1.家具に使われている木材<製造面>       ←目次  ホーム↑
(1)家具に使用される木材の量
家具に使用される木材の量は、全体でどれくらいだろうか。公表されている統計の中には、細かく分類されたデータがなく、推定せざるを得ない部分もある。およその数字をつかむことを目的とする。

a)木材の使用量
 まず、合板についてみてみる。1993年の普通合板の国内生産量は526万m3で、輸入量は409万m3であった。これらの素材の9割が南洋材であることは注目すべきことである。合板全体のうち家具に使用された割合は、金額比で23.9%であった。しかし、需要分野によって
使用する合板の材質は異なり、流通経路も様々なため、金額比と量の比は必ずしも一致しないようである。「家具製造・木工業者の資材調達の実態」(内外市場リサーチ株式会社、関東圏63年版)では、関東圏の企業230杜の調査などから、1987年(S.62)の家具用合板特殊合板類の全国総需要量を2憶4481万m2(107万m3に相当)と推計している。これと、その後の生産量および輸入量の推移や家具の占める金額比の推移とを考え合わせると、1993年に家具に使用された合板の量は、90〜110万m3前後になるのではないだろうか。

合板の需要分野別比率
(1993年;金額比)

建築・土木 59.9%
家具 23,9%
建具 91.%
家電キャビネット .07%
展示装飾 2.0%
パレット梱包 2.2%
その他 2.2%

(合板需要動向調査報告書)

 

材種別合板生産・輸入量(1993年)

  合計 国産材 南洋材 米材 北洋材 NZ材 その他
普通合板生産量 5,260 183 4,586 120 134 210 27
合板輸入量 4,087 - 3,823 213 - 21 30

(木材需給報告書、大蔵省通関統計)
国内生産量の内訳は素材供給量から計算。
輸入量の内訳は輸入先国地域で分類。北洋材はその他に含む。

 次に製材についてみてみよう。製材の統計では、家具と建具の分類がまとめられており、その内訳は不明である。1993年に国内の工場から出荷された製材のうち、家具・建具に使用された量は103万m3であった。家具・建具に使用される割合を材種ごとに見ると、南洋材で24.6%と高く、他材では3%以下と大きく異なっている。一方、輸入された製材の量は合計1,062万m3であったが、需要分野別のデータは得られていない。
 前述の家具製造・木工業者の資材調達の実態」では、1987年(S.62)の家具用製材品、集成材の全国総需要量を122万m3と推計している。これと、その後の国内の出荷量や輸入量の推移とを考え合わせると、1993年に家具に使用された製材の量は、100万m3前後になるのではないだろうか。

材種別用途別製材晶出荷量(1993年) (千m3)

  合計 国産材 南洋材 米材 北洋材 NZ材 その他

家具・建具

1,030

344 284 312 48 4 38
   割合 3.9% 2.9% 24.6% 3.1% 2.0% 0.4% 23.6%
建築 21,220 9,899 489 8,759 1,968 58 47
土木建設 999 362 20 364 212 30 11
木箱仕組板・こん包 2,520 759 229 568 117 815 32
その他 854 410 132 219 32 28 33
合計 26,623 11,774 1,154 10,222 2,377 935 161

(木材需給報告書平成5年農林水産省統計情報部)


材種別製材品輸入量(1993年)(千m3)

  合計 南洋材 米材 北洋材 NZ材 その他
輸入量 10,622 1,626 7,774 288 235 699

(木材需給報告書平成5年農林水産省統計情報部)

 最後に、パーティクルボードと繊維板についてみてみよう。1993年のパーティクルボードの国内生産は材積換算で113万m3、輸入量は18万m3で、MDF(中質繊維板)の国内生産量は、32万m3であった。パーティクルボードの57%(約74万m3)、MDFの44%(約14万m3)が家具および建具に使用されている(日本繊維板工業会資料)。ただし、建具の割合は1%以下のようである。MDF以外の繊維板は、ほとんど家具には使用されていない。
 パーティクルボードや繊維板の原材料は、合板や製材の製造時の工場残材、低質の木材パルプ、建築や梱包の解体材などである。また、材種別には、原料の2/3がラワン材などの広葉樹が使われている。


