建築業界の熱帯材使用削減、
目標達成できず
尾端秀樹
 
 建築業協会は、5年間取り組んできた型枠用熱帯材の消費量削減について、削減率は24.3%にとどまり、目標としていた35%を達成できなかったと発表した。
 建築業協会は、92年2月の理事会において「5年以内に、現在の型枠用熱帯材の消費量を35%以上削減することを目標とする」ことを決定し、会員会社85社に通知した。これを受け、建築業協会内の木材使用合理化研究会は、消費量の調査対象を研究会に参加している主要16社に限定して行うことを決定していた。
 発表によると、基準年である92年における型枠用熱帯材の消費量の16社の合計は431,264m3であったが、最終調査年となった97年には326,606m3となり、削減率は24.3%にとどまった。なお、最終調査年において、熱帯材削減策により施工された工事を熱帯材合板に換算すると155,784m3となり、型枠工事の約3分の1が熱帯材を使用しない工法になったとしている(表1)。
   SCCでは、この発表を受け、さらなる詳しい内容を聞くために協会を訪れた。主な質問内容は、(1)代替品について、(2)工事量の減少のについて、(3)これまでの問題点と今後の課題、(4)今後の熱帯材使用削減の取り組みについて、である。
 まず、代替品についてのSCCからの質問は、ロシア材が中心と見られる針葉樹材への転換についての見解、国産材利用状況、木材を使用しない工法のこれまでの進展についてである。まず、針葉樹についての協会側の回答は、熱帯材の代替のための次善策として針葉樹材を多く利用した。業界の中で、熱帯材使用は環境に悪い、という考えはかなり根付いたが、針葉樹の中にも環境にとって悪いものと悪くないものがあるという所までは、考えが及んでいない、とのことだった。
 国産材の利用については、弱い、含水率の問題、反り易い、節があるなどの理由で、価格を別にしても適切な材料とは言いがたい。業界内での国産材型枠の使用量はゼロに近いだろうとのことだった。
 木材を使用しない工法の進展については、鉄板を打ち込み型枠に使うことが増えている。これは、木材使用を避けるためだけではなく、単価は高いが、工期短縮できるためや、特に関東地区では廃棄物処理費用がかからないために結果的に安いという理由がある。また、PC(プレキャスト・コンクリート)はあまり増えていないが、ハーフPCが増えている。これは、コンクリートで型枠に相当する部分だけを工場で作り、現場でそれを打ち込み型枠として使うもので、PCに比べて運搬しやすいという利点がある。
 次に、工事量の減少についてのSCCからの質問は、型枠用熱帯材の使用量が減少したのは、工事量そのものが減少したことによる理由が大きいのではないかということである。これについて協会側は、確かに、売り上げは3分の1減少、着工床面積では7%減少している。しかし、92年頃は型枠使用量が少ない鉄骨造や壁の少ないオフィスが多かったが、現在はこれらが大きく減少(鉄骨造の着工床面積は26%減少)している一方、壁の多いマンションなどの鉄筋コンクリート造はやや増加している。従って、定量的分析ではないが、型枠全体の使用量は同じくらいであった思われるとの回答だった。
 これまでの取り組みにおける問題点については、建築会社と型枠業者の意向が必ずしも合わないこと、針葉樹・複合合板の工場が近くにない場合に流通費用が多くかかること、針葉樹合板は転用回数が少ないことがあげられた。
 最後に、今後の取り組みについては、今までのような業界でまとまった取り組みは行わず、各社の判断で独自に行う環境マネージメントシステムの管理項目に型枠用熱帯材消費量削減を組み込み、目標を設定、対策を立て、改善を行う一連の活動に取り組むことになる。具体的には、各社はISO14000シリーズ取得に向けて動いており(一部は既に取得)、おおむね熱帯材型枠代替率(型枠使用量全体に対する熱帯材型枠以外の割合)の目標を毎年決めていくという方法を採る。取り組みの内容や進捗状況は、各社に問い合わせれば資料が得られるだろう、とのことであった。
 建築業協会は今回の結果について、「最近の5年間の建設業界を取り巻く環境を考慮すると、大きな成果であったと考える」としている。確かに、これまでの取り組みがすべて業界の自主的なものであったことを考えると、24.3%の削減は評価すべきであろう。しかし、目標とした35%削減は、当時実行可能であるとした数字を各社が持ち寄って自ら決定したものであったことを考えると、目標を達成できなかったことは、とても残念なことであると言わざるを得ない。さらに、協会に加盟している85社は、全建築会社の一部であり、24.3%の削減を行ったのはその中の16社に過ぎない。大手である16社には、その社会的影響の大きさを鑑み、是が非でも目標を達成して欲しかったものである。
 今後は各社それぞれの取り組みに任せられることになるが、情報公開の制度があるISO14000シリーズの取得が進めば、我々市民グループ側からの情報請求がしやすくなると思われる。我々も根気強く動向を見守っていくことが必要であろう。□
 

※大手16社の今後の取り組みについて知りたい方には、連絡先をお知らせします。SCC事務局までご連絡下さい。


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