東京歯科大学市川総合病院眼科病棟入院体験記

東京歯科大学市川総合病院眼科病棟入院体験記

      主治医は手術後を新米に任せてアルバイトに専念            最近,坪田一男なる眼科医が東京歯科大学市川総合病院教授の肩書で,マスコミで 活躍している.当初はドライアイで売っていたが,最近はレーシックなる近眼治療で 著書を出したり,テレビに出たりである.                     別段,それをどうこう言うつもりもない.ただ,最近,この病院の眼科で緑内障の 治療を受けた我が妻,豚丸子に付き添って観察した俺様の目から見れば,この眼科は 患者を手術後放り出しているにも等しい.                     マスコミでの宣伝が効いてか,ここの眼科は患者が多い.初めて訪れた患者までが 神様のように坪田医師の診察を待ち望んでいる姿も見られる.幸いにも我が豚丸子の 主治医は,この坪田一男ではないのだが.                     我が妻は,約5年前にこの眼科で角膜移植の手術を受けた.その頃の眼科の診察は 主治医が毎日診てくれる体制で,手術後の体制にも全く不安は感じなかった.実際, 診療に患者からの不満は聞かれなかった.                     豚丸子が角膜移植を受ける話を聞いたこの病院の元婦長経験者が「考え直した方が 良くない? 以前,坪田先生は,ひどいトラブルが一杯あったのよ」と聞かされた. 然し,主治医は坪田ではないので受けた.                     元婦長の話は,それよりも数年前の話かも知れぬ.実際,患者の間で坪田の評判が 特に悪かった訳ではない.むしろ,マスコミの影響から,有名な先生に診て貰えると 喜んでいた患者が多かった記憶すらある.                     豚丸子は,一年の空白を経て両眼の角膜移植を受けた.この時は,一ヶ月余りでの 退院になったが,最初の手術の折には,当初,2週間程度と言われた期間が3ヶ月に 延びてしまった.経過がよくなかった….                     眼科では,少なくとも4ヶ月の入院体験がある豚丸子である.それでも診察の折に 入院患者が並んで待つあいだも,会話に診療への不満を聞いたことはなかったのだ. 長い患者は,容態が良くないにも拘らず.                     当時の印象があり,今回,手術と言われても,ずっと主治医が診てくれる安心感で 受ける覚悟をしたのである.然し,当時の診療体制は,完璧に消え去り,診る医者は インターンのような頼りない人間である.                     並んだ入院患者から聞かれる言葉は,診療体制への不満が多く,俺様も驚ろいた. 11日間の入院中,手術後に主治医に診て貰ったのは,たった一度だ.入院患者が全て このような目に遭っている現状であった.                     さる患者さんは,地方の病院から坪田を紹介され,部分的な手術を受けて,地元の 病院に帰って角膜移植を受ける予定が,主治医である坪田が留守の間に傷が化膿して 最終的に眼球を摘出される悲劇に遭った.                     マスコミ報道で知った先生を信頼して診察を受けるのは自由だが,その先生の下で 継続的に診て貰える体制が整っているのか否か? それを明確に確認することを強く 勧める.マスコミ報道にその保証はない.                     この病院の中には,眼科の関連で角膜移植センターがある.発行される機関紙には 寄付を呼びかける案内もあり,入院で知り合った患者が十万円を退院後に寄付したが 何の音沙汰もない状態であるとも聞いた.                     この患者さんは,不審に思って外来での診察の折に看護婦にそのことを話したが, 「郵便局の証明が受け取りになるんじゃないんですか?」と言われたという.然し, 寄付の受け取りとは,こんなものなのか?                     ところが,別の患者さんは入院中に直接移植センターに寄付をしたところ,坪田も 病室に訪れて丁重なお礼を言い,下へも置かぬ扱いを受けたという.診察には,全て 先生から出向き,並ぶ必要もなかった….                     その話を聞いた知人は『きっと寄付の額が一桁違ったのでしょう.僅か十万円では お金とも思われなかったのかも知れませんね』と,静かに言った.寄付を募りながら 応じた人に対するこんな差別は何なのか?                     今回体験した,あまりにも酷い入院患者の診療体制に,もしもこの眼科での診察を 受けようと考えている患者に,事前の警告になれば幸いと考えて,俺様の見た眼科の 体質を妻の入院記録の形で公開しておく.                    2000-03-29  豚丸子が入院….緑内障の悪化で眼圧が高いという医師の判断である.自覚症状が ほとんどない状態なので,本当に眼圧が高いのか否か不明である.眼自体が特殊で, 正確な眼圧測定が難しい状況もあるのに?                     そもそも手術が決められたのが一ヵ月前だった.それまで風邪で高熱を出したりで 体調が悪い時期が長く続いたりで1月の定期診察が受けられなかった.2ヵ月ぶりの 診察で一度の眼圧測定で手術だとされた.                     どのような生活状況だったのか? 眼圧が高くなるような状況があったのか否かも 全く問診もされず,ただ眼圧を計っただけである.それも手術まで例えば,周期的な 観察をして最終的に決める慎重さもない.                     二月末に診察して,3月の始めに,もう一度眼圧測定をして手術をそこで決めた. この時も豚丸子自身は,何の自覚症状もなかった.俺様も,どうしても手術の必要が あるのか聞けば,眼科の常識だという….                     本当は眼科の医者も手術に色々危険があってためらうが,それでもやらなければ, 将来に差し障りがあるという.一度でうまくゆくことは少なく,二度三度調整のため 手術をすることもあるとまで言われた….                     最悪の場合,手術の結果,一挙に見えなくなるかも知れないと言われた.それでも 眼科的にはやった方が将来の為にいいのだという.俺様は,何となく金儲けの道具に される気がしていたが考え過ぎだろうか?                     この病院で,角膜移植の手術を受けたのが5年前で,その時から,ずっと主治医に 診察を受けている.そこまで疑うのも失礼かも知れぬ.移植後の経過は,結局あまり 良くない.診察を受け続けていてさえも.                     角膜移植を行ってから,視力は下がっている.当初得られた視力はもう戻らない. 視神経がかなり弱っている状態にあるとも言われる.一ヶ月前の話では,十日程度の 入院予定が何時の間にか二週間になった.                     