卵を産まぬマスコミガラス独裁

　政治の基本は独裁である．俺様は，基本的にこのように信じる．実際，緊急の場に
遭遇して，瞬時に命令を下して，迅速な対応を果たすには，国の長たる者の迅速なる
判断力と適応能力に依存しなければならないのだ．　　　　　　　　　　　　　　　

　何処かの国のように，何か事が起こると先ず会議を開く．何かあったら，ともかく
国会に集まる手段を考える．自転車で行くとか歩いて行くとか，この程度の感覚が，
阪神大震災で得た日本の危機管理対策なのである．　　　　　　　　　　　　　　　

　通報を受けた首相が，迅速に対応を指示する能力など，全く存在しないのである．
これを称して日本の民主主義というのである．然し，国家が機能するには，独裁的な
機能を持って自動的に働き出す存在があるものだ．　　　　　　　　　　　　　　　

　本来，我が日本においても，一国の首相になった者は，強力な指導力を発揮して，
自らの発言を以て，他を圧倒し，完璧に説得する能力がなければならない．そこには
任せて安心とする絶対的信頼の確立が必要なのだ．　　　　　　　　　　　　　　　

　そのような国家の長であれば，国民の誰もが直接彼の言葉を聞こうとするだろう．
然し，今，橋本の言葉に直に触れたいと思う者がどれだけいることか？　マスコミの
報道が間接的に彼の言葉を伝えて批判するだけだ．　　　　　　　　　　　　　　　

　実際，首相の本音がどれだけあるのかすら疑わしい．官僚の手で書かれた文面を，
うつむいて今にも泣き出しそうな弱々しい声で，ボソボソ読み上げるだけの能力しか
持ち合わせていないのが日本の首相の実像である．　　　　　　　　　　　　　　　

　だからマスコミも，こんな人間の言葉をそのまま伝えるのは時間の無駄とばかりに
地方のアクセント丸出しの標準語も怪しいアナウンサーが，要旨を読み上げる程度で
政治家の読んだ原稿を処理することが常識である．　　　　　　　　　　　　　　　

　何か問題にある発言があると，その部分だけが肉声で伝えられ，全体のバランスの
中での判断を出来なくして，マスコミの主張が，これに取って変わる．マスコミは，
実質，独裁的な色彩を強くして国政に迫っている．　　　　　　　　　　　　　　　

　実際，何の行動力も実行力もないマスコミの批判を恐れているのが，政治であり，
自衛隊であり，司法の場でもある．然し，マスコミのすることは，大声で叫ぶだけで
批判された存在を消滅させる力は持ち合わせない．　　　　　　　　　　　　　　　

　その昔，公立病院に出入りする製薬会社のプロパーと呼ばれるセールスが，薬品の
売上額に応じて，医者にリベートを提供していることがマスコミで叩かれた．報道に
悪乗りした警察が罪もない一部の医者を逮捕した．　　　　　　　　　　　　　　　

　その医者とて私腹を肥やしていた訳ではなく，それを職員全体のために，その金を
使っていたに過ぎない実態もあったとされた．五時すぎに病院を訪れれば，今でも，
プロパーと，マスコミが叩いた実態も健在である．　　　　　　　　　　　　　　　

　俺様が近くに居るのに，人畜無害と思われてか『先生…，食事とゴルフのどちらに
しますか』などと，堂々の利益供与のお話を立ち話でしていたりする．事程左様に，
マスコミは，声が大きいだけで実質的な力はない．　　　　　　　　　　　　　　　

　実際，政治家の犯罪なども，マスコミで幾ら叩かれても後を断たない．本質に迫る
裁きとは，全く無縁なのがマスコミの実態である．然し，こんな無力な存在ながらも
国民を怒らせ，現実に動かしてしまう怖さがある．　　　　　　　　　　　　　　　

　報じられた犯罪者宅には，無数の脅迫状が舞い込んだり，石が投げ込まれるなどの
被害が起こる．直接には関係のない家族に，極めて危険な被害をもたらしてしまう．
マスコミは，この被害に対しては責任を負わない．　　　　　　　　　　　　　　　

　マスコミが感情的な怒りを以て報道すると，それは，全国的な規模を以て罪もない
視聴者に，制御出来ない怒りの感情を伝播してしまう．報道自体には問題を解決する
力はないばかりか，新たに被害を拡大してしまう．　　　　　　　　　　　　　　　

　国民の怒りを煽ることがマスコミの使命でもあるかように錯覚している．時には，
何故国民は怒らないのか？　などと怒りの報道に反応しない国民に対して激怒する．
怒りから建設的な方向性は生まれないものである．　　　　　　　　　　　　　　　

　結局，マスコミの報道から建設的なものは何も生れない．いたずらに未熟な人間の
感情を煽り立てて騒ぎを大きくする．基本的に根のない怒りは，報道の鎮静化と共に
雲散霧消する．事態は何ひとつ変わらぬままで…．　　　＊＊　悪魔　＊＊　　　　

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