マレーシアの木材認証は森林破壊の問題を置き去りにしている!

(Rengah Sarawak、5/31/2003)

 マレーシア一次産業相を筆頭とした、マレーシアの木材産業の一団は現在、木材産業イメージアップのためヨーロッパを周っている。この一団の主な訪問目的は、マレーシア産の木材や家具などの木材製品を消費国に売り込みことである。大臣の仕事の一つは木材を売り込むことであり、彼の部下もそのために給料を貰っているのだから、それ自体は一見何の変哲もないことなのかも知れない。
 この一団は「マレーシアの木材と木材製品は、持続可能な経営がされた森林から生産されたものである」ということを、ヨーロッパのNGOに説得して周っている。他の言い方をすれば、マレーシアの木材認証システムは独立していると「言われている」から、ヨーロッパの消費者は安心してその木材を買ってよい、というのがその要旨である。しかしながら、こうしたことを説得して周らないといけないということ自体、マレーシアの木材認証制度がその信用性に欠けているということの裏返しでもある。
 現在実施されているヨーロッパ訪問は、NGOや公共セクターへの働きかけを通じて、マレーシアの木材などに対して次第に懐疑心を強くしているヨーロッパの消費者に「マレーシアの木材と木材製品は消費に値する」という考えを定着させることを目的としている。こうした努力は今日までにも行われてきている。
 ヨーロッパのNGOは、持続可能性の問題(今回ならマレーシアの木材認証制度)に、口だけでなく行動をもって取り組んでいる唯一のグループである。例えば、ドイツのNGOであるロビン・ウッドは、5月29日にドイツのハノーヴァーで開かれた木材産業エクスポに参加したマレーシアの一団に対し、マレーシアの木材認証の過程は容認できないなどとして抗議行動を起した。
 ヨーロッパの消費者を説得するのには、「マレーシアの木材や木材製品が持続可能な経営がされた森林から生産されている」と言って周るだけではなく、実行が必要であるということを、マレーシア政府は早く理解すべきである。マレーシア国内と違い、ヨーロッパの市民やNGOは、(マレーシアで実際にどのような森林経営がなされているのかについて)様々な情報源から、正確な情報を入手することが可能である。従って、政府や高官が反対派を抑圧するために物事をコントロール、独占しようとしたり、制度を操作したりするような、マレーシアでのみ通用しているようなことは、ヨーロッパでは通用しない。
 マレーシア政府は、土地権や持続可能性、環境に関するNGOの主張、反対派を抑圧することで問題に対処しようとするサラワク州政府の圧力的な姿勢に対する、NGOや地元共同体からの問題提起に真剣に取り組もうとしていない。一方で、マレーシア政府は、「マレーシア独自」と言われる認証制度を創り上げることで、問題をごまかそうとしている。
 ルンガ・サラワクは、これまでNGOや地元共同体が(木材認証プロセスへ)真剣に参加してきたことや、その後のNGOのプロセスからの撤退に至るまで、沢山の情報を提供し、数々の問題を指摘してきた。
 しかし、マレーシア連邦政府は、これまでに提起されてきた問題を、新しい木材認証制度を創り上げることで、意図的に回避してきた。
 今後も、大臣が彼の部下からの助言を注意深く聞くようになるとは考え難い。また、巨大産業である木材業界が政治力を持つマレーシアの政治環境の中で、強力な対抗勢力が現在の大臣にその刃を突きつける可能性も低いだろう。マレーシア国民は、このような政治的現実を長い間に渡り目の当たりにしてきた。従って、木材産業の一団が本当の問題解決を回避しようとしていることは、驚きにも値しない。
 マレーシアは、同国の製材製品がヨーロッパの市場で売れなくなること自体にさほど懸念を感じてはいない。一方で、マレーシアは家具市場の動向や、オイルパームと森林破壊の繋がりが明らかにされることをより懸念している。なぜなら、家具やオイルパームは、巨額の輸出収入を国にもたらしているからである。特に国際的なキャンペーンが展開されている家具は、近年、特にマレーシア高官の懸念材料となっている。この問題を(森林保全や地域住民のために)懸念することは全くもって正しいことであるが、政府高官の懸念の本当の理由は疾しいものであるかも知れない。
 マレーシア政府は、こうした問題に十分な関心を示す必要がある。その上で再び交渉のテーブルに着き、木材及びオイルパーム産業内におけるWin-Winシチュエーション(全ての人が利益を享受できるような状況)を作り出すための努力をしなければならない。問題回避の姿勢は、Lose-Loseシチュエーション(皆が被害を被るような状況)を長引かせるだけである。

