1997年12月25日 サラワクの先住民族銃撃および逮捕に憂慮するNGOの要請書 内閣総理大臣 橋本龍太郎 様 拝啓 私たち、以下の日本のNGOは、本年12月19日、マレーシア・サラワク州 バコン地区ルトンのスンガイ・スブクットで起こった重大な事件について大変 憂慮し、また深い関心を抱いています。  この事件は、現地警察が、サラワクの先住民族集団の一つであるイバン族に 銃撃を加えて3名を負傷させ(うち1名は頭部に弾丸を浴び重体)、さらに22名 を不法に逮捕したというものです。このイバン族の人びとは、彼らが先祖から 代々受け継いできた土地へ、彼らの同意なしに侵入して来る油やしプランテー ション会社の建設工事を阻止しようと、平和裡に道路を封鎖しようと集まって きた無抵抗の地元住民だったのです。  イバンの人びとが道路を封鎖しなければならくなったのには、次のような経 緯があります。このバコン地区に住むイバンの人たちは、これまで、プランテー ション会社のブルドーザーが、彼らの先祖伝来の土地である森林や農地、ゴム 園、果樹園などに侵入し、破壊していくのを食い止めようと、政府や警察に嘆 願書を数回にわたって提出してきました。こうした彼らの多くの努力にもかか わらず、当局からは何の手だてもなされないまま、今日までプランテーション 会社による不法な破壊が続いてきたのです。そのため彼らは、止むを得ず最後 の手段として道路を封鎖しようとしたのです。先住民族の人たちが、彼らの生 活の糧を与えてくれる先祖伝来の豊かな土地や森を、外部からの不法な侵入者 から守ろうとするのは当然の権利なのです。  また、以前からサラワク州における森林伐採や油やしのプランテーション、 ダム建設、リゾート地建設などによる開発が、先住民族の住む土地への権利を 犯し、森林を破壊し、住民の生活を脅かしてきたことは国際的にも憂慮されて きました。その上、今回は警察の発砲により住民に重体者が出るに至り、もは や静観に堪えない事態の深刻化がうかがえます。もし、私たち日本人が輸入し ている油やしや木材をはじめとするサラワクからの一次産品が、先住民族の人 権や権利を侵害して生産されたものであるとするなら、日本の市民としてその ような事態を容認するわけにはいきません。  したがって、今回の地域住民に対する警察による銃撃事件、及びこのような 事件が起こる背景である先住民族の土地や森林に対する権利侵害に関する、徹 底的かつ十分な調査と対策を早急に取られるようにお願い申し上げます。 敬具 T・K 署名_____________ ダヤクの会 戦争と平和を考える金曜連続講座アクショングループ サラワク・キャンペーン委員会 日本消費者連盟 地域自立発展研究所(IACOD) CHT対策会議 サバイバル・インターナショナル・ジャパン・ネットワーク アジア人権基金 ペウレ・ウタリの会 森林調査室 アジア太平洋資料センター