
全国アンケートを終えて
関西熱帯木材使用削減委員会 自治体部会責任者・西岡良夫
《5年前は10自治体のみ、今は160自治体》
関西熱帯木材使用削減委員会とは、関西の熱帯林保護団体と建築家、弁護士等による2年間だけの時限団体である。今年の活動を最後に解散するが、それまでに関西をはじめとする全国自治体の状況を把握し、森林保護等に関する提案ができたらと考え、行動してきた。当委員会には3つの部会があるが、そのひとつである自治体部会は、全国自治体の熱帯木材使用削減の取組みについて調査した。昨年9月に、全国の都道府県(注:同年4月に関西246自治体を対象に調査を行った。したがって今回、関西は対象外とした。)、県庁所在地都市、政令指定都市に該当する83自治体に「熱帯木材等使用削減に関するアンケート」を送付した。回答率は89%であった。結果の概要は以下のとおりである。
| 全国の熱帯木材等使用削減に関するアンケート回答まとめ (「はい」と回答した自治体数/対象自治体数) | |
|---|---|
| Q1)熱帯材削減有りの自治体 | 39/74(52.7%) |
| Q2b)削減有・部局間会議有り | 19/40(47.5%) |
| Q2c)削減目標・年度有り | 8/38(21.1%) |
| Q3)未削減自治体・検討有り | 10/35(28.6%) |
| Q4)合板使用量の把握有り | 21/74(28.4%) |
| Q5a)熱帯林保護啓発有り | 24/71(33.8%) |
| Q5b)熱帯林団体へ支援 | 6/70(8.6%) |
| Q6)企業への働きかけ有り | 24/73(32.9%) |
| Q7)県下自治体へ働きかけ有 | 8/41(19.5%) |
| Q8)県下自治体削減数把握有 | 4/48(8.3%) |
| Q9)樹種・産地の把握有り | 6/31(19.4%) |
| Q10)地元産材使用住宅へ補助 | 26/72(36.1%) |
| Q11)国産木製学校家具使用有 | 18/70(25.7%) |
| Q12a)家具再利用事業有り | 16/70(22.9%) |
| Q12b)廃材再利用事業有り | 10/68(14.7%) |
| Q13)環境基本計画有り | 14/73(19.2%) |
| Q13)同検討中 | 49/72(67.1%) |
| Q14a)基本計画に環境監査有り | 6/13(46.2%) |
| Q15a)環境基本計画に熱帯材使用削減有で・熱帯材の総量削減策有=千葉市のみ | 1/8(12.5%) |
| Q15b)環境基本計画に熱帯材使用削減策有で・材は生態系、住民生活考慮の上で使用 | 0/7(0%) |
| Q15c)環境基本計画に熱帯材使用削減策有で・タイガ等原生林の破壊防止方針有 | 0/7(0%) |
| Q15d)環境基本計画に熱帯材使用削減策有で・原材料使用、再利用、廃棄まで計画有 | 0/7(0%) |
まず都道府県は、都道府県下自治体の動向をほとんど把握しておらず、さらにそれらの自治体へ働きかけをしているのは8都道府県のみである。また企業に働きかけをしている都道府県は回答した自治体の約3分の1のみであった。自治体自らの熱帯木材使用量も十分に把握されていない。
しかし、熱帯木材使用削減に取り組む自治体は急速に増加した。5年前の地球サミットの時は、全国で熱帯木材使用削減政策をとっていたのは大阪府、東京都など10自治体に過ぎなかったが、今はそれが160自治体となっていることが調査で明らかになった(編集者注:今回の調査結果に過去の調査結果を加えることによる)。これは熱帯林保護運動の高まりと同時に、将来の熱帯材不足への考慮によると思われる。が、熱帯木材に替って使われているのがロシア材であり、それが大量に輸入されていることを考えるとロシアの森林破壊が気になるところである。
《環境基本計画との関連》
環境基本計画を既に策定したのは14自治体、策定を検討中であるのは49自治体である。検討中の自治体には、環境基本計画に、熱帯木材を含めた木材の総量削減を盛り込むことが望まれる。
既に環境基本計画を定めた自治体の中で、熱帯木材の総量削減の実施を盛り込んだ自治体は千葉市のみである。またヨーロッパの自治体のように、熱帯材使用は、生態系を破壊せず先住民族への脅威を与えない場合に限るとするような配慮をしている自治体はない。
関西熱帯木材使用削減委員会の97年の予定は、建設業界等へのアンケート調査とその分析、木材ごとの使用動向に関する調査と分析である。