手術自体は,30分程度の簡単なものであるという.ただ,結果がどう出るか不明. 手術の結果,こんなことならやらなければよかったとの声もよく耳にする.豚丸子は よくなるかも知れないことに賭けている.                     ただ,今よりよく見えるようになるという手術ではない.うまく行って現状維持. 眼圧が安定すれば,角膜移植のやり直しも考えられる.豚丸子の場合,移植の後に, 眼圧が高くなってしまう傾向が見られる.                     移植前の安定した状態こそが,豚丸子に与えられた視力だったとも思える.だから 移植をしても,結局,視力は落ちて元の状態に戻る宿命なのかも知れない.間違うと 以前よりも見えなくなるかも知れない….                     移植で,一時的な視力の向上が見られたが,それは結果的に視神経を弱らせた…? 近眼の眼鏡を掛け続けた結果,度がどんどん進むことにも似ている.俺様の偏見では 近眼は正常な視力に耐えられぬ目である.                     十年以上前から,俺様は,眼鏡を掛けなくなった.その結果,眼鏡なしでは何一つ 捜し物が出来なかった状態から,裸眼で遠くの看板まで読み取れる眼に戻ったのだ. それでも近眼だが生活に支障は全くない.                     眼鏡で矯正しても体がその視力に耐えられない何かがある….故に更に度が進む. つまり,眼鏡で視力が落ちるのは,体の防御反応でもある.こうした俺様の理屈が, 豚丸子の目にも当て嵌まるのかも知れぬ.                     豚丸子の視力が落ちたことについては,眼科医の失敗だとは考えていない.ただ, 手術後,眼圧が高い時期があったにも関わらず,その折は,何の手当てもなかった. それ故に今回の手術に妙な不審感がある.                    2000-03-30  豚丸子の手術が終わった.然し,角膜移植の手術よりも痛みが激しかったと言う. 術後の痛みで痛み止めを飲んだ.夕食後,唐突に激しい痛みが襲って看護婦を呼ぶ. 然し,服用間隔が短いので服用は中止….                     然し,激しい痛みは間もなく治まり,俺様が帰る頃には,一時,いびきをかいての 眠りにも就いた.一週間経たないと術後の経過が分からないという.経過が悪ければ この単位で入院期間は延びる理屈なのか?                     手術の内容は,白目に穴を開けて,中の液を外に流す通り道を作ることにあった. 穴が塞がってしまえば効果はなくなる.逆に,大き過ぎれば眼圧が下がって危ない. 最悪の場合,それで片目は見えなくなる.                     何しろ,俺様に面倒を看られ慣れている豚丸子である.保険の利かない個室利用で 出費も嵩む.術後は,しぼんだボールのような状態なので衝撃に弱く,ぶつけたりは 厳禁である.暫くは一日中付き添う予定.                     完全看護体制ということだが,ずっと以前,この病院の内科に豚丸子が入院の際, 断続的に意識不明の状態が続いて,俺様は二ヶ月,付き添って寝泊りしたが,夜中に 点滴が外れて血が噴出す事故を3度体験.                     その2度は俺様が発見し,一度は豚丸子が点滴が外れていると訴えて気がついた. 看護婦の夜中の見回りは,入口でちょっと中を懐中電灯で照らすだけで素通りする. 同じ事故で死んだと思える患者もいた….                     夜中にあまりに隣室が騒がしいので,そっとドアを開けて見た,廊下に血のついた シーツが投げ出されてあった.豚丸子と同じことをやったな….そんな痕跡が歴然. その患者は,翌日に死亡したのである….                     こうした過去の体験もあって,点滴など,当人の目が見えないだけに不安があり, 事故を恐れて付き添うことにしている.男が女性の部屋に長く居る訳にも行かない. 無理して個室利用となってしまう現状だ.                     今しがた豚丸子から電話があり,痛みがぶり返して痛み止めを飲んだが,一時間位 効果がなくて,今ようやく効いて来たとの話だった.手術前,緊急の連絡先を執拗に 聞かれたが,危ないことでもあるのか…?                     他の患者の経過を観察するに,最悪の場合は,別の病院へ移動して治療するという 手段が取られる.それだけ今の病院の技術が低いのだろうかとの疑いも持たれる…? 座して死を待たず,討って出た結果は…?                     何となく前途多難な予感がしている….いかに努力しても,ごく僅かな視力確保が 精一杯な手術と入院である.元々,労多くして実りの少ない手術でもあった.病院と 縁が切れず,訳も分からない入院である?                     何しろ,うまく行けば二週間の入院で出来る筈だった角膜移植が三ヶ月に延びた. 中には,同じ予定が半年になったケースもあった.過去の事例を考えれば,十日とは 夢のまた夢の入院期間だったかも知れぬ.                    2000-03-31  診察の際に,エレべータを使ったりする際に,不安を感じるようである.看護婦に 言えば,連れて行ってくれるのだが,盲人を扱い慣れていない不安を感じていた…. 手術後は,歩くにも緊張する傾向がある.                     病棟の診察室の前にズラリと座った患者を見て驚いた.皆,豚丸子と同じように, 片目に大きく厚いガーゼをテープで止めてある.同じように手術した患者がこんなに 多かったのか? まるで化物屋敷である?                     俺様も数ヶ月豚丸子に付き添ってここに来ているのだが,こんな光景は初めてだ. 何しろガーゼは手術の翌日には取ってしまう.今までは居てもせいぜい一人二人だ. 全体に看護婦が若返って雰囲気も変った.                     かつては中年の看護婦が多かった.あちらこちらの病院を渡り歩いて来た流れ者的 看護婦の姿も目立っていた.手抜き仕事が巧妙な印象を受けたが今はそれも消えた? この病院も変って来たのは確かなようだ.                     以前,豚丸子が生死の境をさ迷う病状の中で,内科に入院していた頃など看護婦の 質がかなり悪かった印象もあって,前回の角膜移植での入院時も親切な看護婦より, どうしても悪い印象の看護婦が目立った.                     テレビモニターに映し出される手術した部分を見たのだが,白目のまぶたの裏側に きれいな穴が見えた.周囲を縫ってあるようだ.手術自体は,うまく行っているが, 一週間後に,それがどうなるかが問題….                     穴が塞がってしまうこともあり,逆に中の液が流れ過ぎることもある.調整作業が あるかも知れない.