サラワク・キャンペーン委員会   Sarawak Campaign Committee 〒171 東京都豊島区目白3-17-24   Mejiro Bld.2F,3-17-24 Mejiro 目白ビル2F      Toshima-ku,Tokyo 171 JAPAN TEL:81-3-3954-3510    FAX:81-3-3951-1084  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 1997年12月26日緊急プレスリリース 報道関係者各位 サラワクの先住民族に流血の惨事!! 〜マレーシア・サラワク州で警察隊が300人の先住民族に発砲 〜 〜銃弾による重軽傷3人、逮捕22人、暴力による怪我人も〜  1997年12月19日、サラワクの先住民族にとってかつて経験したことのない、 非人道的な事件がマレーシア・サラワク州ミリ省バコン地区スブクット川の ルマ・バンガ(Rumah Bangga)ロングハウスで発生した。自分たちの先祖伝来 の土地で行われている企業による油やしプランテーションの土地造成を食い 止めようとバリケードを張っていた住民(イバン人*1)に対し、警察隊 (PFF*2)がやってきて住民に発砲したのである。この結果、3人が銃弾を浴び、 内1人が頭部に銃弾を受けて重体となり、ミリ総合病院の集中治療室に収容さ れたが、昏睡状態が続いている。事件発生の経緯 イバン人の先住慣習地に おいて、プランテーション会社(*3)が農地や果樹園、ゴム園などに侵入し、 ブルドーザ等の重機械を使ってプランテーション用地造成を行った。住民は 当初から、地元の警察署であるブルルとマルディの警察署に対して彼らの土 地の破壊状況を説明し、会社の土地造成を止めさせるよう求めていた。住民 は州の機関にも苦情を申し立てていた。しかし警察は有効な手立てを取らず、 企業はイバン人の土地でプランテーション開発のための土地造成を続けていた。  一向に改善しない状況を見て、ロングハウスの住民はプランテーション会社 が彼らの土地を破壊するのを止めさせ、そして話し合いの場を設置するために 3台のブルドーザーを業者から取り上げ、彼らのロングハウスへ持っていった。 これに対し、企業はイバン人たちと対話をするどころか警察を呼んだのである。  12月18日には警察が先住民族の村へ来たが、住民たちは一向に操業中止の約 束が取り付けられなかったため、ブルドーザを返却することを拒否した。  翌日の12月19日、M16機関銃や棍棒で武装した約50人の警察隊(PFF)が4台の トラックで村に到着した。住民はロングハウスの外で平和的に集まっていた。 その時、急に警察隊の一人が首長であるバンガ・アク・アンダ (Bangga AkAndap、63)を捕まえに走り、同時に発砲の合図が出された。  村の人々は混乱し、発砲でエンヤン・アク・ゲンダン(Enyang Ak Gendang,40)、 シバ・アク・スントゥ(Siba Ak Sentu, 36)、インディ・アク・ウマ(Indit Ak Uma) の3名(*4)が銃弾を受け負傷した。エンヤンは頭部に弾丸を浴び、重体となり、 現在も昏睡状態でミリ総合病院の集中治療室に収容されている。インディは体に 銃弾を受け、シバも同じく病院で治療を受けている。その他にも棍棒で殴られる などして、首長を含めた数人が負傷した。  12月21日からロングハウスは警察に包囲され、上空には警察のヘリコプターが 巡回し、ロングハウスへの唯一の道は警察による厳重な警戒体制の下にある。12月 22日現在の情報によれば、最終的な逮捕者はルマ・バンガ、ルマ・シドゥ、ルマ ・パナウ、ルマ・プンガンの4つの村から22名に上る。 この事態を非常に憂慮 したダヤクの会、サラワク・キャンペーン委員会、戦争と平和を考える金曜連続 講座、日本消費者連盟等NGOのメンバーは、12月22日にはマレーシア大使館、同 25日には外務省を訪れ、現地の状況を早急に調査し対策を取るよう要求する要請 書を提出した(日本政府宛てのものは別添を参照のこと)。要請内容は以下の通 りである。 マレーシア政府及び警察宛: 1) 今回のイバンに対する発砲と逮捕に関し、早急かつ公正な取り調べを行い、 適切な対処・行動を起こすこと 2) 土地や森林に関する先住慣習権(NCR)が今後侵害され続けないよう対策を講じること 3) バコン地区でのイバン人の更なる逮捕や嫌がらせを停止すること 日本政府宛: 1) 今回のイバン銃撃・逮捕事件に対する十分な調査と対策を取ること、 なららびにその情報の公開 2) 今回のような事件の背景である、サラワク先住民族の土地や森林へ の権利(先住慣習権)の侵害についての十分な調査と対策を早急に講じること サラワクの先住民族に対する人権の確立を!  このように、サラワクの住民は常に様々な開発行為による、先住民族の 先祖伝来の土地に対する権利の侵害を受けてきた。住民たちはそれに対し 抗議し続けてきた来たにも関わらず、政府、警察からは有効な調査・対策 が取られず、またこのような不当な逮捕や暴力が幾度となく発生していた(*5)。 今回の事件に発展するような問題の原因が存在することが住民や内外のNGO によって明確にされていたにも関わらず、効果的な対策が何ら取られて来 なかったことが今回の事件につながったのである。今回の事件をきっかけ に日本政府及び州政府を含めるマレーシア政府、警察等が、今回の事件に 関する徹底的な状況調査と、事件の背景に存在する人権状況の調査を行う こと、そしてサラワク州での法的に既に認められた権利としての先住慣習 権の確立をサラワク・キャンペーン委員会は求める。さもなくば、同様の 惨事が今後とも繰り返されることになるだろう。 *1 サラワク州の先住民族集団の一つ。 *2 PFF= Police Field Force 警察隊のこと。 *3 Empresa(M) Sdn Bhdが母体でサラワク州政府と土地賃貸契約を結び、 Segarakam Sdn BhdとPrana Sdn Bhdがその請負業者。先住民族の土地で 実際の用地造成作業をしていたのは請負会社である2社である。 *4 Enyang Ak Gendang(40)、Siba Ak Sentu(36)はルマ・シドゥの住民、 InditAk Umaはルマ・バンガの住民 *5今年の3月13日にはバラム地区スランゴのスンガイ・スギタで商業伐採 に抗議していた数十人の内の4人のプナン人が逮捕され、不当な暴力・扱 いを受けた。また、4月17日には油やしプランテーション開発に反対した ティンジャルの9人のイバン人が、6月25日にはスンガイ・ボンの42人の イバン人が不当に逮捕されている。 連絡:問い合わせ:  高山 楽 TEL:03-3954-3510 FAX:03-3951-1084 E-mail: scc@kiwi.ne.jp