サラワク裁判経過報告

 サラワク各地の先住民族が土地や権利を守るために裁判で闘っている様子をこれまで、アップデイトで取り上げてきました。その幾つかの経過を報告します。

1. Novelpac Puncakadana Plantation 社(原告)対Anchih anak Buapら(被告)、シブ高裁
背景: 油ヤシプンランテーション会社が政府から暫定的借地権を与えられ、イバン人の慣習地で操業を開始したところ、イバン人が抗議を行ったのに対して、同社からの要請でシブ高裁が操業地での抗議活動を禁止する差止命令を出した。会社が先住慣習地で好き勝手に行動でき、先住民族が自分たちの土地でそれに抗議することも出来なくなる、このような決定は大変危険な先例となりうることから、イバン人たちは、決定に対して控訴しており、裁判で権利を主張するために慣習地の測量を行った。
 SCCは支援金204,000円を提供した。(サラワク・アップデイト{以下、SU}41号6-7頁)
近況: 判事の命令で、2001年1月19日にこの事件の取り扱いに関する会議が開かれた。判事は、原告側が裁判で使う書類のリストを30日以内に被告側に提出し、その後、被告側が原告側に30日以内に同様の書類のリストを提出するよう命じ、さらにその後、双方が手元にある書類を吟味する30日の期間を設けると命じた。裁判の期日は後に決定されることになった。
 高裁が会社の請求を受け入れ、イバン人の慣習地にある暫定的借地権対象区域にイバン人が入ることを禁じる差止命令を出した判決に対して、イバン人たちは控訴しており、上級裁判所が控訴審の期日を決定するのを待っている。
 2月24日からイバン人たちは、会社の暫定的借地権対象区外のイバン人慣習地に建設された会社のアクセス用道路を封鎖している。このため、会社は今のところ、そこに入ってプランテーション造成工事をすることが出来ない。

2. ウル・ニア裁判
背景: 油ヤシプランテーション会社、SOP社の労働者が、慣習地での操業に抗議するイバン人を威嚇するために棍棒などを持ってやってきたところ、暴力事件となり、労働者4名が死亡、3名が負傷した。イバン人19人が殺人容疑で逮捕・拘留された。
 殺人罪は法律で刑量が死刑と決まっているが、19人は正当防衛による無罪を主張している。SCCは被告の裁判支援金として489,000円提供した。(SU41号2頁)
近況: 裁判の審理は2月26日に再開された。被告のイバン人のうち、8人は、検察が殺人罪容疑での起訴を取り下げたため、無罪放免となった。残る11人の被告が裁判を受けることになるが、有罪答弁取引(有罪を認める代わりに減刑してもらうなど)が行われる可能性がある。

3. ボルネオ・パルプ&ペーバー社(BPP) 対 イバン人住民、ビントゥル地区スンガイ・タタウ
背景: BPP社を含む数社が、ムカー、ビントゥル、タタウなどの地区にある約20万ヘクタールにアカシアなどの早生樹種を植え、紙やパルプの生産を行おうとしている。
 BPP社の製紙工場建設のために約6800ヘクタールの土地に対する慣習権を抹消された12のロングハウスに住むイバン人たちは、慣習地での操業停止と土地権抹消の撤回を求める訴訟を起こし、道路封鎖などを行ってきた。(SU40号3-5頁、42号2頁)
近況: 2000年12月19日にBPP社はミリ高裁に訴訟を起こし、パルプ・製紙工場建設予定地へのアクセス道に三つのバリケードやテント、キャンプを設置しているビントゥル地区タタウの12ヶ村のイバン人に対する差止命令を請求した。イバン人はそこが自分たちの慣習地であると主張している。
 BPP社は、政府がイバン人の慣習地に対する慣習的な権利を1997年にすでに抹消しており、工場をその土地に建設する暫定的借地権を同社に与えたと主張している。
 そのため、もはやイバン人はこの慣習地を占拠する権利はなく、不法侵入者であるとBPP社は言っている。
 2月24日にBPP社の差止命令の請求に関する審理が行われ、裁判所は3月10日に判決を言い渡す予定である。
 一方、イバン人たちは、慣習地に対する権利抹消を違憲とする宣言などを求める訴訟をすでにクチン高裁に起こしており、その訴訟でこの問題がすでに係争中であることを理由に、BPPの訴訟と請求を却下するよう申し立てている。3月21日にこの申し立てに関する審理が行われる予定である。
 イバン人は道路封鎖をまだ続けており、不在時にBPP社がバリケードを撤去できないよう、交代で番をしている。

4. プナン人による警察を相手取った裁判と伐採会社に抗議する道路封鎖
背景: 1996年8月6日、バラム地区アポー川・トゥトー川のロング・サヤン村の首長、アジェン・キュー他5名のプナン人は、リンブナンヒジャウ社の子会社、Lajung Lumber社が、許可なく慣習地に建設した伐採道路を封鎖していたところ、警察に逮捕され、8月10日まで拘留された。治安判事に、3ヶ月間トラブルを起こさないとの誓約書に署名するよう命令され、釈放されたが、この命令を不服とし、ミリ高裁に控訴した。1997年7月、ミリ高裁は控訴を聞き入れ、治安判事の命令を却下した。
 イバン人はさらに警察を不正逮捕などで訴える民事訴訟を起こしている。(SU42号4-5頁)
近況: プナン人が不正逮捕、不法監禁、悪意訴追で警察をミリの裁判所(Miri Sessions Court)に訴えた民事訴訟の審理は、裁判所が後に決める期日まで延期されている。
 ロング・サヤンのプナン人たちは2001年1月から再び道路封鎖を行っており、アポー川・トゥトー川周辺の他の集落のプナン人も同様の道路封鎖を計画している。


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