた二審判決

先入観だけで裁かれた二審判決

 宮ア勤に第二審判決が下った.と言うより控訴を棄却されただけという形態だ. それでも今回は,弁護側から捜査段階の取調べが拷問による自白であるとの主張が なされた.然し,信用出来ないとされて一件落着.                何を根拠にして信用出来ないとされるのか? 詳しい判決内容を期待して今朝の 朝日新聞を開いたところ,もはや一行も判決に触れる記事もなかった.夕刊だけで 全ては報道し尽くしたと言うつもりなのだろうか?                それでも29日の夕刊にでも掲載されるのかと一抹の期待を持ったが無駄だった. 結局,マスコミの関心は,死刑判決を当然として,敢えて判決の詳細を記事にする 報道の使命すら果たそうとはしない状況だと思う.                ただ,判決当日の夕刊の記事だけでも明確に解ることがある.それは,裁判所が 一度も真犯人を法廷に引き出した事実がないことである.取調室で素直に自供した 真犯人の人格を一度も法廷に立たせていないのだ.                残念ながら,裁判所は自らの法廷で見た宮ア勤の姿を何ひとつ信用していない. その代わり,全く見聞していない取調室で出来上がった完璧な調書を信用する…. そのような供述が出来る宮ア勤の姿は見られない.                別件逮捕で,進んで上申書を書いて理路整然と犯行を自供したとされるのだが, 彼は,その片鱗を伺わせる取調室での態度を法廷の場で一度として見せていない. 真犯人と法廷の宮ア勤は全くの別人のようである.                裁判で罪を逃れんとして,一転して法廷で終始一貫曖昧な供述を繰り返すとは, これこそが信じ難い現象である.犯人しか知り得ない内容を供述した何者かが居て 警察がその者を確保したことも確かだと確信する.                だが,取調室から法廷に出た宮ア勤は,一度として理路整然とした供述をせず, 曖昧な供述を繰り返した.取調室で供述した真犯人と宮ア勤は本当に同一人物か? 多重人格どころか,終始一貫同じ人格と思われる.                むしろ,こうした極めて異常で不自然な状況では,取調室で供述した真犯人は, 宮ア勤とは別人であると判断することが自然だと思える.警察は,真犯人を隠して 身代わりに宮ア勤を選んだ可能性を考えたくなる.                俺様は,宮ア勤逮捕の報道以来,彼の犯行だとする主張が空々しく思えて来た. 宮ア勤が書いたとされる『犯行声明』を,後に単行本で読んだ時,真犯人は,何と 捜査本部に在籍する現職警察官であろうと感じた.                警察は,犯行声明を読んだ段階で,誰が真犯人であるかを特定出来たのである. 『署長は,捜査員に本当の情報を伝えていない』犯行声明の中にこのような記述が 歴然となされる.捜査員の発想そのものと言える.                つまり,警察に入った情報の流通経路に熟知した人間の言葉である.一般的には 警察は警察でしかない.署長と捜査員という分け方は,警察内部の人間でなければ 出来ない.捜査員への情報は署長を通じて流れる?                もし犯人だけしか知り得ない情報を,署長が正しく捜査員に伝えていないならば 捜査員を信用していなかったと推察することも出来る.それは,身内に犯人がいて 凡その見当を付けていたということかも知れない.                犯行声明は,正しく真犯人を特定する最大の手掛かりとなった筈である.警察は 遺骨を届けられる現職捜査員は一体誰なのかについて,いとも簡単に割り出せた. だが,現職警察官が犯人とする訳には行かない….                これだけの大事件を,あろうことか,捜査本部の捜査員が犯人であったなどとは 口が裂けても発表出来なかった.そこで身代わりになる別件の容疑者を物色した. 宮ア勤は,運悪くその身代わりにされてしまった.                二審判決と言えども,一度も取調室で供述した真犯人の姿を見せない宮ア勤には 何の疑念も抱かず,取調室で調書を取られた真犯人と宮ア勤を同一視してしまう. 聖域的な警察の取調室に裁判所は無条件降伏する.                例えば『犯行声明』の内容が捜査をかく乱する目的で書かれたとしても,それが 事実と符合しなければ何の動揺も与えない.だが,もし書かれている通りならば, 裁判所は,真っ先に捜査本部を調べる必要がある.                俺様が問題にする箇所は,明らかに幼女連続殺人事件の捜査本部の中の描写で, その中の署長と捜査員の状況を説明している.これは,極めて重大な記述なのだ. 真犯人が捜査本部の動きを察知して書いた状況だ.                真犯人は,幼女連続殺人事件の捜査本部の内情に精通していたとしたら,犯人が 送った写真を署長がどう扱ったかなどについて,推測とは言いながら,断言出来る 根拠は何だったのか? 本当にそれを見ていた…?                少なくとも,一審・二審の判決で一度として,詳細に検討されることのなかった 取り調べ段階の供述調書なるものが,徹底して分解され検証されなければならぬ. 彼に有利な状況は全て破棄されて判決が出された.                宮ア勤には,性的な関心が全くなかった状況もあり,その意味で性的暴行目的で 犯行に至る必然はないとされる部分は,完全に黙殺された.宮ア勤に性欲がないと 認めてしまうと,この連続殺人事件は成立しない.                この連続殺人事件は,明らかに性的暴行が加えられていた証拠があるのだろう. 俺様が推測するように宮ア勤は真犯人の替え玉だとしたら,正しく当局は,大きな ドジを踏んだ.性的欲望のない人間を選んだから?                然し,それでも捜査段階の取調室がブラックボックス的絶対的信頼の聖域なら, それに反する供述や証拠の一切は『信用出来ない』として一蹴すれば,誰の身にも 明日は凶悪犯にされる可能性が待ち構えている….                裁判があらゆる疑いの可能性を見究めようとせず,最初から死刑を決めている. 『控訴を棄却する』と二度も繰り返したとされる辺り,この裁判官は先入観だけで 裁きを決定した.何一つ新しい検証もしていない.                真理を公正に見究める筈の法廷の場が,先行した報道に惑わされて,自ら白紙で 臨む姿勢を捨て去っている.裁判に異例の時間を掛けた意味は一体何だったのか? 終始一貫した宮ア勤の姿勢が実は無実の証である. ** 悪魔 **       ・目次に戻る