週刊新潮に群がる忠実な番犬たち

週刊新潮に群がる忠実な番犬たち

 他の週刊誌が全く取り上げない話題も,自社の出版物の宣伝の意味もあるのか, 週刊新潮10/1号では,著名人に被害者の手記『淳』の感想を求めていた.これとて 無料配布して,相応の謝礼を払っての結果だろう.                ここでも執拗にA少年を真犯人と断定したまま,一歩も動かない前提が全てで, 事件を根本から見直そうとする意見が見られない.もっとも,この出版社自体が, 冤罪説を過激派の陰謀と決め付けている総本山だ.                生死を問わず,事件の被害者は絶対的に人権が尊重されることはない.例えば, 通り魔の被害に遭った結果,障害者になれば,被害者は自らの障害を背負ったまま 生きて行くしかない.加害者は元気なままである.                一定の罪の償いが済めば,加害者は,そのまま社会復帰が果たせる.この現実は 絶対的に覆しようがない.全ての犯罪の被害者と加害者がこのような関係にある. 殺人も15年の服役を済ませれば大手を振れるのだ.                絶対的に,被害者の人権を尊重するなら『目には目を,歯には歯を…』の対等な 報復を加害者に科す必要がある.人を障害者にしたら,加害者も同じ障害を背負う 肉体的刑罰を科すべきである.金で償いは出来ぬ.                加害者が被害者と同じ境遇に落とされない限り,被害者の人権など無に等しい. 今回の事件だけでなく,文明社会で起こる犯罪の全てが,この常識に支配される. 肉体的刑罰を残虐だとすること自体が人権無視だ.                はっきり言えば,被害に遭った人間は,遭うべき必然があったので仕方がない. 取り敢えず,気の毒な加害者は,一定の金銭とか服役で罪を償えば,後は自由…. 何も加害者にまで同じ苦痛を与える必要はない….                言ってみれば,これが文明社会の刑罰規定である.被害者の人権を徹底するなら これを根本から見直す必要がある.名前や顔写真の公表だとか,二年で娑婆に出て 自由になる程度の発想で騒いで済む問題ではない.                もし本当にA少年が真犯人ならば,彼もまた晒し首にされなければならぬのだ. 然し,今回の手記『淳』の中でも,A少年が犯人である点に,疑問が出てしまう. 全く抵抗の跡がなかったという警察の報告である.                もし,被害者の父親が,検事調書の全てを読んで,殺害の経過を読んだとしたら そこに何を感じるだろうか? 被害者を腹ばいにさせたり,うつぶせにしたりする 激しい動きの中で,素手では殺せず靴紐を使った.                これが全く抵抗の跡がない淳君の遺体となるものだろうか? 実際,事件当初, 淳君は鈍器で殴られて気絶したところを絞め殺された.そんなニュースが流れた. これなら遺族への報告とも一致する整合性がある.                一体,何故,抵抗の痕跡もない遺体に矛盾する供述内容が,そのまま検事調書に 書かれて,問題なく通ってしまったのだろうか? こんな疑問も出て来る.敢えて A少年無実の証拠を残し,世間を欺いて結審した?                A少年が社会に出て,自らの体験を,自らの言葉や手記で語る機会が訪れた時, A少年が警察や検察に諭されて犯人にされた驚くべき事件の真相が明らかにされて 世間が仰天する….現実は,それを待つしかない?                重大な証拠となった犯行メモが,押収されるまでA少年の机の上にあったのも, 警察の発表を疑うことなど思いもよらぬ被害者には,この現実とて無責任な両親の 無関心さの象徴として印象付けられたのだろうか?                事件の矛盾点を全く見ようともしないマスコミ報道に洗脳された著名人ドモは, 肝心の点を見逃して,まんまと週刊誌の目論むA少年犯人説の補強に利用された. 全て感想は被害者の人権,少年法強化を主張する.                少なくとも,マスコミの場で人を裁くには,自らの判断で,裁かれる者の有罪を 確信する明確な理由が述べられなければならない.マスコミ報道や警察発表などを 鵜呑みにした位で軽々しく人を裁くべきではない.                何かと言えば,自らの肖像権を主張する著名人が,報道を鵜呑みにしただけで, 人を裁き,それが誤りだった場合,マスコミの所為にして責任を免れてはならぬ. 松本サリン事件で多くの著名人が知らん顔をした.                中には,言葉だけで謝罪した者もいたが,その程度のことで済まされていいのか 大いに疑問である.人を裁く以上,それに先立って自らが下した明確な判決理由が 明らかに出来なければ,それは単なる噂話である.                然し,声高にA少年を裁く著名人ドモに,自らが下す裁きの理由を明確に出来る 人間が存在するとは思えない.皆,マスコミ報道に追随しただけの軽々しい根拠で 商売としてA少年を裁く愚鈍な悪徳商人に過ぎぬ.                ものを書くことを商売にしてはいない俺様だが,A少年を真犯人と断定するには 確信がなかった.ペンで人を裁く場合,自らの心に,裁判以上に慎重な判決理由を 用意すべきだと考える.著名人は平気で省略する.                大体,大方の物書きはマスコミの忠実な番犬に過ぎない.ご主人様の言うなりに 吠えていれば,それで生活が出来る.平気でそれが出来るのは,彼等には,ものを 考える思考能力が全くないからだろうと想像する. ** 悪魔 **       ・目次に戻る