お気楽・極楽・お遊びの会

干潟星雲M8の画像処理手順

赤道儀を用いて追尾撮影した画像の処理方法を記述します。あくまでも参考程度に(^^;)。 この方法で都内、低空でも10等星〜11等星程度の星をデジカメで撮影することができました。


手順1 : 画像形式を変換する

撮影した画像がjpg形式である場合、bmp形式に変換します。これはjpg形式は不可逆圧縮の為、保存する 毎に画像情報の欠落が発生するからです。淡い天体の光を合成することで表現するのですから、情報の欠落 はできる限り避けなくてはなりません。

手順2 : 暗電流ノイズを除去する
CCDの弱点として長時間露光を行うとノイズが発生するということがあげられます。これを冷却することで ノイズを減らしているのが冷却CCDですが、画像処理でもある程度軽減することが可能です。撮影した画像と 同じ時間、レンズにキャップを被せて撮影を行います。つまりノイズのみを撮影します。この画像を天体を 撮影した画像から減算合成することでノイズをなくした画像を得ることができます。但し、完全に除去できる わけではありません。また、デジカメ自体の熱によりノイズが発生するのでノイズを減らす画像により近い 条件で撮影された画像で減算合成を行うのが望ましいです。このノイズのみを撮影した画像のことを ダークフレーム(DarkFrame)と呼びます。


手順3 : 画像の加算合成を行う
淡い光を引き出すために、複数の画像を加算合成します。赤道儀の極軸調整が正確に行われていればズレは 生じないはずですが、多少のズレはやはり発生します。その為、加算合成を行う画像は短時間に連続して撮影 されたものを使用するのが望ましいです。このズレを調整して加算合成を行うようにします。 StellaImage3AstroStack等の天文画像処理専門 のソフトウェアには多少のズレを自動的に修正してくれる機能があります。加算枚数が多いほど淡い光も引き出す ことが可能です。


手順4 : 背景のかぶりを除去する
この方法で加算合成を続けていくと、背景部分が飽和してくるはずです。そこで背景部分の何もない部分を新しい画像として 切り出し、元画像と同じサイズに変更します。これの色が均一になるように「ぼかし処理」を行います。この画像を元画像 から減算合成を行うと、天体のみが浮かび上がってきます。ヒストグラムを確認しながら適度に行ってください。 この処理方法はQV-8000SX Photo Gallery のENAさんの方法を参考にさせていただいています。詳細はHPをご覧下さい。


手順5 : 淡い星雲部分を引き出す
グレイスケール化を行い、明るさ/コントラスト、ガンマ補正、ハイライト/中間調/シャドウの調整を行います。出来るだけ 形状がはっきりするように補正してください。次に作成したモノクロ画像を輝度情報としてLRGB合成を行います。今回は Coloristというソフトウェアを使用してみました。

カラー画像 モノクロ画像 LRGB合成画像


以上の処理の結果、得られた画像です。



トーンカーブ(ガンマ値)の異なる画像を加算平均合成することで、さらに良い画像得られる 場合もあります。

手順6 : 色相を調整する
これが本来の撮影された色に近いはずですが、銀塩カメラで撮影された星雲に近づけるために色相を変更して赤に近づけた後に、 手順4で背景色を除去してみたのが以下の画像です。

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