熱帯材の消費量は減っているの?
尾端秀樹


 今まで自治体キャンペーンに参加してきて、いくつかの自治体では成果が見られているが、実際に熱帯材の輸入量は減っているのかとか、代替材として採用されている針葉樹合板の材料は何なのかなどの疑問を持っていた。これらの疑問を個人的に整理してみた。

◆熱帯材輸入量の推移  [図を見る]

 図1に熱帯材丸太輸入量の推移を国・地域別に示した。マレーシア・サバ州からの輸入は1987年をピークに年々減少し、資源の枯渇から1993年1月には丸太の輸出が禁止された。サラワク州からの輸入も、1993年から大きく減少し始め、1995年の輸入量はピーク時の6割以下となっている。一方、パプア・ニューギニアからの輸入が1992年くらいから増加し始め、1995年には26%を占めるまでになっているほか、1993年からアフリカからの輸入が増加しており、日本の熱帯材輸入先が近年多様化してきている(表1)。

表1.アフリカ材丸太輸入量の推移
           輸入量    前年比
    1991      99      -
    1992     102     +3.0
    1993     515   +404.9
    1994     673    +30.7
    1995     523    -22.3
 丸太の輸入量が減少している一方、インドネシアやマレーシアからの加工品の輸入が増えている。図2に丸太と加工品の輸入量の合計の推移を示した。丸太換算した合計量は1990年以降減少しているが、年平均の減少率は5%程度とわずかである。また、図3に1994年の丸太と加工品の輸入量の合計を国別に示した。ここ2〜3年の間にマレーシアからの丸太の輸入量が減ったことにより、インドネシアの占める割合が目立ってきている。
 一方、1980年代末から東南アジア地域からの木製家具の輸入が急速に増加している(図4)。家具は熱帯材の主な需要分野であるから、これを無視することはできない。統計は金額で示されているため、これを木材の輸入量と合計することはできないが、木材輸入の一部が家具そのものの輸入でまかなわれた可能性もある。
 以上の通り、熱帯材の輸入量は1990年以降減少しているものの、減少量はわずかであり、輸入先や輸入形態が多様化しているため、その評価が難しくなってきていると言える。
 国内の熱帯材消費の約5割を建築・土木の分野が占めている。図5に建築着工量の推移を示した。着工床面積は1980年代に増加した後、1990年をピークに減少しており、熱帯材の輸入量の推移とよく相関していることがわかる。こう見ると、熱帯材の輸入量の減少は、バブル崩壊後の建築需要の減少がもたらしただけのものと言えるかもしれない。また、1992年以降は建築需要量が横ばいで推移していることが気がかりである。

◆合板の材料の変化

 国内で消費される熱帯材の大部分が合板に加工されることから、我々は合板の材料を国産材などに替えるよう働きかけてきた。東京都や神奈川県をはじめとした自治体も、熱帯材100%の合板の替わりに、針葉樹合板や複合合板を代替材として採用してきている。しかし、ロシアやカナダなどでは環境に大きな影響を与える伐採が行われていることから、針葉樹でも外材を使っているのでは、問題を熱帯地域から亜寒帯地域に移しているに過ぎない。図6に国内で生産されている合板の素材比の推移を示した。合板に占める熱帯材(南洋材)素材の割合は1993年から減少しているが、替わりに増加したのはロシア材(北洋材)で、国産材の割合はほとんど変化がない。これでは環境への負荷の面では、あまり進展がないと言えないだろうか。

◆自治体キャンペーンと熱帯材消費量

 熱帯材使用削減のために、私たちは自治体へ働きかけることにより、民間への広がりをも狙ってきた。また、税金を払っている市民の立場もあり、自治体側も比較的耳を傾けてくれるというやり易さもあった。我々の働きかけもあり、今や熱帯材の削減に取り組んでいる自治体はだいぶ広がってきた。
 建築着工床面積に占める公共の割合は、1割前後である。その他の建築主(発注者)の割合は、個人が約5割、会社が3〜4割である。このようなことから、住宅メーカーや建設会社に対する働きかけも、一層進めていく必要があるのではないだろうか(建築業協会は合板型枠としての熱帯材の使用量を1992年2月から5年間で35%削減することを目標としてあげている。
 また、熱帯材は建築・土木の分野以外にも、家具や運送業で用いられている梱包材などにも使われている(図7)。家具に関しては一般の消費者が購入するものであり、自治体キャンペーンなどとは違った展開が期待できるかもしれない。


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