映像を見た雰囲気では,もしかしたら順調に回復して短い期間で 退院出来るかも知れない予感もあった….                    2000-04-01  どうも様子がおかしい.手術した左目は,以前は色の識別が出来たり光が見えた. だが,本日は,色は全く見えないという.閉じた目を観察するに,以前に比較すれば 窪んでいる.これは萎んだボール状態か?                     本日は,担当の医師がいない.診察は別の医師が行った.豚丸子が,色や光がよく 見えなくなったんですが,時間が経てば見えるようになりますか? と質問したら, 「緑内障が悪化したのでしょう」と来た.                     どんな手術を受けたのか分かっていないのか? 「手術前は見えていたんですよ」 豚丸子が言えば「そうですか….でも眼圧は安定していますから…」という返事…. 眼圧を下げる手術は成功したと言うワケ?                     もしかしたら大変な失敗をしたのかも知れない….目の手術は,視力の維持こそが 最優先なのかと思ったら,眼圧を下げることが重要で,結果的に見えなくなろうとも 仕方がないという大胆な発想があるのか?                     豚丸子は,手術の後,一時的に見えなくなることがあっても,すぐに回復するとの 答を期待していたのだが,それはなさそうだ.あるいは初めから見えなくなることが 分かっての手術だったのかとも疑える….                     全く見えなくなることもある…という説明の裏には,視力が維持出来る可能性は, ほとんどないという意味でもあったのか? 眼圧が高くなればいずれ見えなくなる. 早いか遅いかの違いだけとの判断なのか?                     病院内を歩行する際,本日は,俺様の腕につかまる豚丸子の動きが重い….右目の 見え方を聞けば,何だかこっちも落ちているのかなぁ…と言い出す始末.一週間後の 結果というヤツも眼圧の維持が基準かも?                     下手をすると見えなくなった目の緑内障のケアだけが延々と続く入院生活もある. 全盲の人でも,中には眼圧が高くなって気分が悪くなって手術するケースもある…. あるいは,そういうレベルの展開なのか?                     豚丸子にしてみれば,幾分でも見えるので,当然,視力の維持を期待する訳だが, 医師にしてみれば,その程度の視力は,全盲として扱って,残された視力の温存など 考えなくてもいいとする発想なのかも….                     2000-04-03  看護婦の様子が少し改善されたかに思えた病院だが,肝心の医者が手薄のようだ. 入院患者を診るのは,ヤブにもなれないタケノコ医者である.外来には出られずに, 仕方なしに入院患者を診ているようだ…?                     以前は,そういう医者も診たが,しっかり中堅の先生が診ていた.お偉い先生は, 他の病院でアルバイトに忙しいらしい….診察に呼ばれたらカルテを見ている時間が やたら長く一目で新米と分かってしまう.                    「今並んでもくたびれるだけだよ.先に点滴やってしまおう」看護婦にそう言われて 病室に戻ってしまった患者がいた….ヤレヤレ….看護婦にまでバカにされている. とても患者の質問に応えるゆとりはない.                     豚丸子の主治医も,やたら他の病院へ出ていることが多くなっている.手術以来, 全く姿を見ていない.急な容態の変化にどれだけの対応が取れるのか疑問を感じる. 4月の移動から中堅が手薄になっている.                     豚丸子は,もう帰りたい…などと言い出している.診察自体に何か意味があるとは とても思えない状況である.次に主治医が診るのは,果たしていつの日か? 入院も これでは意味がなさそうな気がして来る.                    2000-04-04  豚丸子は,診察する医者が宛にならないので,同じ手術をした患者さんに連絡して 手術後の視力低下について聞いたら,同じことがあったけど,その後,大分戻ったと 言われて,一縷の望みはあることを知る.                     医者ならば当然,そういう経過を知っていなければならないのに,そうした応答が 出来ない新米が入院患者を診ている.上に立っている先生方が自分が手術した患者を 診ずにアルバイトに浮足立っている始末?                     案外,病院自体の経営が危ないので,先生方は,そんな事態に備えて身の振り方を 考えるのに忙しいのかと思える.こんな現状の中で,患者の容体が急変した場合に, 果して適切な対応が出来るのだろうか…?                     手術した当日の夕刻,目が急に痛み出したが,医師に連絡して指示を受けた形跡は 全く無く,単純に看護婦が豚丸子に,痛み止めを飲んだ時間を聞いて,もう少し間を 置いてから飲むことを勧めた程度である.                    「テレビに出て有名な先生に手術して貰ったけれど,それっきり診て貰ってない…」 そう言っていた老人がいた.他で白内障の手術した経過が悪くてここに来たところ, すぐに手術….止せばよかったと嘆く….                     月曜日,火曜日と二日間とも,こんな新米の医者で本日の医者は,眼圧を測定する 機器の使い方が分からず,別の医師に聞いている始末.時間が掛かっている様子に, 仲間が「苦戦してますね…」と冷やかす.                     豚丸子が,鈍痛があるなどの症状を訴えても返事もしない.自分のすることだけで 精一杯,とても患者を診るゆとりがないのか,自分の世界に入り込んだままなのか, 患者との対話が全く出来ない医師である.                     様々な症状があって,それが手術に伴った予測される症状なのか,それとも何かの 異常が起きてのことなのか医者の答がないので分からない.巡回する看護婦にそれを 何度も訴えたという豚丸子ではあった….                     手術以後,間に土日が入ったとは言え,それでも5日間も主治医が姿をみせない. 本日の若い看護婦は「主治医はいますので,それとなく言っておきます」と言った. よく話を聞いてくれる看護婦さんだとか.                     今後ここで手術を受けるのはやめようと決意.角膜移植を受けてから5〜6年…. これと言った苦痛もないままに視力は落ちてきた.病院にもずっと通い続けたのだ. 計測で高い眼圧も当人に自覚はなかった.                     本当に手術の必要があったのか? ずっと高い状態が続いていた機器上のデータで 手術が決められた.自覚症状もなく視力が落ちた経緯から,ここで手術を受ければ, それが救えるかも知れぬと期待したが….                     