サラワクは今



■ バクンダム、当初規模での建設再開決定!/河川迂回トンネルは3月末に完成
 【マレーシア国営ベルナマ通信の1月13日配信記事より抄訳 /1月12日ミリ発】

【解説】マレーシア政府は2月28日、バクンダムの建設を当初予定どおりの最大出力2,400メガワット規模で進めることを閣議決定しました。ただし、当初予定された海底ケーブルによるマレーシア半島部への送電は断念し、電力はサバ、サラワク、ブルネイ、そしておそらくカリマンタン(インドネシア)に供給される予定とのことです。これによって、当初見積られていた総工費135億リンギ(約4500億円)は90億リンギ(約3000億円)程度に抑えられる予定だと、大蔵大臣は述べています。
 サラワクの中央部を流れるラジャン川支流のバルイ川に建設予定のバクンダムは、マハティール首相が抱える懸案の巨大ダムプロジェクト。94年に工事が着工されたものの、その後のアジア経済危機で計画が棚上げされ、規模を縮小させる見通しも出されていました。しかし今回の発表にともなって、シンガポール国土とほぼ同面積の熱帯林を水没させる東南アジアで最大級の巨大ダム計画が、そのまま復活することになるようです。
 80年代にこの計画が持ち上がって以来、計画の妥当性は論議の的でした。90年にはマハティール首相自ら環境への配慮を理由に計画中止を発表したこともありましたが、93年に連邦政府が計画認可を発表、マレーシアの民間会社によって工事は着工されました。96年、水没地域の先住民の提訴を受けて、ダム計画の進め方が違法であるとする高等裁判所判決(住民勝訴)が出ましたが、翌年、控訴審で逆転判決が出、住民側が敗訴したという経緯があります。ダム建設自体はアジア経済危機のあおりを食らって遅れに遅れてきたのですが、流域の先住民1万人の移住は既に99年に完了してしまいました。
 そして以下のとおり、排水トンネルも竣工間近です。以下の記事は、ダム建設規模が閣議決定される前の1月に配信されたものなので若干ズレがありますが、記事の終わり部分にもあるとおり、今後は本体工事の入札のゆくえが注目されるところ。環境や、そこに暮らしてきた先住民へ与える多大な負荷から多くの懸念が表明されているこのダム建設に、少なくとも日本企業が関与するようなことがないように、これからも情報を監視していく必要があると思われます。(P.6の「揺れるバクン計画」もご覧ください)

バクンダム、トンネル工事完了へ

サワラク州中央部のバクンダム建設プロジェクト河川迂回トンネル工事を担当するドンア建設(訳註:韓国に母体のある東亜社のマレーシアにおける子会社)は1月13日、工事が概ね完了したと発表した。トンネルの建設は予定より約3ヶ月早く完了したことになることを、同社の(バクン)プロジェクトマネージャーは伝えた。
 ドンア建設は現在、トンネルの入口部分と出口部分の構造物を建設中で、それが済めば工事は完了するという。トンネル内装のコンクリートを塗り終え、今は3つのトンネルを清掃中で、今年の3月までには仕上がる予定。4月28日には、プロジェクトオーナーの Bakun Hydro Sdn Bhdとマレーシア政府にプロジェクトを移管すると、同社のマネージャーは語った。マハティール首相、タイブ・サワラク主席大臣および、連邦と州の大臣がプロジェクト現場における移管式に出席する予定である。
 全長1.4キロメートルにわたる複数のトンネルの工事は1996年に開始されたが、1997年7月に起こったアジア経済危機により、一年近く休止されていた。民間デベロッパーのエクラン社より政府がプロジェクトを引き継いで、工事が継続されることになった。これらのトンネルは、バルイ川の河水を計画中の高さ235メートルの水力発電ダムへ迂回させ、洪水時に必要とあれば余分な水を排出させるために使われる。
 トンネル工事の完了とともに政府は、プロジェクトの中枢となるコンポーネントである90メートルの copper dam と、235メートルのメインダムに関する入札を受け付けなければならない。しかし政府の入札受付は、メインダムの最終的なサイズと発電容量がわかってからになる予定であるという。いくつかの大手国際建築会社が、72 億リンギ程度(約2400億円)かかると見積もられるメインダムの建設に強い興味を示している。ダムプロジェクト全体は、建設に5年から7年かかると予定されている。完成すれば、当初500メガワットの電力を供給できる。
 このプロジェクトは、環境保護論者たちにより非難されたが、政府は、ダムはサワラクとサバの長期的なニーズをみたすと答えた。

