ニュース23よ.お前もかっ!

ニュース23よ.お前もかっ!

 テレビがA少年に関わる報道をする時,一つの決まったパターンが定着していると 感じさせられたのが,26日の『ニュース23』である.まずA少年の犯行を絶対の 真理として決して事件の経過を振り返らない点だ.                 俺様は,新聞の『酒鬼薔薇以降の現場にて』と言うタイトルを見て,カメラが再び 事件の現場に入って,街の取材をするのかとの期待を持った.然し,カメラは,街の 表情を映さなかった.正に俺様の予想通りである.                 番組では,事件が親子のあり方を考えさせられたとの,半ばこじつけとしか思えぬ 視点でとらえて,遠く千葉県の親子の集まりを取材した形で行われた.ここで記者は ストレスが凶行に結びつけんと誘導したがった….                 要するに『物に当たったりすることが,別の方向に向かうようなことは…』などと 暗に人を殺したりすることに繋がる要素があることを引き出そうとしていた.然し, そういう単純な事件は,日常茶飯事の範疇にある.                 そういう室内映像を散々流した後で,やっと神戸の町にカメラが向かった.但し, 事件現場近くのある家族の家の中…と,映像が極めて狭い範囲に入り込んで,外聞を はばかるように家族の顔は映さない異例の報道だ.                 例えば,リポータが町を歩き,声高に『ここで半年前に起きた事件云々…』などと 叫ぶ場面は,全くなかったのだ.つまり,事件が起きた町の,半年後の表情が,全く 伝わって来ない.テレビはひっそりと町に入った.                 番組の中で登場したのは,この家族と友が丘中学の教頭,PTA会長と,さる本の 著者で文化人類何たら言う,およそ事件そのものとは直接関係のない人間に対して, 個別の取材を行っただけ.事件の核心などない….                 やはり街に入ってリポータとカメラの目立った存在を晒すことに,マスコミ自身が ためらっていたのではないか? 神戸の家族は,テレビに向かって話した,教育的な 話を外ですることは全くないとした.何故なのか?                 別段,話の内容自体,外聞をはばかるものではない.親子の間で,よく話し合いの 場を持つようになったという話である.それでは,街の中で,何が起きているのか? 当然,この疑問を取材するのが自然だと思うが….                 事件は,神戸の街の中で起きたのだ.それなのに,何故,事件から半年後の取材が 突然,他人の家の中から始まるのか? 正門前の通行人の話など,外から開始して, 今の事件現場の様子を映すのが自然だと思うが….                 一部の週刊誌が断片的に報じただけの『冤罪冊子』の存在について,テレビ報道は 意図的に隠しているとしか思えない.内容を紹介して,それを一蹴するだけの材料を 持ち合わせていないからに違いないと思えるのだ.                         ** 悪魔 **       ・目次に戻る