
コンパネ(コンクリート型枠用合板)と熱帯林
「サラワクの熱帯林があるうちに:熱帯材の消費削減を目指す自治体キャンペーンガイド」より
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SCCでは、90年代はじめ、コンパネ(コンクリート型枠用合板)の使用削減を自治体に働きかけるキャンペーンを行いました。ここでは、製造から廃棄までのコンパネの一生、そして使用削減技術に関する箇所をウェブに掲載することにいたしました。情報が古くなっている箇所も多いですが、一定の参考になれば幸いです。 なお、環境に適した木材への転換に関する最新の取り組みに関しては、フェアウッド・キャンペーンと熱帯林行動ネットワークのホームページをぜひご覧ください。 |
2.建設と熱帯材の関わり
2-1.熱帯材の用途
現在日本が輸入している熱帯材は、ほとんどが東甫アジア及び太平洋地由からの「南洋材である。南洋材の輸入形態には原木、合板(単板も含む)、製材がある1989年の南洋材輸入総量は1,1l1万m3、原木換算で2,234万m3で・原木が56・2%・合板が27・7%、製材が16.O%を占めていた。原木の90.2%がマレーシアのサバ、サラワクの2州から、合板の96.9%がインドネシアからの輸入であった(1989年日本南洋材協議会資料)。
原木の84%が合板用であり、輸入合板と合せると実に日本が輸入した南洋材の70%以上が合板になっているのである。又、普通合板の原料の96%が南洋材であることからも、日本の合板産業にとって、南洋材はなくてはならないものになっているユとがわかる。合板は、ほとんどが国内消費され、需要形態は広範囲に及ぷが・約半分は建築・土木用となっている。したがって南洋材使用削減は合板産業友ぴ建設業に密接に関係しているのである。
写真2-1.
今回のキャンペーンの目玉となるコンクリート型枠用合板(写真2-1.)の生産量は、普通合板全生産量の実面積で22.8%(23,716.8万u)、体積で42.4%(284・6万m3)を占めている(1989年日本合板工業組合連合会)。
しかし実際には、コンンクリート型枠用合板規格で生産されても・本来の使途に用いられるのはそのうちの60%程で、残りは建築の下地材などに使用されていることが多いようである。土木用は約8%であり、内訳は不明であるが、多くが型枠用と考えられる。したがって、コンクリート型枠として使用される合板は普通合板生産量の25〜30%程度であろう。ここでは後で年間の建築着工床面積より型枠用合板の使用量を推定することにする。(2-4.項を参照)
2-2.建築の基礎知識
現在日本でみられる建築物の構造は木造、鉄骨鉄筋コンクリー一ト造(SRC造)鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)、コンクリートブロック造、その他である。又、これらの構造をいくつか組合わせる場合もある。これらの分類は建物の主構造の柱、梁、壁、床が何でできているかによってなされる。
木造…主要構造部が木造のもの。
鉄筋コンクリート造…主要構造部が型枠の中に鉄筋を組みコンクリートを流し込んで一体化した構造。
鉄骨造…主要な骨組が鉄骨造のもの。
鉄骨鉄筋コンクリート造・・主要構造部が鉄骨と鉄筋コンクリートを一体化した構造。
コンクリートプロック造…鉄筋で補強されたコンクリートプロック造のもの。
建築物において南洋材の使われ方は様々であるが、その主な物を以下に示す。合板は天井板・壁・床等の内装材、建具(マホガニー・チーク等の高級材を合む)に、比較的安価なラワン合板はコンクリート型枠・壁・床等の下地材に、製材は階段、窓や扉の枠、床柱(高級)に一使用される。
このうち特徴的なのは、コンクリート型枠用合(通称コンパネ)である。(鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造では主構造をコンクリートで固めるため、建物全体にコンクリート型枠用合板を使用する。他の構造では、地下の基礎部分等のコンクリートエ事に使用される。)何故ならコンパネはコンクリートを固める為の鋳型であり、あくまで仮設材であるので建物が完成した時には既に取り外されているのである。本来貴重な人類の共通財産であるはずの熱帯材が、使い捨てという最悪の使われ方をしているのである。しかも、
このコンクリート型枠用合板を用いた工法は施工性、価格等の点で非常に秀れているので、現在、型枠工事の9割以上を占め、その代替を困難にしている、一方、建築に用いられるコンクリート型枠用合板以外の南洋材の代替は比較的容易である。というのはコンクリート型枠用合板以外の箇所の南洋材の使用は、単に好み、価格(比較的安価)の問題であり、他材を使用する事にほとんどマイナス面はない。(しかし、ここで注意することは、南洋材は見える部分のみに使われているわけではないということである。例えぱ、表面がカシ材の床板であっても、芯や裏には南洋材を使っていることが多いのである。)しかし、コンクリート型枠用合板は、広く普及している、価格が安い、代替材の供給量が不安定である、一つの建物での使用量が多い事に加え、節の無く滑らかな表面、切断加工のしやすさなど南洋材合板の性質の故に使用されているため、その代替及び不使用には施主、施工者、設計者、さらに合板メーカーの協力が必要である。