 以上の材料を合計すると、家具に使用された木材の量は、280〜300万m3前後と推定される。


b)木材の材種別割合
 次に、家具に使用される木材の量を材種別にみてみよう。
 パーティクルボードと繊維板については、材種別のはっきりしたデータがない。合板の素材の9割は南洋材である。家具に使用される国内出荷製材の約3割は南洋材である。これを合わせると、家具に使用される材料の6割前後が南洋材であるといえそうである。また、同様にして計算すると、国産材の割合は1割前後と推定されることから、材料の約9割は外材に頼っていると言えそうである。
 ただし、これは全体的な計算である。家具は、製品の種類やデザイン、使い方などが様々であり、それによって使用する材種もそれぞれまったく異なっている。

(2)家具と合板の歴史
 ここで、家具と合板の歴史をさぐってみよう。家具に使われてきた木材の変化がわずかながら見えてくる。
 合板と南洋材とは切り離しては考えられない。1949年(S.24)の南洋材丸太輸入量は2万5千m3だったが、1950年(S.25)の木材統制法廃止によって南洋材は自由承認制により大量に輸入されるようになる。その後、輸入量は着実に伸び、それに従って合板の生産量も伸びていった。1968年以前の合板の需給調査データはないが、以上のことから、1950年(S.25)頃から1970年(S.45)頃までの間に、家具の材料も次第に変化してきたことが予想できる。
 近年は、輸出国の制限などにより、南洋材丸太の輸入量は減少しているが、1988年(S.63)に関税が20%から1O〜15%に引き下げられたこともあり、合板の輸入量が増加している。

(千m3,%)

南用材丸太輸入量 合板生産量

合板輸入量

家具比率
1949 25 149 - -
1956 2,315 815 - -
1960 4,568 1,427 - -
1965 9,333 2,627 10 -
1968 14,878 4,743 162 27.4%
1973 26,604 8,597 1,399 21.2%
1980 19,089 8,008 95 30.2%
1988 12,032 7,291 1,906 28.4%
1993 7,656 5,260 4,087 23.9%

(日本貿易統計、木材需給報告書、日本輸出入統計など)

(3)家具に用いられる主な樹種
 家具に用いられている木材は、材種別には熱帯材が最も多く、米材、国産材がそれに次いでいる。家具の種類はとても多く、用いられている樹種も様々である。概して、国産の広葉樹などが表面や縁ばりなどの外側の見えるところに使われていることが多いのに対して、メランティ(ラワン)類は主に合板の形で内側の部分に使われていることが多いと言える。
 国産材のケヤキ、ナラ、カバなどは高級家具の材料として、キリ、ケヤキ、カツラなどは特に和家具に利用されている。ブナは特にテーブルやいすへの利用が多い。メランティ(ラワン)類は、ほとんどが合板として製品化されている。熱帯材のジョンコンは軽軟なため、たんすなどの引き出し材やフラッシュパネルの芯材として用いられる。ラミンはラワンの代替物として用いられる。セプターはベッド、本棚、たんすなどに利用される。タウンはニューギニアの主要樹種。ニャトーは材面がカバ類に似ているので、その代替として用いられることが多い。ニューギニアでは、ペンシルシダーと呼ばれている。アガチスは熱帯産の代表的な針葉樹。東南アジア大陸部などで産出されるチークやシタン、コクタン、カリンなどの唐木類は高級家具の材料として用いられる。ゴムノキはゴム採取のために造林されたものが、老齢になったために伐採されて利用されているものである。その他、カラマツ(信州)、ベイマツ(北米)なども利用されている。ラジアータパインはカルフォルニア原産のものをニュージーランドやチリなどで植林したもので、近年輸入が増えている。また、最近の傾向として、国産のブナにかわってメープル(北米)などを使う動きもでてきている。