【この記事の翻訳を担当した翻訳ボランティアから一言】
私たちが子孫より奪い続けている地球の未来。力がおよばなくてもほんの少しだけでも多く残してあげるお手伝いをしたいという思いで翻訳のお手伝いをさせていただいています。機会を与えていただいて感謝しています(訳者:伊藤泰司)

■ ブルーノ・マンサー、ボルネオでいまだ消息不明
 【マレーシア国営ベルナマ通信の2月1日配信記事、ブルーノ・マンサー基金のホームページ上の情報などから】

 スイス人環境保護家のブルーノ・マンサーは、昨年5月にボルネオ島で姿を消して以来、その消息は依然不明のままである。47歳の活動家は1984年から90年にかけての6年間、サラワク州の先住民族プナン人と森の中での生活をともにした。プナン人たちが暮らしてきた森での伐採に抗議してきた彼はその後、スイスで基金を設立。サラワク州への入州を禁止されている彼は、2000年5月、ボルネオ島のカリマンタン(インドネシア)側からサラワク州へ潜入したと伝えられているものの、その後の足取りがわかっていない。
 彼を最後に見たプナン人によれば、ブルーノはサラワク北部のBatu Lawi山に向かうと言っていたそうだが、ブルーノ・マンサー基金が昨年暮れに行った調査では、何の手掛かりも得られていない。山や森での自然による事故死、暗殺説、あるいは極秘で獄につながれているという説など、さまざまな可能性を念頭に関係者は情報を収集している。マンサーが自分の意思で森に身を潜めたという説については、スイスに残された彼の家族が何も聞いていないという事実と、マンサーのこれまでの行動からして、可能性は薄いとされている。

■ 92,000立方メートルの違法伐採木材を押収
 【サラワクの地元紙サラワク・トリビューン2001年1月1日の紙面より/ミリ発】

 サラワク州森林局は昨年、92,000立方メートルの木材を押収した。これはその前年(1999年)実績の27,000立方メートルを大きく上回る量だと、チェオン局長が明らかにした。同局長はまた、押収された木材の2年間の総額は550万リンギ(約1億8000万円)にのぼると明らかにした。
  昨年押収された木材のうち、最も多くはビントゥル地区(44,000立方メートル)で押収されており、この地域が広範囲に油やしプランテーションとして開発されるため、アクセスが容易になったからであろう、と局長は説明した。
 木材に加え、森林局は違法伐採者が使用していたブルドーザー37台、掘削機19台、トラック27台、タグボート17台を押収した。チェオン局長によると、伐採者は地元住民や仲買人から近隣諸国の外国人まで多様であったという。
 不法に伐採された丸太の販路に関して、その大半は地元の製材所やライセンスを持った伐採請負業者に売られていると彼はいう。また、これらの事実にもかかわらず、同局は違法伐採がそれほどまでははびこっておらず、深刻な状況とは考えていないことも付け加えた。
 しかしながら、同局は違法伐採を取り締まる真剣な努力をしてきた。それは州の歳入に損失を与えるうえ、州政府の森林管理システムに影響を与えるおそれがあるからである。チェオン局長は違法伐採の取り締まりに同局が成功したことについて、一般から寄せられた正確な情報のおかげであると、満足げに語った。例えば、1999年に調査された183件のうち64件が一般からの情報であった。昨年の290件のうち191件は一般からの報告であった。
 チェオン局長は、当局は定期的に(飛行機などからの)空中監視をしつつ、また必要な情報は情報提供者に依存していると明らかにした。

【この記事の翻訳を担当した翻訳ボランティアから一言】
この記事のビントゥルの例は、依然として続く木材の違法伐採が、プランテーション開発と連関していることを示しているものであるだろう。(訳者:マタ・クチン)

■ 日本の円安、 マレーシア木材業界に打撃
 【サラワクの地元紙ザ・スター2001年1月29日の紙面より/抄訳】

 アメリカ合衆国のドルに対する最近数ヶ月間の円安は、自動車会社には利益をもたらすだろう。だが逆に、マレーシアの木材会社には悪影響が及ぶ可能性がある。結果的に円は、昨年の初めには100円につき約3.75マレーシア・リンギ(RM)だったのが、金曜(1月26日)には約3.25RMへと下がった。木材会社は、日本の木材需要がますます落ち込む危機に直面するだろうと予想している。というのも、おそらく円安によって木材の値が上がるからである。
 日本はマレーシアにとって最大の木材の輸出先なのだ。「日本の住宅建設会社にとって、買い手に値上がり分を転嫁することは困難だろう。その代わりに日本は、ロシアやニュージーランドからより安い木材を買おうとしているのだろう」と分析者は言う。
 日本では今年、丸太やベニヤ板の需要が昨年比で3%から6.7%減る見込みである。さらに熱帯材丸太は10%も減るだろうといわれている。しかし分析者は、「円安よりも日本経済の冷え込みが、マレーシアの木材業界により大きな打撃を与えているのだ」と言う。

