終戦記念日後の雑念…

終戦記念日後の雑念

 末端の庶民の一人である俺様が,天下国家を考えるのも,ほとんど無意味である. ただ,個人の力が及ばぬ変化に,自分自身がどう対応するかを考える位が関の山だ. 多分,この国の経済は,あとニ〜三年で崩壊する.                 2001年まで預金は全額保護されるというが,要は,それまで持ち堪えるだけで 精一杯というのが本音だと感じる.景気なんてよくなる訳もない.同じような状態を かつて体験した.昭和十六年の,開戦の年である.                 これまでにも,何度か似たような状況を体験してきた日本だが,その自覚もなく, ズルズルと今日まで来てしまった.独立国の何たるかも理解しない日本の政治家では 最後まで,その自覚が生まれることはないだろう.                 例えば,日本では,北朝鮮が食糧もないのに,多額の軍事予算を組むことに異論を 唱える.それだけの金があるなら,国民の食糧費に回せとか短絡的に叫ぶのである. 言葉を変えて言えば,国より国民を救えとなる….                 確かにきれいな言葉ではある.然し,国の防衛体制は,最後の最後まで堅持される 必然は,何処の国にもある.多くの国で国民は,自国の理念の前に,自らの尊い命を 捧げる.或いは,自国が宗教になることもあろう.                『一人の生命は,地球よりも重い』こんな愚かな理屈が本当に常識として通るのか? 地球の消滅は,人類の消滅に繋がる.一人の生命の存在など,まさしく鴻毛の軽きに 等しい.この単純な理屈が日本では理解されない.                 国が独立国としての尊厳と威厳をなくし,外国から攻められ,ロクな防衛も出来ぬ 危機的状況を平然と招き入れるなど,当時,世界の何処の国も考えなかった.そんな 理不尽な難題を,欧米は日本に要求したのである.                 今日,生き残った多くの年寄りが,戦争の悲惨さを訴え,中国などでの残虐行為を 懺悔して,戦争は沢山だと訴える.俺様が奇異に思うのは,彼らの言葉は,絶対的に 天下国家を考えた発想から出ていない点である….                 俺様は,学生時代,様々な戦争文学全集を読み漁る過程の中で,擬似的に中国での 戦争体験をも繰り返していた.まさしくそこは果てしなき中国戦線であった.日本は 果たして中国全体を相手に戦っていたのだろうか?                 中国は,当時,国が荒れ,様々な勢力が群雄割拠する戦国時代の様相で,この地の 政情不安は,そのまま日本の安全を脅かすと考えた当時であった.内乱状態の中で, 彼らは,自国民からも平気で略奪を行なっていた.                 今日でも,中国は日本軍による残虐行為を写真に掲げている.民間人を縛り上げ, これを虐殺する光景である.確かに身なりは民間人である.ただ,当時の日本軍は, 便衣隊,言わば,ゲリラを相手に戦っていたのだ.                 百姓が畑を耕すのどかな農村地帯を日本軍が行く.過ぎ去ると,この百姓ドモは, 隠していた機関銃を取り出して背後から乱射する.こういうゲリラは当時,便意隊と 呼ばれたのだ.これに日本軍は疑心暗鬼になった.                 民間人の中に隠れて民間人を犠牲にする.誠に卑しむべき戦略である.本来ならば 民を守るべき軍人が,民間人を隠れ蓑にして,逃げ隠れして攻撃を仕掛ける.当時の 日本軍には,到底考えられない戦い方なのである.                 彼らを捕らえて処刑する場合に,いちいち軍服に着せ替えることなど当然しない. 民間人の服装そのままで処刑である.後々,この記録が事情を知らない後世の人間に 民間人を虐殺する日本軍の蛮行という解説になる.                 当時『生きて虜囚の辱めを受けず』と日本軍は教えられた.この意味するところ, 中国人に捕まれば,彼らの拷問が尋常一様のものではなく,極めて残虐である点から そんな目に遭う位なら自ら死んだ方が楽の意味も.                 中国を描いた戦争文学全集の中には,そうした多くの戦争体験が収められていた. 様々な作家が,自ら戦争を体験し,それを生き生きと作品にしていた.昭和30年代, それは,一部でブームになり全集が刊行された….                 一体,あの沢山の文学全集は,何処へ消え去ってしまったのだろうか.あの過酷な 時代を,少なくともその頃は,当時の常識に従って,正しく評価する風潮があった. 再起なき滅亡へと向かう日本には,それすらない.                 戦争で死んだ人々を,良くて国家に騙された犠牲者,悪く言えば,侵略者の汚名で 呼び捨てる.彼らを正しく英雄として評価する感覚が蘇らない限り,日本に繁栄など 二度と再び訪れよう筈なき自明の理が見えてくる.                 昔,日本を取り巻く隣国の平安が,日本の安全に繋がる発想があった.資源のない 日本の真の独立は,日本を取り巻くアジアの島々の資源までをも視野に入れて,この 安全こそ真の日本の独立と平和の源であったのだ.                 然し,アジアの多くは,欧米が植民地にして,日本にも様々な要求を押し付けて, 遂には,中国からの撤兵,軍事力の削減などと無理難題を押しつけ,独立国としての 威厳を根こそぎ奪う要求を平然と押し付けてきた.                 日本が飲み込めないのを承知の上である.先に手出しをさせて,正義の大義名分で これをやっつける….