クニャー人、自民族出身の政治家によって土地から追い出される?!

バクン・ダムの影響を受けている先住民族の運動を長年支援し、先住民族の就学前児童の教育プロジェクトも行っている先住民族開発センター(IPDC)のセム・キオン・アンギン氏によると、彼の出身地であるビントゥル省カクス川上流部ダタ・カクス村のクニャー人約70世帯が同じクニャー人で引退した元州議会議員(ブラガ地区)であるタジャン・ライン氏の経営するアブラヤシ・プランテーション会社によって土地から追い出されようとしている。ダタ・カクス村の人々は、長年ライン氏に投票して支持してきただけに、裏切り行為に激怒しているという。

ダタ・カクス村の住民は、19世紀にブルック王朝への服従を拒み、王朝が送ったイバン人部隊に破れてカリマンタン(インドネシア領)に逃れたウスン・アパウ地方のクニャー人たちの末裔である。サラワクがマレーシア連邦に加盟した1960年代にイバン人政治家の計らいでサラワクに帰還することを認められた。その後、何回か居住地を移したが、約10年前からダタ・カクスにロングハウスを建てて回りの土地で農業を営んできた。タジャン・ライン氏は1986年に同地区の1360ヘクタールの土地に対する暫定的借地権を政府から与えられていたが、それを行使することなく、住民が土地を利用することを許可していた。ところが最近、ライン氏は政治から引退してから事業に乗り出し、2004年8月末までに同地から出ていくよう要求する通達を同年7月にいきなり村長に送りつけてきた。ダタ・カクス村長アミット・ジャロンも裏金を受け取っている可能性があり、「抵抗しても無駄だ。我々に土地の権利はない」と住民に説いて回っているという。

その後、ライン氏と住民の間で何回か話し合いがもたれ、最初は1世帯3エーカーの土地を使い続けてもよいと言っていたライン氏も、2回目には3エーカーは難しいが1エーカーなら許すと言い始めた。3回目には土地の継続使用を許す用意は一切なく、1ヘクタール100リンギ(約3000円)の補償金しか支払えない。拒否すれば政府に頼んで強制退去させると脅した。集まった村人30人は怒りを堪えながら静かに座っていたが、セム・キオン氏は、「家を切り倒すなら、先に私の両足を切れ!」と怒鳴り、ラインは黙って立ち去ったという。その後、セム・キオンは、住民、地区行政官を交えて村に近いブラガ町で会合を持つようライン氏に要求しているが、ライン氏はビントゥル市でしか会えないといっているそうだ。セム・キオンは土地調査局、省長、地区行政官、天然資源局などに住民の署名を添えた手紙を送って問題を訴えている。