サムリン社、MTCC、野生生物保全協会は本当に法律を尊重しているか
ルンガ・サラワク(インターネット・ニュース)による解説

ようやくサムリン社は、MTCC認証を受けたスラアン・リナウ伐採権区域にまつわる論争に関して意見を発表した。その全文を添付した。ここではサムリン社の全ての主張や嫌疑に答えるつもりはない。公平・公正に問題を解決する意志があれば、第三者による検証が必要であるが、それはまた別のテーマである。

この記事は、サムリン社の最新の主張に関連しているが、単にそれに反論するためではなく、土地権が争われている地域で森林認証を行うことに関して二つの基本的な疑問を提起するために書いた。今必要とされているのは、外来の表面的な環境保全などのプロジェクトではなく、伐採で影響を受けた先住民族があまりに長い間受けてきた不正を正す行動である。この記事は、サムリン社だけでなく、むしろMTCCや同組織の自称の第三者評価機関や秘密裏に評価を行う業界関係者たちに向けたものである。

サムリン社は、マレーシアの法律を守り、尊重していると言っている。この点を取り上げてみよう。次のような疑問が浮かんでくる:

1. サムリン社は具体的にどの法律を守っているのか?

2. サムリン社は先住慣習権法を尊重すべき法律に数え入れているのか?

3. ミリ高裁に裁判が提起された後で、その係争地を自らに有利な形でMTCCに認証して貰おうと手続きを進めたことは、法律を尊重したことになるのか?

プナン人のサムリン社に対する裁判の詳細を示す裁判書類を添付した(*1)が、サラワク州政府がサムリン社に公布した二つの伐採権のライセンス番号も明記されている。1998年にプナン人たちは、サムリン社に与えられた二つの伐採権の合法性に異議を申し立てるためにもサムリン社とサラワク州政府を提訴した。しかし、最大の争点はプナン人の先住慣習地の問題に他ならない。裁判はまだミリ高裁で争われている。

ライセンス番号T0411とT0412の二つの区域が裁判の判定を待つ係争地であることは裁判書類でもはっきり書かれている。このことは、サムリン社、MTCC、そしてMTCC認証に際してサムリン伐採権区域を評価するために雇われたSirim社という政府と関係深い調査会社に二つの問題を投げかける。

まず、係争地と重なる二つの伐採権区域と、MTCCおよびサムリン社によって境界線が定められたと思われる認証区域についての問題だ。裁判の対象となっている二つの伐採権区域には、元々は区画A、区画B、区画Cという細かい区分けはなかったはずである。これらの区画の境界線はどういう経緯で引かれたのか?認証された区画Aからは、サラワク州政府とサムリン社を訴えている村々(*2)が都合良く除外されているのは、単なる偶然だろうか?そうでなければ、MTCCが発表した認証伐採権区域の地図でライセンスT0412区域を区画Aと区画Bに分ける境界線を引いたのは誰なのか?MTCCは、これから認証しようとしている区域が裁判で争われていることを知っていたのか?もしそうならMTCCは裁判で争われている土地に関して、当事者の一方に肩入れしたのか?そうでなければ、サムリン社はMTCCから情報を隠していたのか?

次に、裁判が判決を待っているにもかかわらず、サムリン社がMTCCに評価を依頼して認証を受けることを含め、係争地で活動を続けることは、サムリン社がいう法律の遵守になるのだろうか?マレーシアの高等裁判所において係争中で判決が出ていない伐採権区域をMTCCはなぜ認証するのか?確かにサムリン社には自ら及びサラワク州政府を訴えるプナン人を「自称の土地権を申し立てている」とレッテルを貼る権利はあるかも知れないが、プナン人にもマレーシア国民として国の裁判所で土地権を主張する権利がある。

裁判が未決のまま、サムリン社がMTCC認証を受けたことを私たちは知った。ライセンス区域を(言うに及ばないが)伐採に有利な形で区画AとBに分けたことから、そのやり方がいかに恣意的だったかも分かった。またサムリン社のNGOへの返事とやらで、野生生物保全協会(Wildlife Conservation Society)も係争地で活動していることが分かった。地元住民に相談もなく、その土地権を無視するとは、何という「尊重」だろうか?

ニューヨークを本拠地とする野生生物保全協会は、係争地での活動に参加・協力することで裁判当事者の一方に味方し、偏った立場を取っている。正義のない環境保全は自己目的化した、正当性を一切欠いたものと言わざるを得ない。いくら自称専門家によるものであっても、住民の同意と参加なしに外部から押しつけた環境保全は受け入れがたい。

サムリン社とMTCCには以上提起した二つの問題に答えて頂きたい。もちろん、MTCCと野生生物保全協会が裁判所の判決を待っている争議を知らなかったと申し立てることは決して受け入れられない。この両者は、論争に自分たちを巻き込んだサムリン社に説明を求める必要があるだろう。この問題に関する透明性と説明責任を徹底しない限り、両組織とそのプロセスに対する疑問は募り続けるだろう。

NGOはサラワク州やマレーシアだけでなく、全世界で持続可能な森林経営を推進する責任を担い、積極的に貢献しようとしている。しかし、先住民族の権利が尊重されるだけでなく積極的に行使されるよう保障するために責任を担い、貢献するのがNGOの最大の役目である。さらに持続可能な森林経営に不可欠の説明責任と透明性を保障する面でもNGOは責任を担い貢献しようとしている。

MTCC、野生生物保全協会、サムリン社の皆様、次は貴殿たちが答える番です!

*1 スペースの関係で省略。Rengah Sarawakホームページをご参照下さい:
  http://www.rengah.c2o.org/assets/pdf/de0109a.pdf

*2 訳注:サムリン社・州政府を訴えているのはロング・クロン、ロング・サイット、ロング・スピゲン、ロング・アジェンの四ヶ村のプナン人。地図で分かるように4つの集落は区画Aに含まれないが、その先住慣習地の多くは含まれる)