2-3.コンクリート型枠用合板
コンクリート型枠用合板は、建築工事でコンクリートを固める為の鋳型として使われている。厚さ12o、標準寸法910×1820o、610×1820oである。コンクリート型枠用合板の原料は90%以上を南洋材に依存している。コンクリート型枠用合板はコンクリート凝固後、とりはずされ廃棄されてしまい、1枚のコンクリート型枠用合板は平均3回程度の使用と、製品としての寿命がとても短いことから南洋材の浪費的使用と非難されている。戦後、長い間コンクリート型枠は、厚さ12〜15o、幅150〜180oのスギ板を桟木でパネル化して使用していた。しかし、これは重量があり、製作するにもかなりの人手を要した。コンクリート型枠用合板の歴史は、終戦後アメリカ軍が厚さ18oの米松合板を自分達の施設を建設するために持込んだのに始まる。昭和30年代の後半になってラワン材を使用した厚さ12o、910
x 1820oの合板が登場し、この合板を使用した型枠は爆発的に普及し数年で型枠工事のほとんど占めるに至った。現在では型枠工事の9割以上がコンクリート型枠用合板を用いた方法で行われている。その原因は、
1.軽量で施工性がよい。
2.強度、剛性がある。
3.表面が平滑、コンクリートヘの悪影響(樹脂による硬化不良等)がない
4.価格が比較的安い。
ことである。
しかし、近年人件費が非常な速度で高沸し、工事費に占める材科費の比率は低下し、人件費の比率が大きくなっている。さらに型枠大工の減少・高齢化も深刻であり施工業者は型枠工事を合理化、省力化する必要性を感じ始めている。大手建設会社ではコンクリート型枠用合板の代替品の開発を進めているが、価格、質、廃棄方法などの点でコンクリート型枠用合板に替わる物は今のところなく、合板が手に入らなくなるまでコンクリート型枠用合板の使用は続けられる可能性が大きい。
2-4.コンクリート型枠用合板の一生
では、南洋材が日本へ入港してからコンクリート型枠用合板として使用され廃棄されるまでを追ってみよう。南洋材は56.2%が丸太(原木)のまま日本の港へ着く。北海道から九州までの65の港に着くが、東北が約20%、京浜、愛知、中国、四国、九州はそれぞれ、10%前後を占めている。船から海へ降ろされた原木は貯木場へ違ぱれ、その後輸入商社、卸売業者を経由し合板メーカーの工場へ運ぱれる。合板工場で、ロータリーレースという機械で大根の皮を剥くように原木は薄い板に剥かれ、その数枚を接着しコンクリート型枠用合板ができあがる。(写真2-2.)次に建設現場へ搬入されるわけだが、ここまでの流通をまとめてみると、
東南アジアから商社が原木を買いつけてきて、
→それを合板メーカーへ売る、
→できあがったコンクリート型枠用合板は今度は製品として再度商社へ売られる。
→商社から大手同屋、卸売間屋を経由し
→小売店から現場へ納材される。
現在ほとんどの現場で、コンクリート型枠工事は型枠施工業者(型枠大工)へ「材工一括発注」という型枠工事一切の材料、工事手間を一括して委託するという形がとられている。従ってコンクリート型枠用合板の購入、作業中の管理、回収などはすべて型枠大工が行っている。10年程前までは、コンクリート型枠用合板はゼネコン(総合請負建設会社)から支給していたがゼネコン内の労力不足などから、現在はほとんど「材工一括発注」がとられている。そのためゼネコンではコンクリート型枠用合板使用量を正確に把握できず、コンクリート型枠用合板に対する意識が低い場合が多い。次に建設現場でのコンクリート型枠用合板に係わる作業の流れを示す。
写真2-2
新品コンパネ…使用→撤去→廃棄
→他現場→
→清掃→使用→撤去→廃棄
→他現場→
→清掃→使用→撤去→廃棄
→他現場→
→清掃→使用…
中古コンパネ…基礎工事に使用→撤去→廃棄
現場へは新品と中古品のコンクリート型枠用合板が入る。コンクリート型枠用合板は建物寸法に合わせてコンクリートの型枠として組立てられ、ここにコンクリートを流し込み、数日後コンクリートが固まれぱコンクリート型枠用合板は撤去される。(写真2-3.)撤去されたコンクリート型枠用合板は、表面形状、寸法などにより同現場で転用可能な物、他現場で再使用可能な物、廃棄する物に選別される。転用する際のコンクリ}ト型枠用合板の清掃は、ケレンというへら状の用具でよごれをけずり落とし、場合によっては穴埋め、剥離剤を塗布する。