まさしく湾岸戦争と同じ戦略である.この同じ手でアメリカは 何度でも世界制覇への野望を繰り返すことだろう.                 今日,かつての戦争について,日本が戦争をしたことが間違いだったと首相は歴代 謝罪の言葉で終戦記念日を迎える.戦前の常識から動かない俺様の信念からすれば, コイツらは,非国民,売国奴以外の何者でもない.                 謝罪するなら,即刻,日本の企業全部をアジア各国から引き上げさせ,全て欧米の 企業に委ねるべきである.侵略だと言われて,それを容認するのであれば,アジアに おめおめと居座り続けられる道理は何処にもない.                 一方で,国家が謝罪しているのに,依然として,その国の企業が現地に居座るのは 傲慢以外の何者でもない.大東亜共栄圏を間違いだったとすれば当然の帰結である. その結果,日本とアジアがどうなろうと構わぬっ.                 アジアを本当の意味で侵略していたのは,何処の国だったのか? 今日のアジアの 独立は,どうして果たされたのか? その根本的なところをはっきりと見据えれば, 『日本が侵略国だ』とは間違っても言えなくなる.                 現代の日本が,まさしく大東亜共栄圏を構築して,その恩恵の上に高度経済成長を 果たして来たのではないか? これが間違いなら,即刻,全面撤退が筋である.もし 現状を容認するなら,戦争責任の一切を放棄せよ.                 日本は,自国の理念もなく,欧米の言いなりに行動し,個々の企業が,私利私欲に 走った経営戦略だけで,今日まで来てしまった.国民をさながら金の卵を産む鶏だと 捉え,搾取に継ぐ搾取を繰り返してここまで来た.                 銀行は,本来の商売である金貸し業務も行わず顧客の預金を食い潰し続けている. 潰れるところを一つに纏めて合併させて,土壇場でそれを潰す….複数潰すよりも, 一つなら,見掛けは被害が少ない印象を狙える….                 昭和十六年十二月八日.日本は,自国の存亡を賭けて,残る一年半の資源を使って ―か八かの決戦戦争を仕掛けた.天下国家的視点に立って考えるならば,この戦争は 数多の血を犠牲にしたが,極めて有意義であった.                 大日本帝国は一粒の麦として果て,そこから産まれた日本は,焦土の中から新たな 繁栄を築いた.当時の欧米のするアジア支配をそのまま放置して,日本が座して死を 迎えたならば,繁栄への基礎など生まれなかった.                 祖国存亡の危機に臨んで,自らを犠牲にして散った数多の英霊に対して,侵略者の 汚名を着せ,彼らの犠牲の上に成立している繁栄にあぐらをかく者には,やがて血の 裁きが下されよう.いずれ無血占領される日本だ.                 少なくとも,今日の日本のマスコミは,完璧にアメリカの支配下にある.だから, 決してアメリカを悪く言わない.よくよく考えてみるがいい.イラク一国に対して, 連合国が大げさに寄ってたかって袋叩きにした….                 これが正義の戦いだという.そして,マスコミも,その正義を高らかに評価した. 戦前の常識から離れない俺様の心には,また同じ手で,蛮行を繰り返したアメリカの 薄汚い手口としか思えぬ.イラクは未だ生殺しだ.                 世界の侵略国アメリカは,イラクを見せしめに,日本にも間接的に恫喝を掛ける. かつて,イラクはアメリカと親しい国であった.昨日の同盟国は,今日の敵である. アジアは再び欧米の手に落ちる必然が待っている.                 それは日本の崩壊と共にやって来る.自らの聖戦を否定してしまえば何も見えず, 無血占領される実体も見えては来ない.本当に,日本沈没が起こるのかも知れない. 植民地を失った欧米の怨念は,決して消えはせぬ.                 突然ながらアメリカの横暴が本格的に姿を現した.テロへの報復という大義名分が アフガン,スーダンへの空爆を単独で実行した.アメリカは国連を無視して,今後, 勝手な無差別爆撃を敢行する国に変貌するだろう.                 ここに来て国連の機能は完璧に崩壊した.遠い昔,グルジェフは国際連合の崩壊を 予見していた.国際連盟と同じ結末を迎えるだろうと….まさしく今日,その通りに 崩壊の兆しをみせた.ここに世界戦争の道が開く.                 イスラム国家とキリスト国家の宗教戦争への導火線に火がついた.アメリカがは, 自らを反省することは,やがて来る自らの破滅の瞬間まで訪れることはないだろう. 全ての戦争行為を正当化出来るのが戦勝国である.                 我が日本は,かつて世界的見地に立って,アジアの正義を実現せんとしたものの, 武運つたなく欧米の巨悪の論理に屈した.やむなく無条件降伏はしたものの,自らの 正義を捨ててはならぬ.いずれアメリカは滅びる.                 アメリカの身勝手な聖戦(性戦)を容認するのは,かの国民と海賊国家イギリスが 主体である.いずれもかつて鬼畜と呼ばれた極悪非道な国家である.彼らの野望は, 未だ費えていない.アラブに滅ぼされるといい….                 湾岸戦争では,遂に目を覚まさず,アメリカに追随した日本だが,今回の暴挙も, これを徹底して容認するのだろうか? アメリカの日本州なら,独自の見解で異議も 唱える勇気も出ようが,植民地では無理であろう. ** 悪魔 **          ・目次に戻る