入院後に感じてきた様々な不満を巡回してきた看護婦に訴えたという豚丸子だが, 主治医が外来にいても診てくれる気配すらない.後で主治医の診察になりますという 連絡が来たが,何故か取り止めになった.                     その後,再び診察があるとの連絡が入って,主治医による眼科診察が開始された. 他の患者に的確に答える様子が聞こえる.待っている患者は,そこに安心感を得る. 無言で順番が進むのは不気味ですらある.                     豚丸子の診察では,質問や疑問にもきちんと説明していた.経過は順調で,特別に 異常が起きなければ,今週末にも退院出来るが,一週間に一度は診察に来て貰うとの 診断になった.退院が間近になったのだ.                     豚丸子が一番気になっていたのは,瞼も開け難い痛みであった.傷を縫てある糸が 痛みの原因にも思えた.先生は,糸を抜くのはずっと先の事で,痛みは今の段階では 当然起こることで我慢するしかないとか.                     夕食が終わった頃「主治医の先生に診て貰えましたか?」と,先の看護婦が来た. 「ああ…良かった.今日も診てくれなかったらどうしよう…と思っていた」という. 患者の訴えに行動で応える看護婦もいる.                    2000-04-05  豚丸子の本日の診察は,一応会話が出来る医者で,まあ…この程度ならばいいかと 納得出来たとか….試みに主治医にした質問をしたら,全く同じ答が返って来た…. 豚丸子め,ここで医者の知識を試したな?                     ところが,この先生,先の主治医の診察の折に同席していた先生であるから,その 言葉をそっくり受け売りしたとも取れるのだが….豚丸子は,見えぬ為に,そこまで 気づかなかったが,症状は変わらない….                     順番待ちの時,隣の患者と話をしていた豚丸子である.「物を知らない医者がいて 我々は,完全にモルモットですよねぇ….大きな声では言えませんけど…」などと, しっかり周囲に聞こえる声で話していた.                    「皆,病室でもそう言っているんですよ『高い金出して,学生上がりを育てる義理は 何処にもない』ってね」やはり不満を感じていたのは豚丸子だけではなかったのだ. 実は,入院した時期も悪かったのである.                     中堅で慣れてきた先生の大半が転勤や退職でいなくなった.代わりに,ロクに話も 通じない変な学校出たての医者がやって来て,患者を診る時間よりカルテを見ている 時間が長く,質問は読書の邪魔になる…?                     大体,目の前の患者がどういう理由で,入院しているのか全く分かっていない…. 然し,手術で目の中を縫ってある糸が触って痛い部分もあり,歩くと響いて不快…. ハンカチで目を抑えて歩くと楽になる….                     こんな状態で今週末に退院なんか出来るのか? 目を観察すれば,手術前より少し 窪んでいる.目玉が縮んで,中でカタカタ動いているんじゃないのかと冷やかせば, そうかも知れない…とテキもめげてない.                    2000-04-06  9時前に偉い先生が患者を集めて行う総回診があったのだが,以前に比較すると、 やはり質が落ちている。豚丸子を知らない医者が部下をはべらせ何も聞かずに右目を ずっと見ていた。手術をしたのは左目…。                     豚丸子が「左目ですけど…」と言うと、お付きの新米が慌ててカルテを見直した。 豚丸子の言葉をそっくりおうむ返しする。「そういうことは早く言ってよねっ!」と 八つ当たり…。患者と会話しない弊害だ。                     一言「どうですか…」と聞けば、そんな間違いも起こらぬ。手術ならば大問題だ。 形だけの診察で手短かに済ませるために、話は一切しない方針か? 以前は主治医が 脇で説明していたが、それもなくなった。                     以前は,この総回診を坪田がやっていた.今は,それを下の先生に任せるのか…? もっとも坪田の診察は,昔からおざなりで,豚丸子などは,カルテを覗いて目も診ず 「はい.OK」で終わりだったことが….                     有名ではないが、腕がいい今の主治医に決めて結果的には良かった。多くの患者は テレビで有名だと腕もよく、いい先生だと錯覚して来るのだが、手術をしてしまえば 今は殆ど診てもらえないのが実情である.                     俺様は、性格がひん曲がっているので、テレビ出演の「患者寄せパンダの先生」を 見た瞬間に「ああ…コレはダメだ…」そう思ってしまった。豚丸子も同感だとした。 この先生が主治医なら移植はしなかった.                     豚丸子が角膜移植を受けた頃のこと,偶然にも病院の駐車場に入ってくる真っ赤な スポーツカーを見た.入院患者が散歩していることもある駐車場を猛スピードで…. 何処のクソガキかと見れば坪田だった….                    『ふんっ! ヤッパリこの程度の軽佻浮薄野郎ではないか,こんな医者に手術などを 任せなくて良かった』と,心底思った.看護婦の一人が話してくれたが,昔は坪田の 失敗に怒鳴り込む患者が多かった…と….                     本日の通常の診察は、付き添う俺様にもモニターで見られます…と、同席を勧めた 女の先生であった。本日は、中の液を流す溝の様子が診て取れた。経過は順調なので 今週、土曜日に退院出来ることになった。                     肝腎の視力は手術前に比較して、かなり落ちているが、幾分、回復傾向にあるとの 当人の印象である。手術後は見えなかった病室の照明が分かる…と、回復を実感…。 この程度で視力確保というレベルである。                    2000-04-07  明日の退院は,既に医療費も支払ってしまったこともあって確定である.未だに, 手術をした左目の視力は安定せず,神経のなせる無意味な光が一部見えているとか. 本日の診察も昨日の先生と同じであった.                     歩くと目に響くという状態であるが,こんな状態で退院は大丈夫なのか…と思う. 然し,目に傷がある状態だから,暫くはそれが続くらしい.ともかく眼圧が安定して 特別の変化も見られないので大丈夫とか.                     明日は,午前中の診察を受けた後,退院となる.暫くは,安静にさせておいた方が 安全かも知れぬ.一週間後に外来で診察がある.外来では必ず主治医に見て貰える. 然し,時折,約束を破って不在になる….                     結局,今回の入院では,主治医には手術と,その後一回だけ診察を受けただけだ. 11日間でたった一回しか主治医に会っていない.アフターケアーにも不安がある. 