はじめに必要なことは、家の部材を構造材と下地材、仕上げ材(内装材)に分けて考えることです。まず、構造材とは、柱や梁、土台など、家の躯体を支える骨格のことです。これに使う材料は、在来工法なら国産材を使えますが、2×4工法の場合は材料はほとんどが熱帯材で作られた合板になります(最近では北米の針葉樹合板なども増えていますが)。したがって、熱帯材をなるべく使わずに家を建てるならば、在来工法を選ぶことが初めの一歩となります。実際おおくの人がこの方法で家を建てています。 在来工法の場合は、柱なら杉や桧、梁には松、土台には桧やヒバなどを使っていくことになります。気になる価格については、ごく大ざっぱに言うと、資材のコストを最も安くするするために選んだ場合に比べて、1割ぐらいは高くなるでしょう。ただし、これは構造材だけを比べた場合です。構造材の材工費(材料費と工賃)は、家全体の材工費の3割ですから、家全体の経費の3%増をはかって、しっかりとした躯体を作ることをお勧めします。 次に、内装材については、目に見える部分と見えない下地部分に分けられます。まず、目に見えない下地部分について、畳やフローリングなどの下や屋根の下に通常敷かれているのはコンパネなど、厚手の合板です。もともと、日本では杉の荒板を並べていた部分です。合板を使うようになった理由は、主に生産や流通面での便利のためですから、家に住む人にとっては杉板でも何ら支障はありません。最近では下地材の合板に含まれている接着材からホルムアルデヒドが放散して、住まい手の健康に問題が起こっている例も少なくありませんので、そうした意味でも杉板にすることで住まい手の安心感はぐっと上がるでしょう。値段も合板と大差はありません。 目に見える部分には、フローリング、天井板、ドアや窓の枠、階段などがあります。 フローリングの多くは、熱帯材や針葉樹で作った合板の上に薄く剥いだ木材を貼り付けたもの(化粧合板)です。これには、本物の杉板を敷きつめれば、足の裏になじみがいいし、使い込むと飴色になってきて、味のあるものです。天井板にも化粧合板が使われています。しかし、節があるのを気にしなければ、塗装料を入れても本物の杉板の方が安くなります。節があっても、材としての支障はありません。 ドアや窓の枠、階段などに使う造作材には、熱帯材が使われています。造作材については、杉では柔らか過ぎて作業がしづらく、桧や楢は高価であるため、品質を満たす国産材で作ろうとすると、高くなります。コストと品質の折り合いで他の外材?を使うという選択もあります。
構造材 → 経費の3%増をはかって、国産材でしっかりと
下地材 → 杉の粗板を並べる
フローリング → 無垢の杉板を敷きつめる
天井板 → 杉板を使う
造作材 → 品質を満たす国産材を使うと高価になる

床用に開発した杉集成材
一戸建ての住宅を取得するとき、まず、問題となるのが限られた予算の中でいかに理想の住まいを実現するかということです。熱帯材を使わない家づくりを進めるにあたって、各地で国産材を使った住宅づくりに取り組むネットワークが増えていることから、そういったネットワークに依頼するのが早道と言えます。ネットワークでは、材料に対するこだわり、環境意識が高いのが特徴ですが、建築コストも少々高くなる傾向にあります。一般的には坪80万円以上の予算が必要で、一般のサラリーマン世帯には少々きついのですが、長年もつことを考えれば決して一概に高いとは言えません。 また、土地が無い場合は更に条件は厳しくなります。土地価格の下落により、不動産会社が土地だけでは、利益を得られず、住宅と抱き合わせで販売する<建築条件つき住宅>が一般的で、不動産会社の指定する住宅会社しか選択できない仕組みとなっている場合が多くなっています。せっかく、上手く建てようとする住宅に理解を示してくれる住宅会社を見つけてもその会社には頼めないということにもなり兼ねません。しかし最近では、不況のあおりで建築条件の解除に応じる不動産会社もあるようですので、交渉の余地はあるといって良いでしょう。 いづれにしても、<熱帯材を使わない>という条件をだすと、コスト高につく可能性があり、施主の立場では、この点が一番心配になるでしょう。 建て売り住宅の情報は、新聞広告や折り込みチラシ、住宅情報誌、あるいは、地元の不動産会社で簡単に得られますが、当然のことながら、建て主の意向の入る余地はありません。ほとんどの場合は、熱帯材合板が多用された住宅を取得することになってしまいます。いかにこちらの要求を理解して、限られた予算で対応してくれるか、業者の選択が重要なポイントになってきます。せっかく生涯、そして次の世代もつき合う住まいを建てるのですから、業者選びと建築主の考えを粘り強く説得する姿勢が必要不可欠です。選択に際しては、住宅会社の場合、会社によって用いる工法が異なるため、会社を選ぶことで工法を選ぶことができます。しかし、大手住宅会社の場合は規格化された工場部材を使用するため、建て主の要望は一般に反映されにくいといえます。 工務店は地域に根ざした中小規模の建築会社のことで、伝統的な木造軸組(在来)工法を得意としているところが多く、建て主の要望に応じたオーダーメイドの家づくりが中心で、価格も全般的に住宅会社より安めになっています。ただし、業者によって技術格差があり、建て主の要望が反映される度合いも異なるため、業者選びが最も大きな仕事であるといえます。 設計事務所は、設計部門を専門に扱い、工事中のチェックや進行管理も担当してもらえます。建て主のライフスタイルや希望に配慮した個性的な家づくりが期待できます。勿論、建築費の7〜10%位の設計料が必要になります。
さて、いよいよ工務店や設計事務所を探すことになりますが、基本は実際に自分の足を運び、自分の目で住宅を見るということが重要です。次章に挙げられているような実例をもとに連絡を取り、よく吟味した上で、賛同できて信頼のおける所に依頼をしましょう。巻末には連絡先の一覧も掲載されていますので、ご参考になさって下さい。
建売 → 建て主の意向の入る余地なし
注文 → 住宅会社:会社を選ぶことで工法を選ぶことができるが、規格外の仕様は期待しにくい
→ 在来工法: 住友林業、殖産住宅相互、東日本ハウスなど
→ プレハブ:(鉄骨系): 積水ハウス、大和ハウス-工業、ナショナル住宅産業など
:(木質系): ミサワホーム、エスバイエルなど
:(コンクリート系): 大成建設など
→ 2×4: 三井ホームなど
→ 工務店:希望に応じてつくれるところを探すことができる
→ 設計事務所:個性的な家づくりが可能