いっせっせのせ96-熱帯材消費を減らす全国アクション-を終えて


1. 全国の動き

 94年、95年と4月のアースデイに行ってきた全国一斉キャンペーンを、今年は世界熱帯雨林週間(10/19-27)に行った。SCCからの呼びかけに応えて参加したのが別表の14のグループ及び個人(SCCも含む)。ほかに、自治体へのはたらきかけではないが、学習会開催(桐生市のグループ)や、イベントで熱帯林問題を扱う(福岡市のグループ)ことを企画したところもあった。自治体や市民が自治体キャンペーンを忘れないために、さらには盛り上げるために、このような全国アクションを年1回企画しているので、各地での運動にこの機会をうまく利用して頂けるとうれしく思う。参加された皆さま、お疲れさまでした。
 SCCでは、参加者の参考になるようにと、はたらきかけの手順や要請書の文例などの情報を載せた「アクション・ガイド」を作成したが、その中で今回の留意点として、以下の点を挙げた。

●代替品に気をつけよう
 熱帯材消費削減と自治体がいうとき、まず最初に挙げられるのは針葉樹合板または複合合板である。自治体キャンペーンでは、市民グループはこれらを代替として適当とは考えていないが、熱帯林の問題を認識してもらうためにとりあえずは問題としてこなかったというのが現状であった。しかしキャンペーンが拡大してきた今、望ましい代替品を表明していく必要があろう。

●消費削減の方針を出した自治体では、評価の方法に気をつけよう
 熱帯材削減方針を何年か前に出した自治体では、削減の実績を出す自治体が出てきた。でもその評価の方法にも様々な考え方があるということがわかってきた。例えば川崎市では、評価のために「単位床面積あたりの熱帯材合板消費量」を用いている。だから絶対量が増加しても、とにかく「単位床面積あたりの・・・」が減れば、熱帯材消費削減に貢献したということになってしまうという問題がある(サラワク・アップデイト9月号参照)。

●環境基本条例にのせよう
 現在、環境基本条例や環境保全行動計画等を策定している自治体が多くある。その中に、熱帯林の保全として熱帯材の消費削減を明記してもらうことは重要だろう。

2. 東京都を訪問して

 このキャンペーンの一環として、SCCは「パプアニューギニアとソロモン諸島の森を守る会」と共に東京都を訪問した。「ア・シード・ジャパン」のメンバーの参加もあったから3団体混成チームでの訪問である。
 東京都の出している方針は「合板を用いるコンクリート型枠工事における熱帯木材合板の使用割合を、3年以内に50%、5年以内に30%程度にすることを目標とする」(平成5年6月)である。なお3年以内とは平成7年度(1995年度)末までの期間を指している。この方針は、具体的数値も出されていることであり、評価できるものであると私は思っていたのだが、都の担当者と話をしていくつかの懸念を持った。奇しくも(やはり、というべきか)上記の今回の留意点と符合してしまう点が多いので、その順に書いてみる。
 まず代替品について。削減方法として、合板型枠使用の少ない工法・構造等の採用拡大や合板の使用回数の増加も採用してはいるが、代替品として使用しているのはほとんどが複合合板、一部に針葉樹合板。そして利用する複合合板の針葉樹の産地やその森林管理については留意していないとのことであった。予想通りの答ではあったが、少量ながら熱帯材消費の減少分は、北洋材等で補われてそれはロシア等の森林破壊につながっているということだ。
 次に評価の方法について。達成目標は50%とか30%とかの割合であるから、川崎市と同じく使用する絶対量が増えても割合が低くなればそれでよいということになってしまう。担当者によれば、割合を低くすることで絶対量削減に結びつけばそれが望ましいが、はじめから絶対量削減を方針として定めることは難かしい、とのことであった。  これらのことから、数値の達成自体が目的とされてしまい、本来目指すべきだった森林保全が忘れられてしまっているという感じを受けた。
 環境基本計画についていえば、都は来年3月に策定を予定し、現在「中間のまとめ」というものを出している。その中での熱帯林の保全の項では、目標として「2000年以降は、森林の持続的経営が行われている供給源から輸入される熱帯木材の利用に努めるとともに(後略)」となっている。持続的経営が行われている熱帯林が、2000年以降にはあるというのだろうか。それに「努める」(これは他の部分にも多用されている)という義務を伴わない曖昧な表現も気になる。今までの方針は数値が示されてという点では具体性をもっていたが、今度の環境基本計画ではその点においては後退といえるのではないか。
 それからもう一つ。自治体が熱帯材消費削減をうたうことはGATT違反であるので、好ましくないと非公式ではあるが苦言を受けているという話もきいた。これも川崎市でもきかれたことだという(同9月号参照)。GATTと自治体キャンペーンとの関わりについては、今後情報や意見の収集に努めることとしたい。
3. 次のステップへ

 自治体キャンペーンを開始して6年が経過した。そろそろこのキャンペーンの評価をしてこれからを考える時期にきているといえよう。それは、森林保全については熱帯林のみでなく寒帯林、温帯林についてもいっしょに考えていくべきという考え方が広がっていること、木材認証制度に向けた動きがあること(既に開始しているものもある)、神奈川県のように最初に定めた削減目標を達成した自治体が出てきたこと等によると思う。
 森林保全や木材利用はどういう状態が望ましいのか、それに向けて市民は何をして行くべきか。この問題については、今後様々な立場の方の意見をききながら考えていきたい。そのための一歩として企画されたのが(仮称)「森林保全キャンペーナ全国会議」である(同封のちらし参照)。ここでは情報を共有すると共に、今後のキャンペーンについて、内容と共に、より多くの人を巻き込むための工夫等について話し合いたい。
 ところで。最近ある人から、自治体キャンペーンは広がったけど、でも熱帯林破壊はなくならないと嘆く声をきいた。でも、このキャンペーンに少し長く関わってきた者として思うことは、これだけの広がりはやっぱりすごくて、この市民のエネルギーと一部といえども自治体職員の熱意は貴重であるということである。
 私たちが変えようとしているのは、自由貿易だとか大量消費というとてつもなく大きなシステムであるのだと思う。変えることは大変だが、でも私たちは今地道な積み重ねでエネルギーをためているのではないか。今後、この力が日本を変える底力になっていくと信じて次のステップを目指したい(浦本三穂子)。


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