診察は受けても手術はやめたいと思う….                     この5年余り,医者通いがなくならない.特別な異常がなければ来なくてもいいと 何処かで言われることを期待していたが,全くその気配はない.然し,通っていても 視力は下がるが,医者には止められない.                     医者にも通わず,普通に暮らしていたら,多分,今回の手術を受けることもなくて 済んでしまったのではないかと思える.言ってみれば,医者に病気を作られている? 本当に危険が回避出来たのか謎でもある.                     今の段階では,手術前よりも大幅に視力を下げられて,約30万円の費用である. 医者は,眼圧が下がって安定していると満足なのだが….痛みなどの苦しみがあって 手術した訳ではないだけに不審でもある.                     逆に,手術の結果,未だに不快な症状が残るなど,マイナスの現象が起きている. 数年前と違って,主治医が全く姿を見せない現実に,様々な不安があり,それだけで 手術を受けたことは失敗だったと思える.                     継続的に月に一度の診察を受けて,これからも何かあったら,世話になると思って 勧められた手術も受けた.もし,これを拒絶して更に症状が悪化してからの手術では 先生もいい顔をしないだろうとも思った.                     今の手術の経過が安定したならば,習慣だけの診察は自らの意思で遠ざかる覚悟も 必要かも知れないと思う.残されている視力はごく僅かである.手術自体が視神経に 大きな負担が掛かり,視力低下に繋がる.                     この5年あまり,特別目に異常を感じて診察を受けたことはない.次回の診察日が 告げられ,それに従っていただけである.改めて考えると誠に無意味な診察である. 今回の手術もいつまで効果があるか不明.                    2000-04-08  本日,豚丸子は無事に退院.結局,手術後,主治医に診てもらったのは一度だけ. 診察に並ぶ患者との話の中で,今回ほど不満が聞かれたことはなかった.あまりにも 入院患者のアフターケアーが手薄である.                     この病院は,いずれ訴訟問題に発展するような事態が生じることも考えられる…. 豚丸子の場合も,本当に手術が必要だったのか? 主治医の不在などで二ヶ月ぶりの 診察で唐突に一ヵ月後の手術が決まった.                     それでも,例えば一週間毎に眼圧を測るなど経過を観察して,しなくてもよくなる 可能性を見極めようとはしなかった.眼科の常識では,ここで手術するのが一般的と 言われてしまえば,そんなものかと思う.                     今回の入院で様々な患者の話を聞いて,しなくてもいい手術をされたと感じている 患者が多かった.無論,あくまでも患者側の素人判断であるが….手術の翌日,目に ガーゼを当てた患者が並んだのも異様だ.                     大体,そのガーゼは,手術の翌日に外されて,以後はする必要はなくなる.纏めて その日に同じ手術の患者を集めたのか? 患者自身の必要性ではなく,病院の経営に 必要性があって何が何でも患者を集めた?                     今回の入院で主治医の信頼性が揺らいで来た.手術が終われば,傷が治らぬ患者を どんどん退院させて,新たな手術の患者を入院させる….回転寿司のような形態だ. 退院後の生活指導もなく,放り出された?                     痛みが起きるのは,傷が治っていないからです…というだけで,安静の必要性には 全く触れようともしない.退院して来たが,目を開く瞬間が痛いというので,家では 目を瞑って行動して,今は全盲の状態….                     とても外に出て行動する出来る状態でもない.いつも一緒に買い物に連れ出すが, 今はそれが出来る状態ではない.下手に傷が化膿すれば再び入院という事態もある. 当分は,自宅療養という形態と判断する.                     保険の利く医療費は,障害者であるために市へ申請することである程度返戻される 部分もある.何処まで必要なのか不明な薬代が,月に2万5千円になることもある. 全額自費の感覚で考え直すべきことかも.                     本当は,必要のない診察や薬を受け続けているのではないか….時折,そう思う. ほとんど病院にいない主治医など,病状に緊急事態が発生しても頼りにはならない. この現実に,改めて気づいたのは収穫だ.                     豚丸子も,今回の入院で,今後,主治医に手術を勧められたら,別の病院に行くと 覚悟を決めている.手術後の経過が安定したら無意味な毎月の定期的な診察も止めて 普通の生活に戻ることを考えたいという.                    2000-04-17  この数日,豚丸子は未だに通常の生活が出来る状態ではない.いささか退院自体が 早過ぎたのではないか? 次第によくなっていると言っていた退院三日目だったが, 4日目は頭が痛いと,ほとんど寝ていた.                     それでも昨日は,少し気分がいいとして,近くまで車で買い物に出てみた.然し, 疲れが早く出て来た.家で静かにしているに限る状態には変わりがない.痛みも未だ 生じる状態で,何かと不安も付きまとう.                     本日は,退院後,初めての診察であった.様々に不快な症状があり,もしかしたら 再入院ということにでもなるのか…と案じたが,主治医は,眼圧も安定しているし, 特別な異常はないとの診断をして終わり.                     色々,症状を訴えても,それは傷が完璧に治っていない所為だという.次の診察が 来月になってしまう.本日は,朝から調子が悪かったという.加えて比較的長い時間 外に出ていた所為か,頭も痛い…という.                     本当に異常がないのかどうか….緑内障という特殊な手術の結果だけに,素人には 判断のしようがない.豚丸子の診察は,緑内障外来とか移植外来という月1〜2回の 特別な日に行われる.間隔が長すぎる….                     異常があった場合,一般外来で主治医の診察する日に診てもらうことも出来るが, 酷い痛みが継続しても,それは眼科の診断では異常なしとされてしまう….苦しみが 継続している状態を異常と言わないのだ.                     豚丸子の症状には色々不安もあるが,取り敢えず再入院という事態にはならずに, ほっとしたことも確かである.但し,本当は事態が悪化しているのに,もしかしたら 放置されているかも知れぬ不安もある….                     豚丸子の訴える目の痛みはかなり酷く,頭の半分が痛むのだという.