マレーシアの木材輸出額 170億リンギに達する

スター・オンライン紙
http://biz.thestar.com.my/news/story.asp?file=/2004/7/16/business/8452149&sec=business
2004年7月16日付け

K.P.Lee記者

丸太の供給が減っているにもかかわらず、家具製造など下流産業が拡大し続ける中で、マレーシア木材産業の今年の輸出額は2003年の163億リンギと比べて5〜6%増加し、170億リンギに達する見込みである。

コスト増や環境面の課題を抱える中で、合板と共に木製家具部門が業界の成長を牽引しているとプランテーション産業・商品担当副大臣、ダトゥ・アニファ・アマンは語る。

しかし、今年度の輸出額の増加予測は、昨年達成された6.9%よりは低い。昨年は木製家具部門で46.7億、合板部門で40.6億リンギという輸出額を記録し、マレーシアの木材産業の総輸出額の半分を占めた。同業界は2004年の第一四半期に、前年同期の37億リンギを上回る42億リンギの輸出額を達成した。

昨日クアラルンプールで行われたマレーシア木材協議会(MTC)主催のマーケティング・セミナーで、プランテーション産業・商品担当大臣ピーター・チン・ファー・クイの代理で開会の挨拶を行った後、アニファ氏はこれらの数字を公表した。

業界が成長し続けるためには、高品質・付加価値商品の製造能力を高めながら、同時に中欧や中東など新規市場に参入する必要があるとアニファ氏が代読したスピーチでチン大臣は語った。

さらに下流産業と上流産業の間の供給プロセスの連携を強化しながら、優れた競争相手の基準に照らして品質改善を図る必要があると語った。

チン氏によると、イタリアの家具メーカーとの比較調査を行ったマレーシア木材協議会は、マレーシアの木製家具にいくつか重大な欠点が見られ、後れをとっていると結論したという。

主な欠点として、マレーシア企業が主にOEM(他社ブランドのための委託製造業者)であり、ODM(自らデザインし自社ブランドで販売する製造業者)に発展する戦略を持っていないのに対して、イタリアの家具産業はODMが73%を占めることが挙げられた。

丸太供給量が特に半島部で環境保全策により減っていることも目前の課題だとチン氏は述べた。

天然林から丸太が豊富に取れる時代が去って久しい。十分な木材供給を保証するためには早生樹種の森林プランテーションを大規模に開発する必要があると述べ、この分野での民間投資がまだ具体化していないと付け加えた。

現在、27万ヘクタールの森林プランテーションが造成されているが、MTCの別の調査によれば、半島部で40万ヘクタール、サバ州で90万ヘクタール、サラワク州では150万ヘクタール、合わせて280万ヘクタールの土地がこのようなプランテーションのために利用可能であると彼は語った。

マレーシア木材認証協議会(MTCC)による木材認証制度も広く受け入れられ始めているとチン氏は話した。同制度は、合法的で持続可能な供給源からの木材製品を認証することを目的としている。

MTCCの最高経営責任者チュー・ライ・テン氏は、既に45社がChain-of-Custody認証(伐採から流通まで適切な管理を行ったことに関する認証)を受けており、同協議会が既に七つの州で計410万ヘクタールの永久林を審査したと語った。

MTCC認証は、森林管理協議会(FSC)基準など国際的に合意された基準を満たしていないことから国内外の一部のNGOに拒否されているが、MTCCもそうした基準に準拠する方向に動くつもりであるとチュー氏は語った。来年にはFSC基準に切り替えるつもりであると彼は語った。
---------------------------------------------------------------
SCCのコメント:森林資源が枯渇する中で、丸太から加工製品へシフトして高付加価値化に成功し、昔は敵視していた木材認証も積極的に採り入れはじめている点で近年のマレーシアの森林政策には評価できる面もある。「丸太が豊富に取れる時代は去った」と大臣自ら認めるほど、過去に丸太輸出のために乱伐を繰り返したことが惜しまれる。ただ、加工産業も木材供給とのバランスが崩れて、インドネシアからの違法材の密輸に拍車をかけている問題も忘れてはならない。

しかし、原料不足の解決策として大臣が挙げている樹木プランテーションは、もっと大きな問題をはらんでいる。地球温暖化防止策とも謳われて途上国で広まり始めている単一樹種の樹木プランテーションは、野生生物も棲めず、木材以外の林産物も取れず、土壌を疲弊させる農薬付けの「緑の砂漠」を生む場合が多い。何よりも、先住民族を伝統的な土地から半永久的に閉め出す点で「伐採はまだまし」と言わせる大きな脅威である。サラワク州で150万ヘクタールもの「森林」プランテーションの造成を見込んでいることには戦慄を覚える。

一方、永久林での択伐方式の伐採も問題がなくなったわけではない。数十年で再び木が伐れるようになると言っても、原生の自然が戻るわけではない。数本の売れる木を切り出すためにブルドーザーで森の中は虫食い状態になり、まわりの植生もなぎ倒され、表土がむき出しになる。野生生物は逃げだし、川が汚染されて魚もなくなる。特に狩猟採集への依存度の高いプナン人の生活への打撃は大きい。プナン人は逮捕覚悟で小規模ながら林道封鎖を現在も繰り返し、伐採会社相手に初の裁判も起こしている。

マレーシア木材認証協議会(MTCC)の木材認証で伐採が少しでも環境や人権に配慮した方向に転換することを望みたい。残念ながらこれまでMTCCは、先住民族の土地権を守る基準を設けることを拒み、後ろ向きな姿勢を示してきた。それを理由に当初参加していたNGOの多くがMTCCから脱退している。デンマーク政府が公共建築でのMTCC認証材の使用を認め、今年マレーシアを訪問中にEU大使やドイツ政府高官がMTCCを賞賛したことが現地新聞で大きく報じられたが、状況をちゃんと把握しているのかと、首を傾げてしまう。MTCCが来年から準拠すると言っているFSC基準には先住民族の土地権に関するルールもあり、改善を期待したい。それには相当な意識改革が必要だろう。いずれにせよ、ヨーロッパなど認証材に対する需要の高い市場にだけ認証木材を売り込み、日本・中国など消費量の大きな市場にはプランテーション材やこれまで通りに乱伐された木材を供給し続けるのであれば元も子もない。