プナン人に割り当てられたバレー川とマゴー川流域の森林への材木業者の侵入による混乱

By Sahabat Alam Malaysia(地球の友マレーシア)

Utusan Konsumer(SAMの機関紙), December 2002, Vol 32 No. 12
2002年12月16日:2002年7月、バレー地区とマゴー地区の非定住プナン人に朗報が届いた。コミュニティーのための共有林の設定を求める2002年5月付けの申請の手紙に対して、森林局が色よい返事をしたのだった。色よい?――残念ながら、まだ、そういえない。5000ヘクタール近くが彼らに割り当てられ、これらの地域では建前として(伐採業者による)材木の伐採は禁止された。しかし、土地の法的な条件は今日まで解決されていない。さらに、10月にはSAM の職員により、(材木業界の基準からすれば)わずかな面積しかないこの土地にさえ、貪欲な材木業者が進入していたのが発覚した。

それぞれの村の周辺に共有林 (Communal Forest Reserve, CFR) を設定するよう求めるプナン人コミュニティーの要求に関しては、多くの議論が行われてきた。サラワクの森林に依存するコミュニティーの慣習林に対して、サラワクの土地や森林に関するさまざまな法律の中では、サラワク森林法が(最適とはいえないが)最も有効な法的な保護措置を提供しているのはあきらかで、この森林法によって地域コミュニティーの利益のために、州の森林地域を共有林として登記することが許されている。

そのため1980年以来、各地域のコミュニティーから州の関連機関に対し、彼らの伝統的な土地を 共有林として登記することを求める手紙が数多く送られてきた。しかし、前向きな回答を受けたものは少なく、回答がまったくなかったものもあった。

しかし2002年7月、バレー-マゴー 地域の非定住プナン人コミュニティーは、森林地帯の特定の地域をそこに住むコミュニティーに割り当て、このゾーンでの伐採を禁じるという前向きな返事をついに森林局から受け取った。

SAM は、森林資源に生存が完全に依存する非定住プナン人の社会福利に対する真摯な配慮を示した州政府の決定を非常に肯定的な動きとして受け取った。

しかし、検討されなければならない多くの案件がまだある。

まず、土地の法的な状況が明らかになっていないように思われる。森林法によって土地が共有林として登記されていないかぎり、法的にはこの割り当ては人々に対してなんの価値も持たない。コミュニティーが手にしたのは、森林局からの「州政府は、同封の地図に記す通り、要求された付近に5000ヘクタールの土地を地域コミュニティーの用途に割り当てた。この地域では伐採は禁止される。」という手紙だけである。

次に、SAM により現地における現実ははるかに厳しいことが発覚した。地域の非定住グループによる最近の報告では、共有林内および周辺において伐採は通常通り行われるという。これは、あきらかに州政府の通告に反するものである。

継続する侵入行為によって、住民は、困り果てている。バレー、プアッ および マゴー 地域の各グループの代表は、はるばる マルディ町を訪れ、森林局とその他すべての関連機関に、これ以上の伐採から共有林を保護する措置をただちにとるよう、必死の嘆願を伝えるためにわれわれの支援を求めた。

今回の5000ヘクタールの土地は、マゴー 川のグマン・メグッ首長、バレー 川のブジャン・ラワイ首長、トゥペン川 とプアッ川のトゥバラン・アグス首長にそれぞれ率いられる三つの非定住プナン人グループによって分かち合われている。

我々が最初に侵入に関する報告を受けたのは、10月はじめにマルディ町にある当会事務所をはるばる訪れたグマン・メグッ首長ほか二名からだった。

グマン首長によると、9月はじめに、材木業者のひとつが下請け業者に対してクトケッ川とバブイ・メビン 川(マゴー 川の上流にある支流)の上流において伐採を開始するように指示したという。住民は、作業による水質汚染とその他の環境破壊に対して抗議した。

10月後半には、バレー-マゴー 共有林に隣接する地域のふたつの非定住グループのジュペリ・モヨン首長とレヨン・アビッ首長が、割り当てられた土地の南部にあるトゥペン川周辺の森林地帯、およびタナッ・プパン川とクマナン川(バレー 川の上流にある支流) 周辺においても伐採が行われていると報告した。

ふたりの指導者は、共有林は彼らの現在のテリトリーの外にあるが、バレー-マゴー地域は、他の非定住プナン人グループと共に狩猟および採集に利用していたのでよく知っていると述べた。

ジュペリ首長は、プアッ川の特定地域をコミュニティーの使途に限定する旨の合意書を伐採会社と交わしたにもかかわらず、トゥペン地区で作業をしていた同社が、共有林での作業から撤退してから、東部のプアッ川近辺の彼らの土地に進入してきたことに特に憂いを感じていた。

SAMは、サラワク州政府に対して、バレー-マゴー 地域を速やかに周辺に在住する非定住プナン人グループのための共有林(CFR)として登記し、材木会社によるさらなる侵入を予防する現地における監視と指導が行われるよう保証することを強く要求する。

その間に、州はすべての国民によってサラワクの森林資源が平等に分かち合われるように、他のプナン人コミュニティーの森林地帯の登記も考慮すべきである。これも、ジュペリ首長の例で、ひとつの地域での作業禁止が彼の慣習地への侵入を引き起こしたことでも分かるように重要である。

前記の二件以外に、森林局は、下記の案件を熟慮すべきだと我々は考えている:

・森林局は、共有林の設定に関して、付近の伐採の権利を持つ業者に通知したか?

・森林局は、担当者を派遣して共有林の境界を示す明確な標識を設置したか?これが行われていなかったとしたら、地域の住民の協力を得て、区域を区切るための調査作業をただちに行う予定はあるか?

・森林局は、地域のコミュニティーに対して、材木業者による侵入が将来も起こらないよう監視する方法を教育したか。

・森林局は、住民が特別な書類、証明書その他を通じて、侵入者に、共有林が正式なものであることを証明できるようにしたか。

・材木会社が共有林への侵入を継続する場合に、各非定住プナン人コミュニティーがとるべき対策は何か。

・地域の住民からの苦情が寄せられたときに、森林局がとるしかるべき対策は何か。

・森林局は、地域の住民のニーズに有効にこたえるために、重要な森林資源が見つかるもっとも豊かな森林を含むよう、割り当てられた地域を変更、再調整する用意があるか。住民によると、現在割り当てられている一部の地域は、必要な資源がほとんどなく、最適ではないという。

・最後に、州が共有林の法律的な位置づけを明確にすることが非常に重要である。それは、共有林がサラワク森林法により、保存林と保護林という他のふたつのタイプの森林が含まれる大きな分類である永久林に分類されているからである。

材木会社の活動と異なり、地域コミュニティーの活動は、保護林および保存林では厳しく限定されている。地域の住民の利益は、共有林を設置することによって守ることが最善であると我々は信じている。

我々はまた、SUHAKAM (マレーシア人権委員会)が去年プナン人の各定住地を訪れた後に政府と関連するすべての当事者に提出した調査結果と勧告を認知するよう、この機会を通じて、森林局に要求したい。

この組織の調査結果と勧告は、侵害を受けたコミュニティーの訪問だけでなく、関連する政府組織および執行機関との会議、概況説明、対話を基盤にまとめられている。

我々は、サラワク森林局の局長が、前記の案件に配慮し、継続可能な森林管理の原則にのっとり、それぞれの地域のプナン人の困難な状況、特に、生存に必要な森林に対する現実の、合法的かつ深刻なニーズに応えるため、あらゆる適切な措置をとることを心から望む。