もしかすると 眼圧が相当に高くなっているのかも知れないと当人は自覚する.とても一ヵ月以上も 放置出来る状態ではないと感じられる….                     退院したと言っても,通常の日常生活が送れる状態からは程遠い.本当は入院して 継続的に主治医に診て貰いたいと思う位の症状だが,もはやこの眼科は昔とは違う. 主治医には,ほとんど診ては貰えない….                    2000-04-17  一ヵ月後でいいと言われた豚丸子であるが,本日は,主治医が行う一般診療日だ. 連日の症状が余りにも酷い.顔の半分まで痛みが生じて,痛み止めを飲んでいる…. 本当にこれで眼圧が正常だと言えるのか?                     何しろ5年来の主治医に手術して貰った結果である.他に医者の変えようもない. 「痛いよぉ.手術なんかしなければ良かった…」と恨みの声をあげる豚丸子である. 取り敢えず,飛び込みでの診察に向かう.                     主治医は,豚丸子を診察したが,眼圧がうまく測れなくて視能訓練士に任せる…, 本当は相当に高いのだろうか? 測定の結果「それほど高いという訳ではないけど, 一応眼圧の薬を付けていて…」と言った.                     その測定値は,最終的に手術を決めた値と同じである.どうもこの診察には不安が 伴う.手術前,何の痛みも苦痛もなかったのである.主治医は,一ヵ月後では間隔が 空き過ぎると間に緑内障の診察を指示….                     実は,主治医の一ヵ月後は,学会があって5月6月は診察がないと判明.つまり, 現実には,次の診察は7月になってしまう.ほとんど手術をされたまま放り出された 雰囲気である.知らぬが仏の手術だった.                     普通,眼科医でもためらう手術だが,それでもやった方が…と言われたが,昔の, 連日,主治医が診てくれる状況が無意識に想定されて不安もなかった.時代は変わり 坪田も主治医も病院にはほとんどいない.                     俺様が当初感じたように,纏めて手術をして,そこで一気に点数を稼いで,後は, 自由にアルバイトに精を出す.留守中は新米に形だけ診させておけばいい….そんな 形態だ.少なくとも患者はそう見ている.                     実際,入院中に知り合った患者さんの中には,地方の病院で角膜移植を受けるのに 必要な前段階の手術を受けるべく坪田医師を紹介された.坪田は,彼女の肩を叩いて 「僕に任せておけば大丈夫」と太鼓判….                     ところが,手術をしてもらった後,全く診て貰えず,数日間,新米の医者が診た. 「安定してます」と言われ続けていた.どうやら主治医が常駐しない病棟の現状は, ずっと以前から定着していた様子である.                     数日経て,坪田の下にいる医者に診て貰ったら傷が化膿していた.色々な処置の後 結局,眼球摘出という事態になってしまった.前段階の手術後,地元の病院に帰って 手術すれば30%の確率で治る筈だった….                     彼女は,手術ミスではないか,院内感染ではないかと色々質問したが,当然の如く 全て否定されて,あなた自身が元々持っていた体質が原因だとされた.様々な処置の 過程で地元の病院へ帰る要求も断られた.                     先日,病院で会った時には,既に眼球は摘出されたという.事後の痛みが激しくて 未だ退院が出来ない状態だという.彼女のケースは,主治医が全くケアしない弊害の 典型である.この病院での手術は危ない.                     最近,この坪田医師が角膜移植で手術を失敗したとか.「いい角膜を貼りますから よく見えるようになりますよ」と言われたのに,手術中に,患者が飛び上がるような 痛みを感じて,結局,その目は失明した.                     手元が狂って何か重大な失敗があったようで,この家族にマスコミ関係者がいて, 坪田が連日背広姿で見舞いに来ていたと聞いた.やはり,最初にテレビで見た印象は 間違いではなかった.誠に軽々しいのだ.                     眼科の診療体制に不満を持っている患者は少なくない.先の彼女は,既に4ヵ月も 入院しているが,その間,坪田の患者が見える様になったとマスコミで騒がれたが, 患者は既に視力が落ちて落胆していた….                     マスコミ報道に影響されて,この病院を訪れる患者の数は増えるばかりのようだ. マスコミは,報道して結果的に医師の名声を上げてしまうが,その診療の実態などは 全く把握しないまま垂れ流しに終始する.                     報道を見て,いい先生でいい病院だと思う人々は多い.然し,診療の実態は,自ら 入院して見ないと分からない.マスコミ報道を頭から信じ込むことの危険は,生命の 危険にも繋がりかねない状況にあるのだ.                    2000-04-21  本日は緑内障外来である.実は,今まで診て貰ったことのない先生のようである. 月に一度来る先生にどの程度期待出来るのか….然し,他に期待出来る手段もない. 不安ばかり先行する退院後の生活である.                     実際,前回の診察の時も,主治医が診た後に別の緑内障の先生にも見せたのだが, 主治医がちょくちょく顔を出すので,言いたいことも言えない雰囲気を感じたのだ. その時は,来月の再診で決着したのだが.                     本日も,実際は主治医がいなければならぬ日だが,アルバイトに精を出している? 実は,この病院の先生には,週に一日研究日という名目でアルバイトが許される…. ところが,週一日が数日になっている…?                     あまりに痛みが続くので,先日は歯科の診察のついでに主治医の診察を受けたが, 眼圧が高いということで,薬を追加されただけだった.ただ,本日専門医が来るから 一応,診てもらっておけば…となった….                     診察開始と同時に「あっ….これは糸を取らなければいけません.液体を通す溝が これでは塞がってしまいます.そうなると再手術です.既に少し閉塞状態かも…」と その場で糸を抜くことになってしまった.                     その先生の話では,眼圧が15以上になった段階で早々と溝を縫った糸を取るのが 常識だと言う.そうだとしたら,それこそ入院期間中にも糸は抜くべきだったのだ. 然し,それを見極める診断はなかった….                     目の中の傷を縫ってある糸について,主治医は「いずれ抜きますが,それはずっと 先のことです」と語っていた.角膜移植では取らないこともある.はっきり言えば, 完璧に処理の方法を知らなかったのだ….                     