マスコミは学校放送と化す

マスコミは学校放送と化す

 ガキがナイフで人を殺したとか,警官襲ったとか,瑣末的な事件でマスコミは連日 大騒ぎである.一つの事件を連日,一日何度も執拗に繰り返し伝える.これで一件が 数千件の事件に匹敵する波及効果を生み出すのだ.                 大体,ガキの事件を前代未聞の事件のように報道しているマスコミに居る奴らは, ガキの時分に一度もナイフを持ったこともねぇのか? 俺様なんざ,ナイフなんて, 小学校の頃からいつもポケットに入っていたのだ.                『肥後之守』とか書かれたナイフが,駄菓子屋で一本十円か二十円でワルガキ向けに 売られていた.無論,鉛筆削りにも使ったが,ナイフは,日常的に遊び道具の一つで 定着していたのだ.大人だって注意もしなかった.                 中学,高校になってもナイフなんて,持っているのは珍しくもなかった.中には, ジャックナイフを持っているヤツだっていた.ボタン一つで刃が飛び出す構造には, 一種の強い憧れだったが貧乏人には持てなかった.                 あれをポケットに入れて,物にぶつかったり転んだりした瞬間,自分の腹を刺した ドジな人間も結構いたのである.当然,喧嘩にも使われた.少年院なんて,そういう ヤツラがお世話になった伝統的な施設なのである.                 少年院送りになった奴らの行状など,いちいちマスコミで報道なんかしなかった. 『何故少年たちは武装するのか』などとマスコミは大げさに騒ぐが,ナイフ所持は, 一種の熱病みてぇなもので,いずれ収まるものだ.                 これからの長い人生,チンケなナイフ一本で渡って行けるもんじゃない.それ位, ガキだって判っておろう.マスコミがナイフ所持を『武装』だと煽る結果が,新たな 事件を次々引き起こす連鎖反応を生み出して行く.                 地方の学校で起きた事件を,大々的に報道するマスコミの幼さは,一体何なのか? ナイフを一度も握ったこともないお坊っちゃまが,マスコミでニュースを作るのか? 皆,ナイフを投げて遊んだことが一度もないのか?                 刃物の所持を云々したら『日本の全家庭は,包丁で武装している』と言えるのだ. 凶器にするつもりなら,鉛筆一本だって立派な凶器になる.ナイフ=凶器ではない. 基本的には,単純に物を切る道具に過ぎないのだ.                 所持が当たり前のナイフだったから,理の必然から脅しや喧嘩の道具に使われた. だからと言って,ヒステリックにマスコミが騒ぐこともなかった.今の報道の騒ぎは 視聴率稼ぎに主体があって,抑止効果を無視する.                 逆に,犯罪促進効果すら狙っているとも勘繰れる.事件が続発すれば,彼らの血は 騒ぎ,肉踊るのである.リポータと称せられる輩は,事件を喜々として伝えている. ネタがねぇから,ガキでも表舞台に引きずり出す.                 いずれガキが学校に拳銃持ち込んで乱射するのも時間の問題だろう.アメリカでは 結構,そういう事件がある.駄々っ子の赤子が,そのまま大人になっちまったような ガキには制御が効かない.何が起きても驚かない.                 ただ,必要以上にそれを騒ぐことが問題なのである.どんなに凶悪な少年犯罪でも それをマスコミが話題にして何になるのか? 二十歳過ぎれば嫌でも刑法で裁ける. 札付きのワルガキなど無くすことは出来ないのだ.                 裁かれることがないと,高をくくって犯罪を繰り返す少年がいても,犯せる時期は 限られている.その期間に目覚めなければ,やがて刑法で裁かれる.体が大きくとも 幼い意識の中にいる間は,彼らは子供に過ぎぬ….                 そんな幼いガキの行動を,同じように幼い意識しか持てないマスコミが伝える…. 正に学校放送なのである.ガキを世の中心に据えて報道する姿勢自体がガキなのだ. 本当にマスコミは,ガキの犯罪を喜んで伝える….                 特に,犯罪を犯すガキは,ガキの中のガキである.どんなに憎たらしい野郎でも, ガキの犯罪は,学校と少年院と地元警察に任せるべきだ.全国的に知らせることに, 一体どんな効果があるのか? 犯罪の増殖だけだ.                 少年法で犯罪を犯したガキが守られるのは,報道からも守られることを意味する. 報道が犯罪を全国的に蔓延させる.全国のワルガキに『負けちゃいられねぇ…』と, 競争心を煽る.『皆やってんだから』効果である.                                        ** 悪魔 **       ・目次に戻る