
裁判所の緩慢な対応に先住民族地主が不安感
マレーシアキニ・インターネット・ニュース、2005年4月30日
現在、先住慣習地に関する100件以上の訴訟がサラワク州の裁判所に提起されているが、その司法手続きが遅々として進んでいないことに先住民族の地主たちは不安を募らせている。
ほとんどの場合、先住民族たちは自分たちの先住慣習地で伐採を行う権利、もしくはアブラヤシ栽培や植林などの開発プロジェクトを行うための借地権を与えられた企業および/もしくは州政府や関連機関を訴えている。
先住民族原告を代理する弁護士たちは、元々裁判官の数が足りていない上に、未対応の訴訟が増え続けており、依頼主たちは待ち続ける以外にないと語る。
弁護士の一人、バル・ビアン氏は、訴訟が裁判所で審理されるまでに平均で三年以上かかると推定する。政府が新たに裁判官を任命して事態を収拾する手を打たない限り、こういう状況が続くだろうと彼は言う。
イバン人ロングハウスの住民が先住慣習権を守るためにビントゥル市の紙パルプ・プランテーション会社を訴えた歴史的な裁判では1999年に訴訟が裁判所に提起されたが、審理は2001年に行われ、同年に判決が下された。
イバン人ロングハウス住民が勝訴し、政府が借地権を与えた土地に含まれるプマカイ・ムノア(共有林)は先住慣習地であると裁判所は認定した。
州政府・企業側は控訴しており、近々控訴裁判所の判決が出る予定であるとバルビアン氏は言う。
「サラワク州には裁判官が四人しかいませんが(クチン市に二人、シブ市とミリ市に各一人)四人とも、あまりにも忙しすぎる状態です」とバル氏は嘆く。彼も裁判所に提起されている120件以上の訴訟を扱う七人の弁護士の一人だ。
審理に長い年数
サラワク法律家協会は裁判官を増やすよう呼び掛けており、バル氏は少なくとも三つの大きな街にそれぞれ一人ずつ増やすべきだと提案する。
審理が始まるのにどれほど時間がかかるかについてバル氏は例を挙げた。例えば、訴訟が8ヶ月前に提起されていれば、最初の審理の日程はやっと今頃になって決まり、その日程は早くても2007年半ばになるだろうという。
通常、審理自体も数週間かかる。その場合、裁判官は判決の根拠に関して細心の注意を払いたがるので、判決文が後から出されることになるという。
「私が扱っている先住慣習地に関する訴訟の一つでは、判決は少なくとも3回は延期されている」とバル氏は語る。
伐採やプランテーションで先住慣習地が影響を受けている村人とマレーシア人権委員会(SUHAKAM)がルンドゥ地区で最近、対話の場を持った。そこでスラコ民族(ダヤク民族の一つ)のクトゥア・カンポン(村の首長)は、判決を出すのに裁判所が時間をかけすぎていると苦情を述べた。
三回の延期
その村人たちは、2002年に訴訟を起こし、サラワク経済開発公社とジョホール州の投資家グループによる合弁であるSara HLプランテーション社に与えられた3100ヘクタールの土地に対する借地権をすぐに撤回して共有林を自分たちに返還するよう訴えている。
審理は既に三回延期されており、今は5月18日にクチン高裁で行われる予定になっている。
こういう場合、係争地での会社の操業に対する暫定的な差止命令など仮処分の申請をしても、裁判所は許可したがらないとバル氏は言う。
「企業は、プロジェクトのために既に多額の投資をしており、何百万リンギもの銀行ローンを組んでいることを示す書類を裁判所に持ち込むことがある。」
原告に十分な財力や資金的な裏付けがない限り、裁判官は差し止め命令を出したがらないとバル氏は説明する。
「弁護士として、差止命令が出るよう、できる限り努力するしかありません。共感を持って聞き入れてもらえることを願うだけです。」
資金不足
イバン人弁護士アンソニー・リマン氏によると、ある裁判に参加するためにクチン市に集まっていた先住民の地主たちは、食糧を買う金もなくなってしまったと言う。
「審理に数週間かかったので、先住民族の有志でカンパ袋を回してお金を集めるしかありませんでした」と彼は言う。彼らは州都の先住民族用宿舎に滞在していた。
NGOが先住慣習地の基礎調査を行う費用の一部を負担している場合もある。
最近SUHAKAMが主催した人権セミナーに先住慣習地の保護に関わる多くのNGOが参加した。セミナー参加者は、アブラヤシ、伐採などのプロジェクトに新たに借地権を与える前に、先住慣習地とそれ以外の土地の境界線を明確にするよう政府にアピールした。企業の従業員と先住民族住民の衝突を避けるためにも必要な措置だと彼らは訴えた。
今のところ州政府からの反応はない。一方、弁護士やNGOは、このような借地権が何件、どこで、誰に与えられているのかについて情報収集を行っている。
州内には(個人名義になっていない)先住慣習地が約200万ヘクタールあると推定されるが、政府はそれが州有地だと言っている。