つまり,穴を開け,そこから液を通す溝を掘った訳である.その傷を縫ったままで 放置すれば,確かに傷は治ってしまう….それでは効果がないという.理屈である. もし主治医に従って一ヵ月放置したら….                     糸といってもビニール製で,肉眼では見えない.その糸はレーザーで焼くだけで, 痛みは全くないという.熱でビニールを溶かす原理なのだという.30分後に,処置の 結果の眼圧を測定して一件落着したのだ.                     三十分待つ間に,ずっと続いていた痛みやモヤモヤ気分が,すっと消えたという. 臨時に来る医者ごときに何が出来るのか….そんな気持ちもあったが,しっかりした 処置のお陰で,見違えるように変化した.                     どうやら豚丸子の主治医は,角膜移植は得意なのかも知れぬが,緑内障については 手術後の処置の方法を全く知らないことになる.他に手術を受けた患者もいる訳で, そんな患者は,痛みがなければそのまま?                     実際,手術しただけで,術後の観察を全くといっていいほどしなかった主治医だ. 診察する医者の全てにずっと痛みを訴えていたが,誰一人明確な処置の方法を示せず 今まで放置されたままのヤブの中だった.                     2000-04-23  豚丸子のその後であるが,顔の半分が痛くなる程のひどい痛みはないが,何とない 不快感が続いて,横になっていることが多い.前回の診察で糸がなくなったことから 少し楽になった程度で本質は変わらない.                     次の水曜日は,既に宛にならなくなった主治医の診察である.先の医師の指示で, 焼かずに残っている糸があるので,必ず取ってもらうように…との指示が出された. 然し,症状は糸の問題だけで済むのか…?                     危ない手術で眼科医もためらうような手術であったなら,常に主治医が常駐して, いつでも術後の変化に対応出来る体制が要求される筈だが,とても期待出来るような 状況ではない.この先,五里霧中である.                     五月・六月は主治医が学会とやらで居なくなる.果して,この先,豚丸子の容体は どうなってしまうのか….症状が安定してくれることを神頼みするしかない現状だ. 俺様も豚丸子の苦痛を聞き続けて疲れた.                     実は,眼科とは関係なく,全く違う病気が現われたのかとも疑えたのだが,然し, 症状は,明らかに目から来ていると豚丸子は感じていた.眼圧が高い痛みを別の科で 診察すると脳溢血と間違われるとも言う.                     それ故にこそ,早めに眼科での適切な処置が望まれたのだが,痛みは仕方がないと 放置された.我慢してそれに従っていたら危うく再手術される状態になっていた…. 当初の一ヶ月後という診察は恐怖の日だ.                     本日は,豚丸子の眼科の診察である.前回の医師の指示で主治医への診察となる. 主治医が分からないといけないから…と,豚丸子が「結膜と他に少し残っている糸を 取って下さいと言われました」と言った.                     主治医は,素直に「はいはい」と豚丸子の仰せの通りにしたとか.俺様はその頃, 耳鼻科での診察を受けていた.どうせ一発で診断などはつく訳がないとは思った…. 血液検査と中耳のレントゲン写真撮影….                     何か重大な病気が隠れているといけませんから…という訳で検査になったのだが, 診察では,頭を振られたり傾けさせられたりしたが,その程度のことで,俺様の病は 正体を現すほど,単純なものではない…?                     実は,豚丸子の退院後,初めて外来での診察を受けた翌朝,俺様はめまいがして, 寝込んでしまった.その後,夜になると寝返りをするとめまいがする状態が続いた. そのために,俺様も苦痛な日々を送った.                     それでも豚丸子の診察の日だけは,気力で運転をして病院に行った.不思議にも, そんな時は何ともない状態で病院を往復出来た.夫婦二人だけの生活である.二人が 倒れたら,それで終わりという生活だ….                     今回,豚丸子が手術をしてから,ずっと痛みを訴え続けていた.俺様は,傍にいて ずっとそれを聞き続けてきた.診察の日は限られており,下手に他の科や病院などに 掛かるのもためらわれる状況に困惑した.                     然し,この程度のことで俺様は参ってしまうのか? 年齢的にガタが来て一時的な 減速を強いられる時期なのか? 百メートルトラックのカーブに差し掛かった時期と 思えば納得も出来る.困った事態だが….                    2000-04-26  本日は、豚丸子の診察を抱えていたので,俺様も体も何とか正常に機能していた. 一歩外に出ると妙にフワフワする….まっすぐに歩けることを確認して車に乗った. 心理的な要因も多分にある気がしている.                     レントゲンは,うつぶせにされて顔を左右に傾けた格好で撮られた後,別の機器で 仰向けで連続的な撮影がなされたようである.ここで色々体位を変えさせられる方が 怖かった.或いはめまいがするかも…と.                     次回の診察では,本日の検査結果の告知と平衡感覚のテストをすると言っていた. 診察の前に聴力の検査を受けたが,左耳が少し聞こえ難いか? と医師に聞かれた. 然し,俺様に,その自覚はないのだが….                     昨夜からは,一応,めまいを体験していない.然し,今夜はどうなるか分からぬ. 一度治った感覚があったのにぶり返した.安心は出来ない.次回の診察にも果たして 行けるかどうかも,実は分からないのだ.                     平衡感覚のテストは,早い時間にやるとのことで,診察開始の時間に合わせて少し 早めに来て欲しいとの指示を受けている.今年になって医者に掛かるのは2度目だ. 何だか病人らしくなって来た気分である.                    2000-04-27  何とも理解に苦しむのが豚丸子の治療費である.前回の治療では,点数が少なくて 僅か400円で済んだ.その先生の話では「抜糸は処置でしか取れない」と言った. 然し,今回同じ処置で3800円もした.                     前回,先生の助手をしていた病院付きの先生が,点数が違っていると言いたそうに 「この点数で宜しいんですか?」と聞いたと言う.そして「今日は安く済みました」 豚丸子に助手の先生がそう言ったという.                     領収書を見ると,前回は検査で点数を取っていたが,今回は手術になっていた…. このような点数のつけ方はどうも分からぬ.