
住宅冊子改訂の現場から(第五回)
では、実際に熱帯材を使わない家づくりを行うには、どこに気をつけたら良いのでしょうか。住宅の中で熱帯材が使われている場所は、建具にアガチス、窓台、窓枠などにラワン(ホワイトセラヤなど)、階段の踏み板にラワン(ホワイトセラヤなど)、土台にアピトンなどが製材品して使われてきました。そして、下地材としての合板です。建具、窓枠、階段の踏み板などは実際には新建材、集成材などが使われることが多くムクの熱帯材が使われるケースはかなり少なくなっています。ラワン系の製材では、丸太の輸出規制、資源の減少により大径木が少なくなり、幅広の板が取りにくくなったこと、そして、代替品としての集成ボードの供給が増えてきたことなど、かなり使用は減っているはずです。土台については地域性があり、中国地方ではアピトンが多いようですが、他の地域では使われることは稀でしょう。これらの部分については、「熱帯材を使わないでください」といって確認すればかなり使用は制限できるはずです。問題は合板です。針葉樹化が進んでいるとは言え、国産で30%、輸入を含めると16%くらいが針葉樹合板で床の下地、複合フロアの台板など完成してからはわからない部分に熱帯材合板が使われているケースが多いようです。合板は施工の手間が省けることや壁や床に使うと耐震性が向上することから最近では住宅での合板を使う比率は増加しているものと思われます。それでは、どうしたら良いのかと言えば、針葉樹合板の使用や合板の代替になる新しいボード類の開発も盛んで、MDFやOSBは壁や屋根に使えます。火山灰を原料にしたダイライトというボードも実用化さています。最近は針葉樹合板の流通が増えていて簡単に入手できるのですが、針葉樹合板の多くはロシアの原生林のカラ松を原料としているケースが多く、原生林の保護という観点では問題があります。ニュージーランドのラジアタ松の合板も多いのですが、これは植林木なのでロシアのカラ松よりは良いと言えるでしょう。出来れば、日本の森林問題まで考えて、杉の製材時にでる背板を壁下地に使ったり、床下地にも30ミリ位の杉の厚板を使うことも可能です。壁にも杉の厚板を柱の間に落とし込んで強度を高めた工法や背板を斜めに貼ることで耐震性を高めた工法(TIP工法)も開発されています。杉の背板を集成加工、幅ハギ加工したボードも製品化されているので、これらの国産材製品を活用することも検討できます。この冊子を作るために取材した現場では、針葉樹合板を使用していると言う現場でも実際は熱帯材合板が混じって使われていたところもありました。実際に家を立てる方は是非、建築現場に行って自分の目で使われている材料を確認することをお勧めします。94年に前回の冊子を作った時と比較すると熱帯材を使わないで家を建てるための条件は改善されていますので、住宅会社の人と粘り強く交渉をされることで熱帯材を使わない家作りは決して難しいものではないはずです。
会員の方からは、めいきん生協(名古屋市)を推薦するお便りをいただきました。めいきん生協は正確には名古屋勤労市民生活協同組合といい「住まいの健康大運動」をテーマに住宅事業にも積極的に取り組んでいます。昨年末、地域工務店16社と「協同組合・住まいの情報ステーション」を設け今年3月に愛知県愛知郡長久手町塚田1314に住宅展示場を作りました。健康・環境に負荷をかけずに適正価格と判断された部材で構成されています。近くの方は一度見学をされてはいかがでしょうか。TEL0561−62−4901。
編成材(間伐材の集成材)と出会って3年くらい経ちました。始めは間伐材利用という事で興味を持ち、県産材や近所の雑木利用に取り組んでいましたので、環境、林業などの問題も含め、ローコスト住宅に如何に編成材を持ち込むかの工夫をしながら、吹上、岩槻、毛呂山、中野、厚木、笹塚、小山で住宅を様々な工法で完成させて参りました。
今、行っているのはほとんどが外板打付け工法に落ち着いて参りました。厚55mm幅330mm程度の編成材の板を釘止めする工法で、外壁と野地板(屋根下地)に利用し、構造材(壁倍率3〜5)と断熱材と内装材を兼ねさせるもので、ログハウスのような効果が期待できます。各種強度、火災実験も行い、製法も改良し、昨年エコマークも取得しました。木の良さと欠点を良く知った上で使用すれば、なかなか快適で安全な建物をつくることができます。
貧乏人の家シリーズというネーミングもローコストで質の良い、質素で快適な省エネ住宅を、環境や林業に配慮した編成材でつくり、小さな子供に木の良さを知ってもらうためのもので、その為には建売りくらいしか手に入らない若い夫婦に建てて欲しい・・・で、貧乏人の家なんです。合板も出来るだけ使わず、杉板の利用をするようにしていますが、コスト、流通などいろいろ解決しなければならない事は山積みです。今後も生産者や加工者等といろいろ探っていきたいと思います。
マツザワ設計(埼玉県浦和市) TEL 048−885−8241
http://www.saitama-j.or.jp/~mat で、近いうちに詳しく紹介したいと思っています。