パーム油って地球にやさしいの??
〜資源収奪を続ける日本〜

松江和子


 4月にインドで行われた世界の森林保全に関わるNGOの会議の初日。『カズコ!油やしのプランテーション問題とどう取り組むか話し合おう!』この言葉と共に、私はたちまちマレーシア、インドネシア、タイなどの環境保護団の代表者に取り囲まれた。
 『パーム油は植物性だから地球に優しい。』のキャッチフレーズの下、近年日本は着実にパーム油などの油やしの実からとれた油の輸入量を増やしており、その量は30万トンを越える。供給地の第一位は、マレーシア。生産量も世界一。インドネシアがこれに続く。
 『植物性なら地球にやさしい』と単純に結論づけてよいものか。マレーシアのサラワク州の油やしプランテーションを例に考えてみたい。

■皆伐、農薬づけ、土地収奪

 油やしの実はすぐに搾油、加工しないと商品価値がさがってしまう。そこで、サラワク州政府や企業は、質のよい油を効率よく量産しようと、何千、何万ヘクタールの広大な森林を皆伐し、プランテーションと搾油場をセットで広げる計画を着々と実行(本号5ぺージ参照)。
 サラワク州の土地法によると、開発のためであれば、先住民族が先祖代々利用してきた慣習地でも土地の利用方法を決定する権限は政府や大臣にある。先住民族の反対を押切り、保証金も支払わずに油やしのプランテーションがつくられつつあるところもある。保証金を支払ってもらったとしても、土地を失った住民は都市へ出て職を探すか、プランテーションの日雇い労働者として生計を立てていくしかなくなる。森で自立して生活していた人々が他者へ依存するようになる。プランテーションでの労貨は平均一日6から9リンギット、月250リンギット(1リンギット40円)と低い。これはマレーシア政府の言う貧困線以下の収入である。また、このような単一作物の栽培には大量の農薬が使用される。このため労働者の健康被害の訴えも多い。
『林道を作るために畑や先祖代々のお墓をめちゃくちゃにされ、生活の糧である動植物や魚はめっきり減った。伐採によってこんなにひどい目にあった上に、政府は油やしのプランテーションによって残された土地さえも奪っていく。』 とある先住民族の村長は嘆く。油やしプランテーションは先住民族にとって魂のよりどころでもある大地をも奪っている。

■日本人の健康もむしばむ

 このようにして生産された油やしの実を原料とする製品は、洗剤、石鹸、マーガリンやインスタント食品など、私たち日本人の生活に入り込んでいる。植物性でも合成洗剤の原料となれば、皮膚疾患などのアレルギーや海洋汚染などの原因ともなる。

■私たちに求められていること

 伐採跡地に商品価値のある木材がなくなると、熱帯の国々は次にお金を生む方法を考える。その一つが、油やしのプランテーション。一方日本は、サラワクなど東南アジアの木材、油やしと一次産品を次々に大量輸入。安ければ、私たちの生活が便利になればと、海外の資源を収奪し続けている。その陰で最も苦しんできたのがサラワクの先住民族をはじめとする人々。
私は、実家を離れて大学へ通うようになった時に、カラーボックスを買った。今働いている事務所にある石鹸には、サラワクから来たパーム油が入っているかもしれない。熱帯林に住む人々はこんなに私たちの生活を支えてきてくれたのに、日本人は資源収奪型社会からいつまでも抜け出せないのだろうか。


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