ただ,今回一部ハサミ? で切って取り 残りをレーザーで取ったというのだが….                     然し,何をどうしようと,やったことは抜糸でしかない….取れない筈の点数でも 名目を手術にすれば取れてしまうのか? 何となく病院の方針で無理矢理高い点数が 付けられているような気がしてならない.                     不思議なことに,ここの眼科では病院付きの医者が診察すると,点数が一般に高い 傾向がある.全く同じことをしても数百円の差が出て来る.他の科に掛かった料金と 比較しても相対的に診察料金が高いのだ.                     歯科では30分の治療を受けても180円なんてことがよくある.こちらはむしろ 点数が低すぎるのではないか…とさえ思えたりする.開業している歯科医に掛かると 最低でも一回千円は掛かると親類が言う.                     ふと,豚丸子の抜糸の時期を,ずっと遅い時期に設定していたと言うのは,或いは 再手術をするために,敢えて抜かずに放置しようとしたのか? 眼科の医者なのに, 抜糸の時期を知らないのは変だと気付く.                     入院前に,一度で済むことは稀で,二度三度と調整のための手術が必要になるのが 普通だと言われたが,それは,溝を一度治して再び手術をすることなのかと思える. 主治医の経過観察などは無に等しかった.                     そうして,一人の患者を何度も手術すれば,その度に利益が上がる仕組みである. 俄かには信じ難いことだが,豚丸子など5年も飼っている単なるモルモット患者だと 考えられていると思えば説明も付くのだ.                     手術が決められた経緯も唐突で,本当に患者の将来を考えてのことであったのかも 疑問に思えていた.その後の経過を辿って振り返れば,患者の容態を真剣に心配する 姿勢は全くなく,逆に放り出された位だ.                     豚丸子の具合は,その後,何となくすっきりしないものの,痛みはなくなった…. 俺様も,めまいが生じなくなっている.感覚的には,目に見えぬ体力が落ちてくると 体が動けないような症状が出る気がする.                     無理をしない内にブレーキが掛かる体の仕組みのようなものを感じているのだが, 現代の医学で,そんなことが理解されるとも思えぬ….基本的には,かなりの無理が 利くのが人体であるとの常識もある筈….                     ただ,明方トイレに起きて寝た後,急に耳鳴りがして,一瞬,めまいを感じたが, すぐに治った.ただ耳鳴りは続いている.これも年齢的なものがあるのかも知れぬ. 今は,ほぼ正常だが、すっきりしない….                     豚丸子の症状が不安定で,何がどうなるのか俺様も心配ではあった.一応,前回の 処置のお陰でだいぶ楽になった.それ以来,それほどの心配はなくなった.豚丸子の 体調に連動して俺様も具合が悪くなる…?                     今後,眼科には通っても手術の類は一切受けないことに決めている.必要ならば, 信用出来る医師が常駐する病院を紹介させるとかの方法を取りたい.今後,診察から 遠ざかるように意識的な努力をしたい….                     本当は,この事実を病院に訴えて,改善を迫ることも考えたが,投書箱への投書が 反映されたことはないとの入院患者の声もあった.俺様が善意でしたことでも,逆に 脅迫として取られてしまう恐れもある….                     俺様も,今回の豚丸子の入院では,精神的にほとほと疲れた.医者が,しっかりと 患者を診ないことが,患者ばかりか家族までをも疲労困憊させる.こんな体験を他に 拡大させたくない.敢えて公開する次第.                    2000-04-28 番外編 俺様の診断結果  朝早い時間に来るように言われた耳鼻科の診察である.だからと言って4時5時に 出向いても仕方がない.病院が始まるのは9時からである.色々,用事もあったため 豚丸子を連れて出て,9時前に到着した.                     俺様の感覚では,すっかり正常に戻っている感覚なのである.9時40分に呼ばれ 最初に自分の名前を書かされた.ペン先だけを紙につけて手を付かないで書く.目を 閉じて書き,更に首を左右に傾けて書く.                     別段,異常に歪んでいる様子もない.性格のテストだったら目一杯歪むだろう…. 次に血圧を測った.それから暫く後に体重計のような台に乗って,まっすぐ前を見て 立っている.次に目を閉じて立っている.                     これでコンピュータに体の揺れが記録される.これも異常があるとは思えない…. 更に別室に出向いた.両手を前に出した姿勢を保つ.どこかで見た格好だと思ったら そのまま跳ねて歩けばキョンシーである.                     足元を見ずに前を見たまま歩く.次に目を閉じて歩く.更に同じ格好で目を開けて 足踏みをする.また目を閉じて足踏みをする.あまり位置を移動しない方がいい…? 反対側のつま先に足を降ろすのがコツか?                     本当は,そういう余計なことを考える必要はないのだろうが,幾らか前に出たが, さしたる距離ではなかった.この程度で何が分かるのか? そのテストが終わって, 診察になったのは11時50分だった….                     結局,検査では特に異常は認められないとのことで,最終的には,このままで暫く 様子を見るということになった.他の科の診察を指示された訳でもなく,特別に薬も 出しませんとされて,これにて一件落着.                     俺様の感覚の中では,最初から診察の結果は分かっているのである.何しろ,歳も それなりで,ガタが来ても不思議はない.豚丸子が生死の境をさ迷った頃に,俺様の 体は危機に備えた防御反応を身につけた?                     血を採られ,金を取られ,レントゲンまで撮られ,放射線を浴びせられ,おまけに キョンシーの真似までさせられて異常なし? 何となく,病院内で受けた検査の方が 精神衛生上よろしくないような気がする.                     病院だの医者だの,あまり縁がない方がいい.俺様は薬が処方されなくて,ほっと 安心した気分になった.薬との縁が切れなくなるのも怖い.本日は,連休前で何故か 大賑わい.駆け込み患者が多いのだろう.                     その後,俺様のめまいは時折就寝時に出る状況で,安心して寝返りもうてない…. 耳鳴りも騒がしい….ゆっくり静養して自然回復を待つことにする.医者に行くのも 自分のことだと何となく面倒なのである.     ** 悪魔 **       ・目次に戻る