ドイツのNGO、MTCC認証木材の不買を政府に要請
(Robin Wood、5/29/2003)

 ドイツ政府は、出所が不明な木材の購買を停止するよう要請を受けた―5月29日朝、ドイツのNGO「ロビン・ウッド」の活動家が、ハノーヴァーで開催された木材製品の国際貿易フェアにおいて、過剰生産されている熱帯木材を購入し続けているとして、ドイツ政府に対する抗議行動を起したのである。ロビン・ウッドは、ドイツ政府が問題の多いマレーシアの木材認証制度(MTCC)を正式な認証として認めようとしていることを特に批判している。
 貿易フェアを訪れた活動家は、マレーシアのリム・ケン・ヤイック一次産業相が引き連れる一団を訪問し、「マレーシアの熱帯雨林とそこに住む人々を追悼して」というメッセージ付きの花束を手渡した。ロビン・ウッドのメンバーはまた、「彼らの土地への権利、マレーシアの森の人々に発言権を」「MTCC-Malaysian Timber Cannot Convince(マレーシアの木材は消費者を説得できない)」と書かれた横断幕を掲げた。
 リム一次産業相は現在、マレーシアの木材認証と熱帯材輸出促進のためにヨーロッパを訪問している。ドイツ政府がマレーシアの木材認証制度を公式に認めることは、木材購買に関する政府の取り決めを台無しにすることになり兼ねない。社会民主党と緑の党との連盟規約には、「公共目的の熱帯材の購入は、該当木材が森林管理協議会(FSC)により認証されている場合にのみ認められる」との記述がある。FSCの認証は現在、環境団体によって生態学的、社会的に許容できると認められた森林経営にのみ発行されている。
 ドイツ政府はそうした連盟規約遵守の義務を果たしていない。さらに、水面下ではFSCの基準を完全に満たさない認証制度の一時的な認可も検討されている。ロビン・ウッドの熱帯雨林専門家であるジェンズ・ウィッティング氏は「ドイツ国民は熱帯雨林の破壊に税金が使われることを望んでいない」と言う。「私達は、ドイツ政府が、最低限、FSCの認証要件を満たしている認証制度のみを認めるように要請したい」と同氏。マレーシア木材認証協議会(MTCC)の認証は、「森に住む先住民族の土地権の認知」や「信用性のある監視組織の存在」など、FSCの認証要件を満たしていない。マレーシアの熱帯林は減少の一途を辿っている。1990年代だけでも、マレーシアは元々の森林面積の13%を失った。
 そして、伐採権(コンセッション)を発行する過程で、地元の住民は無視され続けてきた。ボルネオ島では、ノーマディック・プナンが生活の為に残された森林を探すのに大変な苦労をしている。さらに、マレーシアを通じ、大量の違法伐採木材がヨーロッパに向けて輸出されている。世界中の40の環境団体は、以上のような状況を鑑み、MTCC木材認証の問題点を指摘し、木材輸出に関するマレーシアの政策に反対する共同宣言に署名した。

SCCからのコメント
MTCCなどの認証木材の問題は森林問題の重要なキーワードとなっています。SCCではMTCC内部勉強会を開始しており、この問題を広く広報するよう行動していく予定です。皆様の参加もお待ちしています。