家具に用いられる主な樹種

表面材、構造材
ブナ、ナラ(ミズナラ)、カバ(マカンバ)、セン、タモ(ヤチダモ)、ケヤキ[国内]、キリ[国内、中国]、ウォールナット[米国]、メランティ(ラワン)、ラミン[サバ、サラワク]、セプター[サラワク]タウン、マトア、カロフィルム[PNG、ソロモン]、ニャトー(ペンシルシダー)[サラワク、PNG]、シタン(ローズウッド)、コクタン、カリン[ラオス、タイ、ミャンマー] チーク[ミャンマー]、ゴムノキ[マレーシア、タイ]
内張り材、芯材等
シナノキ、カツラ[国内]、キリ[国内、中国]メランティ(ラワン)、アガチス、ラミン、ジェルトン[サバ、サラワク]ジョンコン、セプター[サラワク]

()内は別名[]内は日本の主な輸入先PNGはパプアニューギニア

 

家具製造、木工業の製材、集成材の樹種別調達比率(関東圏:1987年;%)

    箱物主 棚物主 脚物主 特注等 合計
国産材 ナラ 2.1 2.5 6.1 2.1 12.7
ブナ 0.2 1.7 3.8 1.8 7.5
カバ 1.1 1.4 0.4 0.1 3.0
キリ 1.6 1.0 0.1 0.1 2.8
南洋材 ラワン 8.4 2.2 1.1 5.6 17.3
ジョンコン 2.3 2.4 0.1 0.9 5.7
アガチス 1.5 1.1 0.5 0.9 4.0
ラミン 0.5 0.7 0.4 1.6 3.2
米材 スプルース 1.8 0.1 0.2 4.0 6.1
米ツガ 0.3 1.8 0.5 0.4 3.0
集成材 0.7 3.4 1.1 1.2 6.4
その他 2.6 8.8 5.5 11.4 28.3
合計 23.0 27.1 19.8 30.1 100

集成材は各樹種を含む
(家具製造・木工業者の資材調達の実態内外市場リサーチ株式会杜)


世界の木材資源が減っていく中で、特にマホガニーやチークなどの高級材の減少は著しい。そのため、これを補うための代替材が用いられており、まぎらわしいネーミングがつけられていることがある。例えば、マホガニーは、元来ホンジュラスなど中南米産のもので、最高品質とされている。この他に、ソロモンマホガニーとかパプアニューギニアマホガニーと呼ばれているものがあるが、これはそれぞれマトア、タウンのことである。また、フィリピンマホガニーと呼ばれているものは、ラワン類のことである。

(4)家具部材の素材

(家具用語事典)                                             (家具ハンドブック1)


a)収納家具(箱物)収納家具には、たんす、棚物、サイドボードなどがある。日本では流通機構や畳の上に置くという特異性から、軽量であることが絶対条件だった。1955年(S.30)頃から安いラワン合板でフラッシュパネル(素材の枠組みの両面に2.5〜4o程度の合板などの面材を張り、さらに外側に極薄の化粧板を張った中空のもの)をつくり、それで箱をつくるわが国独自の生産方法ができあがった。現在では安物から高級婚礼家具に至るまで、この方法で大量生産されるようになっている。このことから、わが国の収納家具はラワン合板なしには成り立たなくなっており、例えば洋だんすの材料費の4割は面材で、その半分が合板である。側板、天板、地板、扉、棚板、引き出し前板など、収納家具の多くの部分にフラッシュパネルが使用されている。製材品が使われるのは、主としてフラッシュパネル枠材と面縁材(テーブル、机などの天板側面に用いられる木材)、引き出し材、棚板などである。フラッシュパネルの芯材には、加工が容易で軽軟なジョンコンが多く使われているが、供給の先細りが避けられない状況である。また、パーティクルボードや単板積層材も利用されている。表面材(化粧材)には、和風家具では、キリ、ケヤキ、サクラ、クワ、クスノキなどの国産材の他、シタン、コクタン、カリンなどの唐木類がよく用いられ、洋風家具では、ナラ、サクラ、チークなどがよく用いられる。これらの多くはつき板として利用され、同じ樹種の製材品は面縁材として利用される程度である。それでも、化粧材が高価な場合は、調色した模擬材で代用されることがある。