コンクリート型枠用合板の転用回数は建物の形状、部位別等により個別である。平均で3回前後の転用回数であるが、マンションなどの均一な外壁で5〜7回転用し、柱、梁など様々に寸法が異なる部位は、コンクリート型枠用合板が細かく切られるので1回しか使用できないことが多い。しかし、転用計画はあくまで1つの現場内で行なわれ、他現場への転用は基礎への転用以外はほとんどない。型枠大工の目安としては3回転用が基準で、例えぱ1つの建物でコンクリート型枠用合板が延べ900枚必要だとすると300枚用意して、その300枚を廃棄していることになる。他現場で再使用可能なコンクリート型枠用合板は、一旦型枠大工が回収し、他の現場の基礎工事で型枠として再使用される。中古品は基礎以外ではあまり使用されていない。基礎型枠使用後は廃棄処分される。廃棄するコンクリート型枠用合板(写真2-4.)は、型枠大工が回収し持ち返ってから処分する場合と現場内の他の廃棄物といっしょに産業廃棄物処理業者にゼネコンが委託して、回収、処分する場合とがある。(現場で焼却可能な場合は焼却している。)現場から収集された廃コンクリート型枠用合板は選別され、以下のように処分される。
建設現場からの収集→選別→償却・埋め立て→公営焼却場/民間許可業者/自己処理
→公衆浴場等の温水施設燃料(チップ化)
→工業用ポイラー燃料(チップ化)
収集から処分までの作業は細かく分業されている。産業廃棄物処理業者は収集、選別、破砕、焼却、埋立て等にそれぞれ専門の業者がいて、業者によってはこれらの作業の組合せ形態をとっている。コンクリート型枠用合板は産業廃棄物ではなく一般廃棄物であるので自已処理が可能であるが、多くの場合、産業廃棄物処理業者がこれらの廃木材も扱っているので、他の廃棄物といっしょに委託されることも多い。型枠大工と各種産業廃棄物処理業者の組合せで処理過程は様々であり、その実態がつかみにくい。
行政等による木質系廃棄物の調査記録では、建設木くず全体の再利用率しか述べられていない。行政・産業廃棄物処理業者組合からの資料・聞き取りによると、25%〜62%の再利用率であったが、調査区域・年・調査方法などによって値に大きく差があり、単純には比較できず、又ここ数年、廃棄物関係の状況が大きく変化しているので、平均的な値の推定はむずかしいとの事であった。
建設木くずのうち、むく材、角材は合板原料、製紙用チップ等に、再利用されるが、廃コンクリート型枠用合板の場合、コンクリートの付着、含有薬品等の間題があり、燃料用チップに再利用用途が限られているようである。
実際に排出された廃コンクリート型枠用合板の数量の把握は(排出経路が様々であるので)難しいが、コンクリート型枠用合板は使い捨てであり、廃コンクリート型枠用合板量=コンクリート型枠用合板使用量なので、コンクリート型枠用合板生産量、建築着工床面積より推定できる。普通合板生産量全体に占めるコンクリート型枠用規格合板の割合いは、実面積で1967年には1.8%だったが1989年には22.8%と増加してきている。1988年には2億4889万u(298.7万m3)のコンクリート型枠用規格合板が生産された(日本合板工業組合連合会)。1989年の建築着工床面積とコンクリート型枠用合板の使用原単位によりコンクリート型枠用合板使用量を求めたのが表2-1.である。使用原単位とは単位床面積当りに必要とするコンクリート型枠用合板面積であり、例えぱRC造1u当り延4uのコンクリート型枠用合板が必要とし、転用回数を2.5回とすると、4÷2.5=1.6の使用原単位となる。
表2-1. 1989年のコンクリート型枠用合板の使用量
| 構造 |
着工床面積千u
|
使用原単位(110u〕 |
使用量千u
|
| 木造 |
85,094
|
1.70286 |
14,490
|
| SRC造 |
28,240
|
8.65792 |
24,450
|
| RC造 |
52,384
|
15.47090 |
81,043
|
| 鉄骨造 |
102,643
|
3.09418 |
31,760
|
| CB造 |
461
|
6.67099 |
308
|
| その他 |
388
|
4.29235 |
167
|
| 合計 |
269,210
|
- |
152,218
|
1989年には建築工事で1億5222万u(182.7万m3)のコンクリート型枠用合板が使用されたと推定され、これは1988年のコンクリート型枠用合板生産量の61.2%にあたる。土木用の8%(23.9万m3)を加えると、コンクリート型枠用合板使=廃コンクリート型枠用合板量は、年間180^210万m3と推牢されるコンクリート型枠用合板生産過程での原木からの歩留まりを0.7とすると、原木換算で257〜300万m3に上り、日本の南洋材輸大量全体の20%弱がコンクリート型枠用合板として消費されていること{こなる。
例)平成3年4月より東京都立大学が八王子市南大沢へ移転した。新キャンパスの建物の総延床面積の98%に当たる146,500uが、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造で造られ総型枠面積は81万uであった。このうち、2万uがプレキャストコンクリート(PC)型枠で施工された。残り79万uがコンクリート型枠用合板による施工であったが、転用回数を3回とすると26.3万u、(3,156m3)のコンクリート型枠用合板が使われたことになる。原木換算すると4,508.6m3であり、これは直径70p、長さ10mの丸太(体積;3.85m3)に換算すると1,171本分の体積に相当する。