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Elite(デモ)
シミュレーター名 ELITE
●このシミュレーターについて
開発・発売元:INITIATIVE COMPUTING 社(スイス)
価格:ELITE Trainer : US$349 〜
ELITE Personal Simulator : US$689 〜
航空機には2通りの飛行方式がある。パイロットが自分の目で地上の目標物を確認しながら操縦する方式と、飛行中常に航空管制機関の指示に従って計器を頼りに操縦する方式であり、前者をVFR(Visual
Flight Rules:有視界飛行方式)、後者をIFR(Instrument Flight Rules:計器飛行方式)と呼ぶ。お察しのようにVFRは天候が悪いときには使えない。そのような時には必然的にIFRで飛行することになる。このようにIFRは実際に航空機を操縦する上で非常に重要な役割を担っており、民間エアラインの大型旅客機などはほとんどこのIFRで飛んでいる。
ELITEはこのIFRのトレーニングを行うためのシミュレーターである。はじめに断っておかなければならないが、このソフトにはエンターテインメントの要素は皆無である。それはELITEが実際のパイロットや練習生などを対象にした純然たるトレーニング用ソフトだからである。
【開発経緯】
ELITEはMacintoshベースのフライトシムとして、スイスのエアラインの機長であるUrs
Ribi氏とコンピュータ・サイエンティストのRudolf Marty教授によって1986年頃より開発が行われていた。民間エアライナーのMD-81のモジュールがまず開発され、これがELITEの前身であるINTRA(INstrument
TRAiner)というシミュレーターになる。1990年にスイスにInitiative Computing社が設立され、INTRAはELITE(ELectronic
IFR Training Environment)と名前を変えデビューする。その後いくつもの機体モジュールを追加しながらバージョンアップし現在に至る訳である。Macintosh用に開発されたELITEであるが現在DOS/WIN機にも移植され、パソコンベースのIFRトレーナーとして広く愛用されている。
【プログラム・レイアウト】
ELITEのユーザーインターフェースは5つの異なる画面で構成されている。
1.計器画面
様々なアビオニクスが画面狭しと並びそれぞれがマウスにてコントロール可能である。パネルは写真のように美しく仕上がっている。左上部に外部の景色を表示する一角があるが、そこに見えるのは滑走路とそれに付随する灯火群だけであり、きれいにモデリングされた山や川、建物などは一切表示されない。ELITEがIFRのトレーニングソフトであるということを思い出して頂ければ、この点には納得して頂けるだろう。ELITEに必要なのは美しい風景ではなく、緻密で正確な計器群なのである。
2.マップ画面
この画面では機体の位置を知ることができる。正確なアメリカ大陸の地図が州境、河川、湖沼などとともに表示される。その他にIFRに必要なデータは全てこの画面に表示される。トレーニング中の飛行経路はもとより各地点における高度、速度などのデータが詳細に記録され、マップ画面で確認できるのでトレーニングのフィードバックに最適である。
3.モディフィケーション画面
VORの周波数や空港のバリエーションなどナビゲーションデータベースのデータをここで設定することができる。
4.コントロール画面
雲底高度、有効視界、気流の乱れ、風向・風速、気温などの環境パラメーターや機体の積載量の設定、またコントロールシステムの故障頻度の設定などが行える。
Macintosh版ELITEではマルチモニターがサポートされており、教官がマップ画面のモニターで飛行経路を確認しつつ、コントロール画面のモニター上で各種パラメーターの設定をリアルタイムに行い、教習生がそれに対応して操縦を行うというようなことが可能である。
5.コンフィギュレーション画面
フライトコントロールシステムの感度の調整や各種Vスピード、最大離陸重量、燃料容量などの設定を行う。
【オペレーション】
ELITEのコントロールにはユニバーサル・コントロール・インターフェイス(Universal
Control Interface: UCI)と呼ばれるハードウェアが必要である。これがないとオートパイロットしかできないわけで、要するにハードウェアプロテクトがかかっているようなものである。UCIはシリアルポートに接続され、このインターフェイスを介して各種スティックなどを接続する。但しスティックにしろヨークにしろUCIにはIBM-PC用のものしか接続できないので注意が必要である。しかしこれは言い換えればIBM-PC用に発売されている多数のデバイスを使用できるということでもある。
