ニューヨークで起きた惨事は，アメリカに対する戦争行為であるとされた結果，
報復に向けてアメリカが準備を進めているという．あの事件を知った翌日になって
俺様は，やっとテレビでその映像をみた．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　特撮映画を見ているような現実感が伴わない映像で，こりゃ一体…何なんだぁ？
耳で聞き流していた情報を当てはめて見ると，乗っ取り犯数名が二つの高層ビルに
乗客もろとも体当たり攻撃をしたという．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　然し，その体当たりは，航空機の持つ全てのエネルギーを無駄なく突入させた．
いささかの狂いもなくビルの中心に衝突させている．最後の最後まで意識を保ち，
しっかり目を見開いて任務を全うした…．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　俺様は，戦前の常識の中で生きている部分がある．善悪の判断とは別に，攻撃の
見事さに感動した．正に完成された特攻精神の極致を見る思いがした．死を恐れぬ
攻撃精神は日本のお家芸ではなかった…．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　かつて大日本帝国も，空から海から陸続として特攻隊が自らの命を犠牲に敵艦に
体当たり攻撃を敢行した．大君の醜の御楯となる決意も，敗戦と共に泡と消えた．
特攻隊の攻撃精神も愚かだと評価される．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　今日，アラブ民族のアッラーの前にジハードに殉じる覚悟と決意は，連綿として
続いている．あの一分の狂いもないビルへの突入が，もし人間技であるとしたら，
それは，誠に容易ならざる敵との遭遇だ．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　それだけに宣戦布告に相当する犯行声明がないのは，極めて不自然にも思える．
あの攻撃は，本当に人間技なのか？　プログラムされた自動航行を思わせる正確な
衝突には，不思議な謎を感じさせられる．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　アメリカの報復を恐れてテロ集団が沈黙を守るとも思えない．誰が疑われるかは
最初から自明のことであろう．積年のアメリカへの憎しみが，一挙に晴らされて，
計画した側は，喚起の雄叫びをあげよう．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　大東亜戦争の最中，大日本帝国もアメリカ本土に潜水艦による砲撃攻撃を試みた
ことがあったとされる．効果は，はっきりしないが，それを歌った軍歌が残る…．
『アメリカ爆撃』という軍歌なのだが…．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　何故か，ニュースを聞いた時，この一節が繰り返し脳裏に蘇った．それは未だに
続いている．『アメリカ本土爆撃…あれはアメリカ弔う歌だ…』当時は，それだけ
戦勝ムードが高まって何でも歌になった．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　それだけに攻撃側の沈黙が何とも解せない．あの事件は，本当にテロ集団による
犯行なのか？　いかに隙を突いて計画されたとは言え，ここまで見事に然も易々と
成功してしまったことも何故か不思議だ．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　百階以上のビルが同時に二つも崩壊した大参事ではある．然し，その後，映像を
見ることもない俺様には，何処か他所事に思える．日本人も多数の犠牲者がいると
伝えられても，居合わせた不運で終わる．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　直前まで，航空機が衝突して脆くも崩壊する事態など全く予想も出来なかった．
信じ難い出来事で，もし自分の身内がその犠牲になったら…と考えてさえ，そこに
犯人への憎しみが生まれるのかどうか…．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

『旦那サマは，ニューヨークで仕事が出来る程，出世しなくてよかったね』などと
わが家の豚がのたまう．親類の中にも，そんなエリートはかけらもいない現状だ．
その意味でも事件は絵空事に思えてくる．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　本当にテロ集団による犯行なのか？　そう考えることが自然だとは思う．然し，
それでも尚，不透明感は拭えない．何故，実行側は，その成功を喧伝しないのか？
未だ作戦の継続中を意味するのだろうか？　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　本土攻撃は，アメリカに空前の衝撃を与えた．被害を受けた側だけが大騒ぎして
肝心の攻撃側の意図がまるで解らない．本当に報復は，間違いのない相手に向けた
攻撃になるのかどうか，今ひとつ解らぬ．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　極端な話が，アメリカが戦争を始める口実に，自らが仕掛けた巧妙な作戦だとも
