バクン地域住民委員会(BRPC)の決議文
(1996年12月15日、カピットにて)

<< SCC邦訳 >>


 我々署名者は、バクン地域に生活を営む住民として1996年12月15日、カピットにおいて会合を持ち、最近の報道により我々が知ることとなった、バクンダム計画の実施に伴う、我々に対して影響を与える諸々の問題に関して議論した。長時間に渡る議論の結果、我々は以下の確固とした立場を決議した。

A.再定住(住民移転)に関する問題

1.再定住地の広さと位置は全く適切ではなく、我々の生活を支えることが不可能である。我々はこのような申し出を拒否する。
2.再定住計画の詳細が、影響を受ける住民である我々に完全に公開されておらず、我々は不公正にも慢性的な不安と恐れと、未来への不確実性に苛まれている。
3.我々は、我々が強い愛着と繋がりを持つ、現在の地域及び、または慣習地(customary territory)に残ることを選ぶ。以前にも我々が明言したように、我々の土地は我々の祖先と未来の世代とのつながりを象徴するものであり、純粋に経済的な資源として見るべきでない。
4.我々がバクン開発委員会(BDC)を通じて政府に提出した条件と要求にすら、未だに返答がなされてない。当該関係者は、計画を求めているのは我々先住民族ではないことに気付くべきである。従って、我々は、我々の条件を述べる権利を持ち、かつそれは考慮に入れられなければならない。
5.再定住地にある、我々に提供されることになっている家屋(の建設費用)は、支払われる必要がある。換言すれば、我々が約束されている補償金は開発会社に戻っていくことになり、我々には結局、ほとんどあるいは全く何も残らない可能性がある。

B.補償

1.非常に多くの我々の土地や作物は、未だに測量も限定もされておらず、従って補償もされない可能性がある。このことは、我々にとって全く不公正である。以上のことはまた、仮に計画が進められた場合、我々が受ける多くの損失の始まりを明示している。
2.測量と補償のための土地の限定をする過程において、我々先住民族と当局との間で、「土地法(Land Code)」によって先住慣習地とみなされる土地の構成が何であるかの解釈について、深刻な衝突(食い違い)がある。こうして、我々の先住慣習地の多くは、州の土地として、更なる調査もされることなく分類されてしまっている。我々は、これら全ての紛糾や不満が、我々から提起されているにも関わらず、関係当局が計画の進行を選択し、問題を未解決のままに放置していると、残念ながら言わざるを得ない。
3.土地権の承認要求に関する不満や苦情があれば、住民は自らの責任で裁判所に訴えるべきであると述べて責任を回避する政府の決定を、我々は極めて遺憾に思う。そうすることで、我々は、非常に重い金銭的負担を負わされ、時間と労力を費やすことを余儀なくされている。
4.補償の支払い額と条件は、我々に公開されたことが未だかつて一度もない。我々は、我々に深刻かつ不利益な影響を及ぼす問題に関する最も重要な情報すら与えられておらず、全く困窮した状態におかれていると残念ながら言わざるを得ない。
5.我々はまた、補償が再定住の後にのみ与えられるものであるとの政府の決定に、断固反対する。我々はこれを、罠に陥れるための単なる戦略であるとみなす。

C.協議(consultation)の過程

1.バクンダム計画の実施に関連する全ての問題についての、我々共同体全ての構成員との適切な協議は行われていない。たとえ、政府や計画の推進者によって主張されている協議が存在しているとしても、それは我々の共同体のリーダー、代議士だけと共に行われてきた可能性がある。しかし、彼らの見解や意見は、人々しか知らないいくつかの理由によって、大勢の見解や関心、利害を正確には代表していない。
2.我々先住民族によって提起されている見解や関心は、未だかつて一度も真剣に考えられ、容れられたことがない。我々は、我々によるいかなる異なる見解や立場をも、常に「外部の者(outsider)または扇動者の影響」であるとみなしている関係当局の考えを強く非難する。我々は人間であり、人間の脳を持っており、我々自身のことを考えることが出来る。我々が煽動されていると言うことは、我々の知性に対する侮辱であるだけでなく、我々の関心と見解を無視するための下手な口実である。

 以上の我々にとっての死活問題を鑑み、我々は結果、さらに以下の要求を決議した。

1.政府は、計画を取り巻く様々な未解決の問題を鑑みて、(真剣に)バクンダム計画を実行する決定を見直し、再考すべきである。この計画によって起こるいかなる有害な結果も不可逆的となるであろう。我々は、政府が我々先住民族の福利のことに配慮し、我々の感情に敏感であることを信じている。
2.州と連邦政府の閣僚は、計画に対する人々の見解や反応を聞き、評価するために、本当に自由で開かれた議論及び、または協議を我々共同体の全ての構成員と行うべきである。その目的が無効にされてしまわないためにも、それは過去に行われたような「管理され」、制約された形の会合であってはならない。
3.この計画の関係当事者は、1996年6月19日のクアラルンプールの高等裁判所の判決を尊重し、それに従うべきである。裁判長はこの計画が我々の生存に必要な環境と資源に影響を与えるものであるため、それについての見解や関心を述べる権利と機会が、計画により影響を受ける我々に与えられるべきであると規定した。
4.計画がどうしても進められなければならない場合も、我々先住民族の条件と要求は決して妥協させられてはならない。その場合、我々は、今持っている全てのものを著しく犠牲にしなければならないばかりでなく、激烈で苦痛に満ちた変化に耐え、不確実な未来に直面しなければならなくなるからである。

 我々はさらに、もし以上の問題と要求が真剣に考慮され、容れられなければ、我々は我々の権利と利害と大志を守り、それを実現するに適すると思われるあらゆる行動を取り続ける。

1996年12月15日、カピットにて調印


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