またELITE専用のハードウェアとしてパワーユニットやアビオニクスパネルなどもオプションで用意されている。これらを接続すればマウスで計器画面をクリックする必要はなくなり、実際のフライトの感覚に一層近くなる。
【機体モジュール】
現在手に入るELITE用機体モジュールは以下の通りである。
単発プロペラ機
・Reims/Cessna F 172P 固定脚、160馬力、固定ピッチプロペラ
・Socata TB10 Tobago 固定脚、180馬力、定回転プロペラ
・Piper PA28RT-201 Arrow IV 引き込み脚、200馬力、定回転プロペラ
・Mooney-20J 引き込み脚、200馬力、定回転プロペラ
・Socata TB20 Trinidad 引き込み脚、250馬力、定回転プロペラ
双発プロペラ機
・Piper Seneca PA34-220T 座席数6席、ターボ・ピストン双発機
ジェット機
・McDonnell-Douglas MD-81 乗客座席数155席、中型ジェット旅客機
【IFR入門用パッケージ】
フルスペックのELITE Personal Simulatorに対して、一部機能限定の入門用パッケージELITE
Trainerが用意されている。ELITE Trainerは一部サウンドの省略、パワーユニット・アビオニクスパネル非対応、マルチモニター非対応、機体モジュールがCessna
172、Piper Arrow IVだけに限られるなど細かい機能が省略されているが、フライトモデルなど重要な部分はフルスペック版と同等である。
一方ELITE Trainerだけにしかない特典として、100ページを超えるIFRレッスン用のマニュアルやIFRトレーニング用の基本操作メニューが36プログラム用意されているので、これからIFRを学ぼうという人でも大丈夫だ。
【ATCシミュレーション】
バージョン5になってからATC(航空管制)のシミュレーション機能が追加された。予め決められたシナリオに従って、ELITEが自機を誘導してくれるのである。未知のシナリオに沿って、管制官の指示通りに飛行し目的地に到達するまでをシミュレートすることにより、実機と同様のトレーニングが可能になるというわけだ。
●シミュレーター世界の歴史背景
デフォルトでは現代アメリカのIFRデータが用意されているが、オプションで全世界のデータベースを使用できる。
●動作環境
68040ベースのMacおよびPower Macintosh。PowerMacではネイティブモードで動作する。800x600以上のモニター解像度が必要。漢字トーク7.1および7.5.3で動作確認。
評価
●グラフィック5点
このシムの命は計器パネルである。外部の景色は左上角にあるウインドシールドから覗くことはできるが、表示面積は画面全体の1/8程度でありまたそこから見えるのは離着陸時の滑走路の灯火だけである。その他の部分は全て計器類で埋め尽くされている。これらの計器は実機と同程度の精度をもち、時には故障して操縦者を困惑させることもある。計器パネルの写実性も高く、5点満点を与えたい。
●描画スピード5点
計器類の動きは実にスムーズ。外部ビューのグラフィックが簡素なのも描画スピードに寄与していると思われる。
●シミュレーター4.5点
フライトモデルや各計器の動きなどかなり忠実にシミュレートされていると思う。敢えて満点にしなかったのは、デモ版(オートパイロットのみで3分間の時間制限付き)しか参照していないので正確な評価ではないと考えたからである。
●総合評価4.5点
何しろ値段が高いので簡単に手が出せないのが唯一の欠点とも言えるだろうか。また、マックオンリーのユーザーにとってはIBM/PC用のスティックも買い足さなければならないので、更に出費がかさむことになる。とはいっても完成度は高く、お遊びではないIFRトレーニングをやりたい人にとってはむしろ安い買い物なのかもしれない。計器飛行を含めた飛行機の操縦そのものが好きなリアルフライト派や、将来実機のライセンス取得を考えているような人、さらには既にライセンスを取得していてIFRの腕を維持したい人などにはお勧めできる一品だと思う。
尚、ELITEに関する詳しい情報は http://www.flyelite.com/index.html で入手できるので興味のある方は訪ねてみて欲しい。デモ版もここに用意されている。
●対応スティック
IBM-PC用スティック各種、その他専用コントローラー有り。
●保存・リプレイ機能
あり。飛行中の各種データを保存し、表示できる。フライトレコーダーのようなものと思ってもらえばよい。
●ネットワーク対応
なし。
●マルチモニタ対応
あり。
以上。 H.P.C.#095 / Surgeon