考えたくなる．予め二機の航空機は，何が何でも貿易センタービルに衝突するよう
仕組まれていたと考えることも出来る…？　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　これだけの大戦果をあげたのに，何故，犯行声明がないのか疑問が渦を巻く…．
成功させた戦士に対し，その勇猛果敢なる攻撃精神が，アメリカ本土空爆を世界に
示し烈々たる戦果をあげる成功を収めた．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　何故，これが大々的に喧伝されないのか？　これがなければ成功の意味も薄い．
積年の恨み辛みが，この一瞬に一矢を報いたとして世界に伝えられることで自らの
存在を強力に誇示することが出来る筈…．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　首謀者とされるビンラディンなる人物は，やっていないと言っているとされる．
一体，誰が何のために犯した犯行なのか？　これがまるで明らかにされていない．
煮え切らぬまま，アメリカは報復に走る．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　みっともないのが日本の対応である．逸早くアメリカの行動に賛成するとして，
積極的な支援を表明した．ニューヨークへの攻撃が，真珠湾攻撃を思い出させて，
日本への敵意再燃を恐れたのだろうか…？　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　然し，かつて真珠湾攻撃を果たした日本が，アメリカの報復を支持したとしても
アメリカ人は，どんな思いをするのだろうか？　フンッ!　 同じ穴のムジナが何を
言いやがると，無定見ぶりを揶揄される？　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　言うまでもなく，日本は『国際紛争を解決する手段としての武力行使を，永遠に
放棄する』建前がある．アメリカがニューヨークの惨事を，戦争行為とする以上，
国際紛争であり，報復は賛成出来ない筈．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　世界からどのような指弾を受けようとも，武力による国際紛争解決から，人類が
脱却する崇高なる理念を機会あるごとに世界に示さなければならない．やられたら
やり返す輪廻からの脱却こそ進化である．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　いかに世界最強のアメリカと言えども，人類の進化に貢献出来るとも思えない．
むしろ，自らの力を誇示することが，逆に自らの崩壊を招くことは歴史の教えにも
合致する．いずれアメリカも地に落ちる．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　いかに欧米に対する協力姿勢を示しても評価されない日本．それは，アメリカの
飼い犬に過ぎない証拠でもある．自らの決意から生まれた主張でも行動でもない．
無条件降伏した国の哀れな末路でもある．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　最近，湾岸戦争終結後に，クゥエートが協力国として挙げた中に，日本国の名が
なかったと折りあるごとに言われる．日本とは，アメリカがぶら下げた金の詰った
腰巾着に過ぎない評価しかないのである．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　もの言わぬ腰巾着に礼を言うバカはいない．日本の存在意義は何なのか？　未だ
日本は，自らにその問いかけすらしていない．崇高なる哲学的理念を秘めた憲法も
有効に機能したことは一度もない状況だ．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　俺様には，昭和16年から17年にかけての戦勝ムード高まる中の日本が最後の姿に
思えている．戦後の経済的発展もアメリカの日本州が繁栄したに過ぎない．結局，
独立国としての威信は回復されていない．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　今や落ちぶれかけた金持ちの州で，かつての繁栄にも大きな陰りが見えている．
ともかくアメリカの機嫌を損ねないように…と同調したが，当のアメリカ自身は，
首相に会う時間すら積極的には作らない．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　早い話が『何しに来るんだ．言われたことをやっておればよい．愚か者っめ! 』
俺様には，そんな雰囲気しか感じられない．はっきり言って，アメリカの腰巾着が
何をしようと世界が評価することもない．　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　テロリストの犯行だとしたら，アメリカが元気なのは，あの腰巾着に詰った金の
所為だとなれば，資金源を断つ目的で日本への攻撃もあり得る？　自国の理念すら
根本から忘れた日本に存在理由もないか？　　　　　＊＊　悪魔　＊＊　　　　　

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