【この記事の翻訳を担当した翻訳ボランティアから一言】
普段生活していても、このようなことを知れる機会はあまりないと思います。今後もこの貴重な機会を通してサラワクについて知り、そして考えていきたいと思います。(訳者:P.N藤原トモエ)

■ 「土地を取られた」と開発業者/インドネシアでプランテーション開発するマレーシア企業の主張
 【サラワクの地元紙ザ・スターの1月29日記事より抄訳/クアラルンプール発】

【解説】現在、多くのマレーシア企業が、隣の国インドネシアで油やしなどのプランテーション開発に投資しています。以下の記事は、そうしたプランテーション開発に乗りだしたマレーシア企業が、インドネシア現地で地元住民や労働者から「この土地はもともとは自分たちのものだ」と主張され、土地を「乗っ取られている」と報じています。自国マレーシア・サラワク州でのプランテーション開発に当たっては、もともとそこに暮らしていた先住民たちの土地権が脅かされ続けてきました。この記事から何を読み取ればいいのかは、非常に微妙なところです。

 インドネシアでプランテーションに関わる多くのマレーシア企業が、経済危機の間に、地元住民と労働者に土地の多くを取られてしまった。Rafidah Aziz国際貿易産業大臣は、被害を受けた企業からこうした報告を多く受けていると発言した。また、多くの企業は地元の農業経営者や労働者によって広大な土地を乗っ取られたが、その一方、土地を占拠した人々はその土地はもともとは自分たちの家族のものであると主張していると、同大臣は付け加えた。「彼らはただ土地を奪い、自分たちは十分に補償を受けられなかったのだから、そうする権利があると主張している」「このような状況で、インドネシア政府が確固とした対応をすることができなかったために、インドネシアに投資することに関心のあるマレーシアの実業家は(政府の動向を)心配している」と、同大臣は報道陣に述べている。「以前、Salim Groupが所有していた25の油ヤシプランテーションのKumpulan Guthrie社への売却を、インドネシア政府は取り消すつもりはない」との報告に関して質問され、コメントしたもの。
 Guthrie社は、インドネシア銀行再編局(Indonesian Bank Restructuring Agency=IBRA)の管理下に置かれているこれらのプランテーションを、昨年12月に3億5千万ドル(13億3千万リンギット)で落札した。プランテーションはスマトラ島のRiau地方とカリマンタン島、スラウェシ島に26万ヘクタール以上に広がっている。Salim Groupは1997年中頃以来、国中を覆っている経済危機の最中に政府へ債務を返債するための計画の一環として、IBRAにこれらの資産を譲渡した。しかし、国益に反していると発言したインドネシア議会の議員も含め、各方面から計画に対して抗議と反対があり、計画は難渋している。
 Aziz国際貿易産業大臣は3月に通商使節団をインドネシアに送り、この問題についてジャカルタの政策を説明してもらうことを望んでいると発言した。また、以前にインドネシアの土地所有に関する政策が、外国企業と結ばれた過去の合意を無視して変更されたことがあったが、いまだ多くのマレーシアの実業家が、インドネシアでの事業の多角化と拡大に強い関心を持っているので、今回のことはよく明らかにされるべきであると同大臣は述べた。またGuthrie社の件については、同社は正当な方法で落札しており25の土地の売却は法的拘束力を持つものであるので、インドネシア政府がしっかりした態度を示すことを望んでいるとも、同大臣は述べた。
 スマトラ島のRiau地方の57000の家族を代表した500人の農場経営者は先週水曜日(1月24日)に国民協議会(the People's Representative Assembly)の前でデモを行い、この問題についてIBRAと議論する仲裁役を国民協議会が果たすよう要求した。農場経営者は、土地に対する一定の権利があると主張し、企業の財産のいくらか(持ち分)を要求した。国民協議会の農業特別委員会のAwal Kusumah委員長は、今回の取引が公開入札のシステムに違反していると主張し、それを中断するように政府に促した。

【この記事の翻訳を担当した翻訳ボランティアから一言】
この翻訳はまだ2回目ですが、とても勉強になります。今現地で起こっている事を知り、また英語の勉強にもなるので一石二鳥です。いつかは熱帯雨林の中を散策しに行きたいと思っているのですが、いつ行けるかな。(訳者:レイン)


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