ITTOは2000年目標を達成できたのか?
─NGOに見放された国際機関の今後─
高山 楽
 
 国際熱帯木材機関(ITTO)は、1987年に正式に設立された国際機関で、熱帯材貿易や利用、持続可能な森林経営などに関するテーマを議論をおこなうことを目的としている。現在54カ国が加盟し、熱帯材貿易の9割以上をカバーしているITTOは、「西暦2000年までに持続可能な森林経営が行われている木材のみを貿易対象とする」という「2000年目標」を1991年6月に発表して、その存在意義を主張してきた。しかし、2000年になった今、果たしてその「2000年目標」は達成できたのであろうか?

 元々、ITTOが設立された当初、熱帯林の保全などもその目的の一つとして掲げられていたため、90年代初めは各国のNGOや先住民族団体が積極的に意見を送ったり、会議に参加したりしてきた。1992年には地球の友、世界雨林運動(WRM)などのNGOが中心となり、各国のNGOの賛同の下、ITTOの設立後5年に関する評価を提出したりもしていた。しかしITTOの設立から数年経った後も、世界各地で熱帯林の破壊が急速に進んだばかりでなく、ITTO自体が先住民族の声に耳を傾けなかったり、熱帯林保全のための有効な方策を打ち出せないなど機関のあり方や有効性に疑問が投げかけられ、参加NGOが年々減少してきたという経緯がある(UD26号参照)。

 日本が半分以上の熱帯材を輸入するマレーシア・サラワク州だけを取ってみても、問題の深刻さは明らかである。ITTOは1990年に同州に対し、伐採量を年間920万立方メートルに減らすよう勧告を出しているが(当時の伐採量は約1900万立方メートル)、サラワク州では、それ以来ずっと勧告量以上の伐採が続けられており、8年が経過した1998年でも約1300万立法メートルの丸太が生産されている。ITTOの勧告値は生産林のみを対象としたものであるとしても、勧告値自体が熱帯林保全のためには不十分な数値だとNGOから非難されてきたことを考えると、サラワク州での熱帯林破壊の状況はとても良くなったとは言えない。

 現在、NGOに限らず、政府関係者や、恐らくITTOの職員でさえも、「2000年目標」が達成されたと考えている人々はいないだろう。NGOや先住民族団体からは、2000年でも遅いと言われていた熱帯林保全の目標達成が、発表から約10年経った今もほとんど達成されていない状況を見るにつけ、ITTOの存在意義は一体何だったのかと疑問に思わざるを得ない。

 日本は最もITTOに資金的に貢献している国であり、最も多くの投票権を持っている国でもある。私たち市民の税金は、日本政府、神奈川県、横浜市などを通じてITTOの運営に使われている。その機関がこんないい加減な運営をしていて良いのだろうか?また、今後ともITTOが存続し続ける意義とは一体何なのだろうか?来る5月に開催されるITTOの理事会では、「2000年目標」の進捗評価とITTOの取り組み評価がおこなわれる。世界最大の熱帯材消費国に住む日本の市民から、この評価に積極的に目を向けて、私たちの税金の使われ方を考えていく必要がある。

■ITTOへは以下の連絡先からコンタクトできます:
220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1
パシフィコ横浜5F,国際機関センター
Tel: 045-223-1110/Fax: 045-223-1111
Email: itto@mail.itto-unet.ocn.ne.jp


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