たんすなど箱物の引き出しには、キリ、一ジョンコン卒どの軽軟材が多い。アガチス(針葉樹)もよく用いられる。前板にはランバーコア合板かMDF(中質繊維板)など、底板には薄物合板が使われる。(以上「木材の知識一より)

フラッシュバネルの構造


@合板積層鷺造板(laminated veneer board):薄い合板を重ね合わせる.別にJAS単板積層材を用いることもできる.
Aかまち(桓)組構造板(framing board):みぞをつげたかまち材で枠を組み,合板を落とし込む.
B中空構造板(hollow core board):枠組みの両面に合板を張る、いわゆる太妓張り。
C紙心構造板(paper core board):心材にぺ一バーコァを用いたもの。
D練心構造板(lumber core board):心材を木表,木裏に接着し両面に合板を張る。
E練心構造板(1umber core board:狂いを少なくするため心材の表裏交互にみぞを付げたもの.
F木質繊維板構造板(particle core board):心材にバーティクルポードなど木質繊維板を用いたもの.(家具の事典より)

 b)テーブル、机、いす(脚物)
 テーブル、机の甲板(天板)にも合板が使われている。高級品などにはランバーコア合板や厚物合板が、一般品にはパーティクルボードなどが用いられている。大型テーブルの場合は、ハニカムコア合板やフラッシュパネルを用いて軽量化を図る場合がある。甲板の表面には、化粧板やつき板が張られる。合板以外では、広葉樹の無垢板(はぎ板または集成材)が多く使用される。最近では、ゴムノキなどもよく用いられている。
 いす、テーブルの脚材は、通常無垢の形で使用されることから、美観、強度、価格などの点でブナが多用されるほか、ナラ、チークなどの高級材が重用されている。また、タウン、ニャトー、カロフィルムなどの熱帯材も利用されている。座卓の高級品には、ケヤキ、コクタン、カリンなど、木目や重厚さを生かしたものが伝統的に利用されている。
 いすの背板や座板には、成型(曲面)合板が用いられることがある。(以上「木材の知識」より)

C)ベッド
材料的には収納家具に似ているが、特に荷重のかかる台輪側板(床に接する部材)には厚物合板が使われる。(「木材の知識」より)

(家具用語事典)

(5)家具の表示
家具には、一般消費者の利益保護を図ることを目的とした家庭用品品質表示法による品質表示が義務づけられている。机類(机、卓子)、いす類、たんすが対象だが、たんすは衣料収納用のものが対象で、茶だんすは含まれない。表示内容は、寸法、材料、表面加工、取り扱い上の注意などである。材料表示の対象部分は机類やたんすでは表面材のみである。記載内容は表に示すような文字表現を規定されており、樹種の記載は必ずしも義務づけられていない。

材料表示の対象部分   品質表示の例(洋服たんす)
(新版家具類家庭用品品質表示の解説)
机類
いす
たんす
甲板の表面材
構造部材
表面材

材料の記載文字(たんすの場合)

天然木
天然木単板
天然木化粧合板
プリント合板
プリント紙化粧合板
合成樹脂化粧板(合成樹脂の種類)
合成樹脂化粧合板(合成樹脂の種類)
パーティクルボ化粧板
硬質繊維化粧板

 

←目次  ホーム↑  <前へ 次へ>